★ 3 暗い闇に落ちて行く
ホームルームが終わった後、山本 純士はスマホに
103通の通知が届いていることに気づいた。
「…うわぁ」
内容は読まなくても分かる。
『田中だよwがスタンプを送信しました』
恐らく、また田中先輩のスタ爆の餌食になったのだろう。
一応少し画面を、スライドして確認してみる。
うん、田中先輩のスタンプがズッシリ…。
山本は溜息を吐き捨て、スマホを見るのをやめた。
教室から出て、真っ直ぐ玄関に向かう。
あの事件以来、旧家庭科室には行く事がなくなった。
その代わり、スマホで連絡取ることが多くなったのは、
家に帰ってても出来るし楽でいい。
前からだが、たまに田中先輩がスタ爆してくるから
(マジでウザイ)
そんな事考えながら、下駄箱を開けた。
「なっ…!!」
山本は、自分の靴の上に置いてある物を手に持つ。
綺麗な文字で「山本くんへ」「長谷川より」と、書いてあった。
山本は靴を履き替え、急いで学校を出た。
同じクラスの長谷川さんは、書道部所属。
美少女なのに、おっとりとした性格で皆から人気者。
人気者なのになぜモテないかと言うと、
白鷺洲先輩の影響で、平凡に近しい日常をすごしてる。
しかし、校内 美少女 人気者ランキング第2位。
そんな彼女からの手紙…。
山本は人気の無い所に隠れて、縦書きの手紙を読み出した。
『
山本くんへ
こんにちは。突然お手紙すいません。
じつは、直接言いたい事がありますので
放課後、学校近くの公園で待っていて欲しいで
す。
あと、すいません。今日部活がありますので
六時くらいになってしまうと思いますが
お願いします。待っていてください。
真っ暗でも、絶対に行きますので。長谷川より』
(…近くの公園って、家の前にあるヤツじゃん!)
山本は、駆け足で帰宅した。
待ち合わせ時間は午後6時。
流石に6時過ぎになると暗くなるし、送るつもりだ。
(公園で長話になるかもしれないし、途中で温かい飲み物でも買おう。)
山本はギャルゲーの知識を思い出し、鞄の中に財布も入れといた。
…そして時間になり、家を出ようとした。
(あっ!)
もう1度部屋に戻り、スマホも手に持ち公園へ向かった。
(危ない危ない。もし告白とかだったら、連絡先聞いとかないとな。)
手元のスマホを見つめる。思わずにやけてしまう。
(彼女が出来たら、ギャルゲー様から卒業しよう。)
それから15分も過ぎた頃、やっと公園に人影が現れた。
もう空も真っ黒なので、内心来るか心配していた。
「長谷川さん?」
人影に一応聞いてみる。反応が無い。
緊張して、何も言えないだけだろうか?
そう思っていたが、人影は俺を無視して通り過ぎて行った。
(なんだ、違う人だったんだな。)
そう思い、溜息を吐こうとした時
口元を何かで押さえられた。
「…ふぐっ?…!!」
口が押さえられて叫ぶ事も、助けを求める事も出来ない。
せめてもの抵抗で、暴れようとしたが
体に力が入らなくなっていった。
(何で?!)
「バイバイ 山本 純士」
耳元で声がした。
暗い闇の様な、何者かの声。
(あ…れ?何処かで聞いたことが…。)
思い出そうとしても、少しずつ頭がクラクラしていき…
山本の意識は、暗い闇の中に沈んでいった。
彼女が出来たとは、違う意味でギャルゲーを卒業は出来たが
山本は、2度と目が覚めることは無かった。




