ずこう2
「ん~。ちょっとな~。ん~」
お、ごね出したぞ。どうしたワルディー。
「アイがないれす」
困り顔でそんな事を言い出したアーティスト。
愛が無いと。無愛想ということか? ならまあ認めるよ。
「何か知らんがワルディーの画力で補正してくれ」
俺はメンドくさげに流しとく。
ワルディーは手にする画板を自分の机に一旦置くと、む~ん、と唸りながら室内をてくてく歩き回る。
気分転換に腰をくねくねさせたり変な踊りを挟んだり。俺もライフもただ無言で事の成り行きを見守っていた。
そしてピコーン、と彼女は閃いた。
「しぇ、しぇんせ~! リュシロのよ、よここ! ん、も、こ、こ、ね?!」
ワルディーはライフを引っ張り立たせ、「ね? ね?」と何やら強引に誘導すると俺の横にセッティングした。
「何なのワルディー。何が望みなの」
ライフはやれやれといった表情で問う。
……うん、近い。いい香りがする。間近で見るとホント、冷たいまでにキレイな姉さんだと思う。どうでもいいがな。
「リュシロのう、うでを、ね? 組むのれすね? ん?」
え何言ってんのこの女子。教師と生徒でそんな、許されません。
「腕を組めばいいの? こんな感じ?」
仕方なさそうに、ライフはするりと俺の腕に自分の腕をからませる。
おいおい。何のイベントだこれは。俺は小さくため息を落とす。
「失礼ね。嫌だとしても女性に対してそういう態度しないの」
ぐいっと腕を引っ張り、ライフは俺の耳元でささやく。はいはい。すんません。
「ん、ん、いいよぉ~……い、いいんだお~……。たまらんちゃねぇ~」
どこの方言だ。ワルディーは尚も前後左右にささっと動き回りカキカキ。俺も腕を組まれながらも適当にカキカキ。
俺より幾分か背の低いライフ。周りから見れば少しはお似合いカップルにも見えるのだろうか。
……なんかさっきから、微妙に震えが伝わってくるんだよな~。
緊張? このクールビューティーが? まさかまさか。表情も別に変わらずだ。気のせいかな。
それ以上深く考えず、俺は筆を進めた。




