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子犬系女子



──やがて、隣のブランコがきぃ、きぃ、と鳴り出した。


 ぼんやりと俺は視線を向けると、白っぽいセーラー服姿の一人の女子がブランコに腰掛け、空を見てる。


 足音もしなかったので、オバケという方向で大丈夫だと思います。

「オバケじゃないわよ」

 ムッとしながら彼女は俺に言った。

 

 バックにふわりと流す感じのやや長い金髪。

 前髪の間から覗く瞳は優しさと強さを兼ね備えている。

 

 うん、キレイと言うか、カワイイ系ってやつですな。

「ちょ、カワイイとか、大人に向かって失礼ね~も~」


 え大人なの?

 なんか「カワイイ」にピコーンと反応してキコキコ激しく揺れ始めましたぞ。


 色々まあ、出てくるね。

 興味ないがな。


 でも暇なんで、この変なチョコでも与えてみるか。

 前にさたにゃんがくれたんだ。ポッケに入ってた。


「変なチョコあるぞ。食うか?」

「変なチョコよこすな」彼女は衝撃に固まった。


 じゃ俺食べよ。

 なかなかコジャレた感じの小箱だな。ポケットサイズ。


 十粒入りのチョコの銀紙をむいて、俺は一粒口に放り込む。


 なんかスゲー旨い。


 ダメだろさたにゃん。ここはキャラ的に「グハー! 辛っ! あの魔女っ子変なモノ食わせやがって!」みたいなところだろ。

 

 キャラを履き違えるんじゃない!


 とモグモグ味わってると、隣の女子がじーっと見てきます。


「あ、ちょっと旨いんで、貴様にはアゲない事にしました」

「最悪ねアンタ! しかも貴様とか言うな」

 ショックを受ける彼女を見守りながら、俺はもう一粒頂く。

「べ、別に欲しくないわ」

 彼女はムスッとそっぽを向くが、俺が「うわ超うめぇ」とこぼすと「え、そんなに?」とじわじわ距離を詰めてくる。


 俺が続けてチョコを摘まむと、彼女はそのチョコに限界まで顔を寄せてクンクンと匂いを嗅いでいる。子犬系の動きだ。

 構わず俺はそれを口に放り込む。

「あ、あ……」なんてかすれ声を出しながらモグモグしてる俺を物欲しそうに見ている彼女に、俺は残りを箱ごと渡した。


「べ、別に欲しくないけど、アンタの味覚が信用出来ないから、私が確認してあげるわ」

 だって。

 そりゃドーモ。



 隣でうっとりモグモグしてる彼女をよそに、俺は変わらず小さく揺られながら目を閉じうつむく。


 別に眠いわけじゃない。というか俺にはもう睡眠は必要無い。


 ただの真似事を、かつての名残の様に、無意味に繰り返しているだけだ。



 隣の女子はいつの間にか居なくなっていたが、別に、どうでもよかった。


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