9 相野谷ソラの動揺
7月25日(水)
時刻は7:45。
朝起きて直ぐ、俺達はリビングに集まった。
別荘の管理人、勝又さんが用意してくれた、朝食を頂くためだ。
俺は、左手にある箸で、鮭を口に運ぶ。
塩味の効いた鮭は、ご飯の甘さと良く合い、食事が進む。
俺とケイが食事を楽しんでいる中
「美紀、はい…あ~ん。…どう?美味しい?」
「あ~ん~。うん美味しい!嬉しいねぇ食べさせて貰えるなんて。」
こんな感じで、中川と松崎は仲良く食べさせあっている。
朝から暑苦しいものを見せられて、2度寝したくなった。
恥ずかしくないのかね?と心の中で2人を馬鹿にする。
俺が、ジト目で2人を見ていると
ケイは何か言いたそうに、俺を見つめてきた。
「…何だ?」
そう言って俺はケイを見つめる。
するとケイは躊躇しながら
「…あのね…。私もソラ君にしたい…してもらいたいな?」
顔を赤らめさせ、恥ずかしそうに俺に言った。
(…な!!?)
動揺した。
俺は箸を置いて、熱い味噌汁を一気に飲み干す。
分かってる。分かっているさ。
ケイは唯「あ~ん」を俺にしたいし、してもらいたいん…だよな。
分かっているさ。本当に。
朝から下ネタを考えてしまうのは悪いけど、そう考えてしまうのは
男だから仕方ない。そう理解して欲しいです…はい。
動揺を隠せないほど、ケイの言葉に衝撃を受けた俺を見て、ケイは
不安そうに眉をハの字にする。
「…ダメ…かなぁ……?」
(あぁ…可愛い。上目遣い…本当無理。)
今直ぐ襲ってしまいたくなるほど、ケイが可愛くて愛おしい。
「や…やろうか!やろう!!」
雑念を晴らすため、箸を強く握り漬物を掴む。
ケイは目を輝かせ、漬物を嬉しそうに食べた。
次にケイが箸で鮭を掴み、俺の口に入れていく。
(うん。意外とやってしまえばスッキリするものなんだな。)
そう考え、俺は満足気に笑った。
それと同時に、ケイが嬉しそうに微笑んでいるのを見て
やって良かったなと思った。
しかし…次の瞬間、衝撃なものを俺は見てしまった。
ケイは、その箸で普通に食事を再開した。
(…よく考えたらコレ…間接キッスじゃないか?)
体中が熱くなるのが分かった。
箸を一旦置いて、俺はコップの水を一気飲みする。
しかし、体は熱くなる一方で、収まる気がしない。
(え…何これ…?凄く恥ずかしいんだけど…!?)
再び中川と松崎の方へ体を向け、真っ直ぐ見つめた。
相変わらず2人仲良く食べさせあっていた。
俺は、そんな2人を何となく尊敬した。
食事が終わり
「馬鹿にしてゴメンナサイ。」
そう言って謝る俺に、中川は唯
首を傾けるだけだった。




