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激突! 『柴犬無双』ファイナル


「ひあ~! もうクリバー無くなっちゃった?!」

「あれみんなして何してんの?」

「出遅れた~!」

 

 俺が無表情でカレーを食べ進めていると、新たな女子の団体が入り口から駆け込んできた。


「ふふ。大人気だなコロッケ」

 ナツミが小さく笑う。俺は相づちで返しといた。

「みゃ、ん、にゃっつんは、もろっけ欲しくないメロ?」

 もぐもぐとおにぎりを味わいながらワルディーがナツミに尋ねる。語尾の意味が解らない。

「お弁当作ってきたからね。それにだいぶ前に食べたことあるから、後輩に譲るよ」

 弁当箱から中々うまそうな卵焼きを箸で取り、ほらほら、と自慢げにワルディーにチラつかせながらナツミは言う。ワルディーが「わあ~」とうらやましそうに、フワフワの卵焼きに見とれていると、そのままナツミはワルディーの口に運んであげた。


「──三年スターバニー組と二年おとぼけチーター組、一年キングわんわん組、一年ふくろう組の四時間目体育クラスはこれで出揃いましたか?」

 お? 魔王サリオが口を開いた。

 シズカは何やらきょとんと置いてきぼりだ。

「え? あゴメン、よっちんと……なーるがまだ来てないかな」

「ウチのクラスは学食利用者これで揃ってるよ~」

「あ、こっちも!」

「ふくろう組もOKです」

「はあ、はあ、うわすごい人数! よっちんダメだこりゃ!」

「なーるが着替えるの遅いからモ~! バツとしてオレンジおごってよ?!」


「はい、それでは全クラス日替わりランチ希望者が揃ったみたいなので説明しますが、これからジャンケン大会を始めます。オバチャンに勝った人からコロッケGETということで。これからは競争率高すぎるメニューはこれでいきます。はい親衛隊も会長も立ってください」


 あれ? なんか……。あれ?

「うっわマジで~?! 折角一番乗りだったのに……」

「まーまー。これからの事考えたらその方がいいんじゃない?」

「あたしも前回体育で全然間に合わなかったからな~。ま、公平だと思う」

「うそラッキー! ウチらまだチャンスあるって! サリオたんサイコー!」

「やった~! さすが風紀委員長!」

「ちょ、さっきまで散々罪とか罰とか言ってサリオを追い詰めていた姫がいつの間にか居ないけど!」

「さ、探せ! 見つけ次第捕獲よ!」



 その後一分も経たない内に、変な姫は自販機の陰に潜んでいたところを捕獲された。

「この姫おっきい子だからバレバレだったのよ!」

「マイクよ! マイクをまず取り上げて!」

「ああ! わたくしのマイク、『まいまい三号』が!」

「マイクに名前つけんな」

「なんで少なくとも三本以上持ってんのよこの姫!」

 

 両サイドを固められ、トボトボと連行されるシズカのしゅん、とした顔は結構刺さるモノがあった。

 

 チッ。カワイイ顔で連行されやがって。たまらん。

 これからも頑張るんだぞシズカ。

 

 俺は意味が解らない適当なエールを送りながら結構多めに盛られた福神漬けをカリカリ。 

 するとワルディーが俺の隣にワクワクしながら寄ってきて、その多めの福神漬けをひと切れつまみ、カリカリ。

 ん~♪ とニコニコ、満足気だ。


「リュシロ! まんけんたいかいGO!」

 学生漫画コンクールとかですか? 引っ張るな引っ張るな。別にいらねーよコロッケ。


「ほら、参加してきな?」

 ナツミも笑顔で送り出すもんだから、やる気満々のワルディーに腕を取られた俺は渋々と立ち上がった。

 ナンカこんなのばっかだな俺。

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