5 勘違い
6歳の時、俺は家族の用事で引っ越した。
もう、帰る事はないと思い、引っ越す前の事は忘れていた。
しかし今日、約10年ぶりに故郷に来ていたようだ。
懐かしい仲間に出会えた事に、喜び感じ興奮気味だ。
「良く気付いたな!もう約10年前だろ!?」
「忘れる訳ないじゃん?ソラちゃん目立っていたし。」
五月は、そう言いながら俺の肩を叩く。
保育園の頃とは、雰囲気が変わった五月に正直戸惑っていた。
何というか…その女の子っぽくなった。
「そうか。しかし五月は変わったな!可愛い服着て
憲志は大きくなったし。」
「ソラ、お前モテるだろ?」
(……直球だなオイ。)
憲志の言葉に戸惑っていると、五月が憲志の頭を叩く。
…すると、頭を抱えながら、その場に座り込んでしまった。
そんな憲志を放っておいて、五月は俺に笑いかける。
やり取りを見ていたケイは、何故か頬を膨らませていた。
俺の事を上目遣いで見つめながら、顔を赤くしていた。
それを横目で見ながら、見えないフリをする俺。
…だって
嫉妬するケイが、可愛いから。
ケイが何を考えているか大体分かる。
五月に対して、嫉妬している様だ。
何処から見ても、普通の可愛い女の子だ。
頭に着けてる青いリボンが、とても似合う。
五月は、ずっと俺を見つめていた
ケイの左手を握り
「初めまして。私、金子 五月ソラちゃんの友達で~す♪
今、可愛い服を着ているけど、男の娘なの。
よろしくね♪ケ~イちゃん♥」
自己紹介を始めた。
ケイは目を見開き、開いた口を右手で塞ぐ。
驚き過ぎて、何も言えなくなった様だ。
思考停止しているケイの代わりに、松崎は自己紹介を始めた。
「初めまして。私、松崎 紗百合。ケイの親友なの~。」
憲志は、松崎の体を見て目を輝かせた。
「は…初めまして松崎君。俺、憲志と言います。
あの…その体は何で鍛えているのですか?」
悲しき事かな。
どうやら憲志は、松崎のことを男と勘違いしている様だ。
「私は女よ。君じゃなくてちゃん.ね。一応バスケ部の部長候補」
松崎が言った、その言葉に、憲志は動きを止めた。
まあ、気付かなくても仕方がないよな。
何故なら、黒髪のショートヘアで
服装はランニングシャツで短パンはいている。
おまけに、この貧乳だ。
遠くから見れば、胸筋が発達した少年にしか見えない。
憲志がバツが悪そうな顔をした時、ケイがやっと口を開いた。
「初めまして。五月さん、憲志さん。」
そう言ってケイは、何時も通り
優しく微笑んだのでした。
五月は、俺の方に腕を回し、ケイに気付かれないように
耳打ちする。
その声は、先程までの高い声とは真逆で、男子らしい低い声。
「…お前の彼女、可愛いな。俺…狙っていい?」
そう言って不気味に笑う五月を、俺は睨みつける。
「…やめろ。ケイは俺の彼女だ。」
数秒の間が空き、五月は諦めた様に
溜息を吐きながら腕を離した。
「冗談だよ。我慢してやる。」
そう言って、車に乗り込む
ケイの方へ走って行った。




