ホーリー・ワード
──前回までのあらすじ
ワルディーが「お散歩」のことを「おちん──」とか言いそうだったので、ダメだと思いました。
「──よし。落ち着くんだワルディー。じゃあ今から俺と……ん~……探検。うん、探検に行こう」
「よくやったカタリ」
ほっとしたサリオが力強い笑みで俺を称える。
「ワルディー。これで終わりのようですね」
シズカが冷たく微笑む。
「眠りにつくがいい」
ナツミはドヤ顔でワルディーを見下ろす。
ワルディーが周りの異様な空気に戸惑いながらも、俺の呼びかけに興奮して「ん、ん」とカワイらしい。頑張って何か言おうと、口をもごもご。
──ふん。猫口か。
だがワルディー。
……チェック・メイトだよ。
超越者たる私の聖知識を総動員し導きだされたホーリー・ワードが今、君を無慈悲に拘束する。
「ん、マンけん……」
うん、漫画研究会だよね?
でもコノ流れだとその言葉ちょっと色々想像できてしまいますので、やめてください。
おやめください。ね?
いって! ちょ、やめて! ぶたないでサリオ! 姫はツネらないで! 先輩は近くにあったおしぼり投げてこないで! イヤ!
ちっ! さすが女子校! 周囲の影響で知識だけはやたら豊富になっていくらしいからな! 悲しい女どもめ! 変な連想すんな! あダメ! あふ!
信じていた者達からの総攻撃。
こうなったらワルディーの覚醒に賭けるしかなかった。
ボコられながら、俺の中の何かが世界に広がってゆく。
──大丈夫だワルディー。落ち着いてごらん?
お前が伝えようとする想い、祈り、理想を、世界は、俺は裏切らないのだから。
だから、解き放つんだ。
────本当の、君を。
「ん、たん、たんけ、だんこん」
てめえワルディーわざと言ってねーか?! あ! やめ! いた! いたいのイヤ! より激しいのイヤ!
だ、だって弾痕の可能性も……!
「ん、ん、リュシロ! マンこんイク~!」
────ふぅ。
よ~しワルディー、アウトだ。
ミッション・コンプリート。帰還する。
──ああああっ! 関節ってそっち曲がらないんです! 首って絞められると死んじゃうんだよ?!
先輩はなんで携帯を──ちょっ通報とかしちゃダメ! 漫画コンテストなんです!
ら、らめええええええええぇぇぇぇぇぇぇ!!




