13 朧気
「失礼します。紅茶を持ってまいりました。紗百合様」
「ん、ご苦労」
草木の香りがする部屋の中に、紅茶の甘い香りが立ち込める。
その匂いにうっとりしている私に、五月さんが質問してきた。
「ケイちゃん、告白ってどんな感じだったか教えて♪」
「え?屋上前の踊り場で告白されましたね。
ふふっ懐かしいです。」
「で、どんな感じだったの?」
「それはですね…。」
その時の事を伝えると、ソラ君と憲志さん以外の3人が騒ぎ出す。
「ちょ…それ、ソラちゃん大胆~」
「相野谷くん凄いね!びっくりだよ♪」
そう言って2人がニヤニヤしている中、紗百合は
「…あぁ。あの時か~!!」
そう言って頭を抱えていた。
そろそろ痺れを切らしてきたソラ君が
「なあ、そろそろトランプとかしないか?」
と、私たちに尋ねる
「ソラちゃんは黙ってて。今ガールズトークの途中だから!」
「…ガールズトークって…。」
(お前男だろ?それも中川も…。)
「まあ、突っ込まないで。2人でトランプでもしようか。」
憲志さんに誘われ、文句言わずトランプを始めたのでした。
「じゃあさ、その後愛の試練とかあった?」
「う~ん?」
(愛の試練…か)
突如、頭の中に謎の映像が流れ出す。
暗いじめっとした部屋、声が枯れるまで泣き呼ぶ声
雨の音。足元に、自分の下着が落ちているのが目に入る。
「…知らない。」
「ケイ?どうしたの?」
心配そうに話しかける紗百合の声に、意識を取り戻し
深呼吸をする。
(3人の男子がそこに居た。見た事があるはずなのに
知っているはずなのに思い出せない。顔は朧気で…。)
「白鷺洲さん何だか顔色悪いねぇ。少し休もっか」
中川君がソファーを進めてきた。
「…あ…ありがとう。ごめんね。心配かけて」
私は、それに従いソファーに座る。
そして、冷たくなった紅茶を頂き、一息つく。
(それにしても…さっきの映像はなんだったのかな?)
楽しそうに話をしている皆を眺めながら
私の顔は、何故か微笑んでいたのでした。




