10 海
眩しい日差しの下、私は今年2度目の海に目を輝かせる。
青い空を反射して、海が青く輝いている。
そんな美しい景色の中に、どんよりとした表情を浮かべる五月さんがいた。
「海に行くんだったら、私も水着持って来ればよかったなぁ~。」
「お前男だから、最悪パンツで泳げばいいじゃん。」
「ソラちゃん…それ、ケイちゃんにも言える?
男でも女でも下着で泳ぎたくないわよ。
ねぇ~憲志?」
そう言って、五月さんは憲志さんの方を向く。
そこには、砂浜の上に脱いだ服を置いて
下着1枚になった憲志さんの姿があった。
「え……?」
驚いた表情を浮かべ、動きを止めた憲志さん。
次の瞬間、まるで風船を割った時の様な平手打ちの音と
男の人の叫び声が響き渡りました。
「憲志、直ぐ服を着る!!」
「は、はいぃ!!」
コントにも似た、その遣り取りを見ていると
紗百合が声を掛けてきた。
「なぁにやってんだか…それよりケイ、一緒に泳ぎに行こうぜ!」
「いく!泳ぎたい!!」
そう言って、私と紗百合は海の方へ走った。
熱くなった砂が、私の足に絡みつく様な感覚を覚え
泳ぎやすそうな場所を探す。
比較的、波がたってない方に行こうとすると
中川君が止めに入る。
「そこは離岸流だから危ないよ。こっちの方が良いよ。」
私は、初めて聞く言葉に首を傾けた。
「美紀、りがんりゅうって何だ?」
紗百合も分からなかったらしく、中川君に尋ねる。
すると中川君は、考えながら真剣に説明を始めた。
「ん~っとね?見た感じ流れが無いように見えるけど
実は凄い流れを持つ持ち主?」
「なるほど。良く分からん。」
中川君は、紗百合の素っ気ない返答に、少し凹んだのであった。




