★ 15 夢 中編
目を開けると、見覚えのある公園に俺は立っていた。
俺の手には、自分の文字で「山本くんへ」「長谷川より」と
書いてある手紙が握られていた。
…あぁ。これは夢か。
これが俺の夢ならば、主導権は俺の物なのだが…。
顔を上げると、山本 純士が恨めしそうに俺を見ていた。
俺を掴もうとするのを避け、俺は薬品を塗った布を山本の口にあてる。
すると、殺した時と同じように気絶をした。
…さて、ロープで首を絞めて止めを刺そう。
そう思って、手を掛けようとすると
俺は、何時の間にか別の場所に移動していた。
夢の中は非現実な事ばかり起こるものだ。
濡れて滑りやすくなった足場、夕ラッシュで騒がしい駅のホーム。
ここに来たという事は、恐らくアイツだろう。
そう思い、足元を見た。
線路の上に、苅部 珠己が立っていた。
苅部はぎこちなく足を動かし、少しずつ俺に近づいてくる。
それを見ている中、列車の到着を伝えるアナウンスが流れる。
『まもなく9番乗り場に、18時45分 新快速**方面 ○○行きが
10両で参ります。危ないですから 黄色い点字ブロックまでお下がり下さい。』
…聞き覚えのある。確か苅部はこの電車に引かれて死んだな。
そう思い出し、頭に被っているベースボールキャップを脱ぐ。
苅部は、俺の顔を見て目を見開く。
何時の間に掴んだのか、強い力で俺の足を引っ張り、道連れにしようとする。
…電車に引かれるのは、お前だけで十分だろ?
力強く蹴飛ばす。その場に尻餅を付く苅部。
絶望を込めて俺を見つめてくる苅部。
俺は優しさを込めて、スマホを苅部に投げつけた。
…あぁ、こいつ確かフードコートでケイに話しかけていた男だ。
確か、ムカついて殺しちゃったんだよね。
そう思いながら、死体を見下ろしていると
またもや場面が変わった。
心もとない街頭の光の下に俺は立っていた。
隣には田中 秀が、俺に何か楽しげに話しかけている。
しかし、俺から見ると唯口パクしている鯉に見えてるだけだった。
つまり声は、俺に聞こえていないのだ。
段々何か鬱陶しくなってきた。
…何なんだ一体…どうせ見るならケイの夢を見たいものだ。
そう思い俺は田中の首を絞める。
…あぁ。ごめん。本当は布で意識を無くさせてから
ロープで殺したんだっけ。
まぁ、良いよね?もう死んでんだし。
始め田中は、苦しそうに口を動かしていたが
数十秒後には、白目をむいて痙攣してた。




