8 カラオケ前偏
18:26
部活もとっくに終り帰宅途中。
俺は獅子と2人、学校隣のカラオケ屋で会議をしていた。
獅子はパフェをリモコンで注文しながら、コーラを口に含みコップを机に戻した。
「目撃者によると足を滑らせた後、スマホを追うように線路に落ちたらしい。」
「苅部……だから、前からやめろと言ったのに…」
俺は黒いソファーに力なく寄りかかりながら
そう言って、目に涙を溜めながら天井を見上げる。
頭の中で、苅部と過ごした時間が流れる。
なんでだろう?
俺に注意する苅部の顔しか思い出せないや。
それと同時に、連絡が通じなくなった山本の事を思い出した。
実は、今日は山本の事も聞きたくて
金をかけてまで獅子をカラオケに誘ったんだった。
俺は薄暗い空気の中、とりあえず聞いてみた。
「あぁ、山本は家出だ。」
「へっ?」
正直拍子抜けした。
連絡が付かなくなったのは…ただの家出だと?
しかも獅子にだけ理由を言って、同じ先輩の俺には何も連絡無し?
こんなにも頼れる俺には…何も…。
今までの山本と俺の様子を、頭で思い出してみた。
なんでだろう?俺を嫌そうに見る
山本の顔しか思い出せない。
(あれ…?俺って実は嫌われている?
茶目っ気のある可愛い俺が?
あれ…?そう言えば、獅子をカラオケに誘った時
嫌々だったような…)
段々マイナス思考から抜けなくになる。
そんな時、俺を救う
神々しく素晴らしい言葉を、獅子が言った。
「お前は嫌われている訳じゃない。信用されていないだけだ。」
なんでだろう?俺の目には獅子が光り輝いて見える。
(さすが獅子!)
「そうだよな!嫌われているわけじゃないんだよな!!
あ、心を込めて一曲。獅子にこの曲を送るぜ!『心から君を愛してる』」
(信用されていないのもどうだか…。)
俺は、何曲も1人で歌い続けている田中を見て、溜息を吐く。
慰めたつもりはないのだが、何時もの田中に戻っていた。
…本当、さっきまでの涙はどこえ消えたのやら
田中は自慢の声(自称 天使の歌声)で、気持ちよさそうに歌を歌っている。
会議したいと言われ仕方なく付いてきてやったが
俺は何も聞くことが無く、一方的に質問に答えるだけだった。
「はぁ…早くパフェ来ないかな…食べたら帰ろっと。」




