17 撫でられるのは好きなのですが
7月26日(木)
道路の向こうで、五月さんと憲志さんが手を振っていた。
「皆~また来てね~。電話するからね~。」
車の窓を開けて、私達も手を振り返す。
思えばこの2日間、あっという間だったな。
そう思い微笑む私を見て、ソラ君は何故か撫でてきた。
「…あの?」
「…可愛いな~っと思って。」
そう優しい声で言って、嬉しそうに笑みを浮かべるソラ君。
ソラ君に撫でられると、落ち着いて眠くなるから。
(安心するなぁ~。)
そう思って、微笑みながら目を瞑り
ソラ君の方に、そっと寄りかかる。
すると、ソラ君は撫でるのを止めて窓の外を見る。
「…あの?」
どうしたんだろう?そう思って心配そうに見つめていると
ソラ君は頭を軽く掻いて
「…キス…したくなっちゃった…から…ね……?」
そう言った。
窓ガラスに反射したソラ君は、辛そうな表情を浮かべていた。
「…じゃあ、家に帰ったらキスしよう?」
そう耳打ちすると、耳を真っ赤にしたソラ君は
小さく頷く。
中川君も紗百合を撫で始めた。
どうやら、中川君も撫でたくなったらしい。
「よ…美紀…ちょっ…」
顔を赤くさせ、紗百合は中川君を見つめる。
何か言いたそうだったけど
「紗百合、もう少しこのまま…撫でさせて?」
中川君の上目遣いに負けて、大人しく座っていた。
私は、頭を撫でられて動けなくなっていた。
何たって、人前で甘やかされた事は無かったし
何たって、す…好きな人に撫でられていたから。
(あぁあ~私のバカ!ちゃんと断れよ!!)
私は心の中で、断れなかった自分に文句を言う。
やっぱもう止めさせようと考え、美紀を見ると
何も言えそうにもない事に気付いた。
美紀は天使の様な、優しげな微笑みを浮かべ
私を愛おしそうに見つめていたから。
(…なんつう表情で私を見てんだよ…。)
赤くなった顔が、更に熱くなるのが分かった。
…撫でられるの嫌いじゃないし、もう少し大人しくしてよう。
そう思ったのでした。
甘い話になってますかね?




