4 今泣ける漫画
午後9時頃、櫛田のもとに山本から通知が届いた。
読んでいた漫画を机に置き、内容を確認する。
夏はアツシ:櫛田獅子先輩…俺もう耐えきれません。
櫛田っ子:どうした?またお前の親の事か?
山本の親は、実は仮面夫婦らしい。
俺から見ると、仲の良い夫婦だと思っていたが
家では目さえも合わさないらしい。
この話は、1週間前にも山本から相談されており
山本の立場からすると、すごく辛いらしい。
夏はアツシ:はい。もう嫌になったので、嫌がらせしてやろうと思いました。
櫛田っ子:どんな事するつもりなんだ?無茶すんなよ
夏はアツシ:家出してやります。
(家出ときたか…。確かに嫌がらせにはなるし
そこまで危なくないかもな。)
幼稚な山本の考えに安心し、櫛田は微笑みながらスマホ片手に
帰りに買ったコーラを飲んだ。
櫛田っ子:で、行き先は決まってんのか?
夏はアツシ:櫛田獅子先輩の所でいいですか?
櫛田は驚き、口からコーラを吹き出す。
気管に入りかけたコーラで、むせ返りながら返信をする。
櫛田っ子:おい!前にも言ったが、遊びに来るためならいいが
嫌がらせのためならダメだ!!
夏はアツシ:先輩ならそう言うと思っていましたw冗談ですよww
(お前の冗談で、俺の目の前は悲惨な事になってるぞ…)
吹き出したコーラで、読みかけの漫画のページが
所々張り付いていた。
夏はアツシ:場所はじつはもう決まっていて、ほら夏休み皆で行った
あそこに行くつもりです。
山本はそう書いたあと、新潟県の海の家前で
皆で撮った写真を送ってきた。
櫛田っ子:ああ、あそこか。まあ無茶すんなよ
夏はアツシ:はい!あ、土産は貝殻でいいですか?
前、先輩集めているって言っていましたし。
櫛田っ子:おお、よく覚えてんな流石山本!!
夏はアツシ:当たり前ですよw尊敬する櫛田獅子先輩の事ですよ?
言った事全て、メモするくらいですよww
凹んでいると思っていたが、元気そうだ。
山本の何時も通りの反応に、櫛田は安心した。
夏はアツシ:では、しばらく電源切りますね。
最近スマホのGPSで、バレるのもめんどいし。
櫛田っ子:おう、じゃあまたな。
櫛田は既読が付かないことを確認して、電源切ったんだと思った。
「どうしようかな…これ」
櫛田はベタついた漫画を手に取り、考えたのであった。