うるせぇ穴
──虎の穴 もとい、『聖女の穴』
「──というわけで、マウファーの税金について、領主さんとの話し合いを目指すワケなんだが……。具体的にまず、どうすっかね?」
ひとまず穴に戻った俺達は……ちゃぶ台を囲み、茶でも一発すすりながら作戦タイムとシャレこんでいた。
なんだか申し訳なさそうにうつむき、座布団の上にペタリと座るマウファーの隣には……
よしよしと、幼女の頭を撫でつつ──モチがふわふわと、浮いている。
聖剣は放置。まあ剣が刺さった祭壇から近い場所だし、誰か来たら分かるから大丈夫らしい。タイガーがキッチンスペースみたいなところに置いてある変な壷の中からお菓子入れに敷き詰め持ってきたマンジュウに目を輝かせる余裕すら見せている。
「何か行動案があったうえでの提案じゃなかったの? やれやれ、ね」
なんて、やれやれ残念な俺にチクリとこぼし、穏やかに湯飲みを傾けるメガミお嬢様。
そんなS魔導のお叱りに怯みつつ、かすかな性的興奮すら覚えてしまった微Mな俺はモチロン、過去からやってきたトラ型人妻に助けを求めたワケだ。
「そ、そんな事言われても……。と、虎えも~ん、何かいい方法無いの~?」
「──しょうがないなあリュウシロウ君は~」
「やめなさい。どこかから怒られるわよ」
やれやれと、まんじゅう片手に自らのエロい和装の胸元あたりに手を突っ込むタイガー。メガミが素早く、低い声で警告する。
が──
「"鋭利な刃物"~」
「やめろ!」
ピコピコ~ン! とタイガーは、メガミの制止もお構いなしに、懐から短刀を取り出した。
「……これは、色んな人の未来を変える事が出来る道具なんだ。例えばこれを領主様に使うと、領主様はモチロン、そして幼女の人生もまた、違ったものになるハズなんだ」
「なんて不思議な道具なんだ……」
「どう使う気よ。しかも道具とか言うな。プロか」
得物をチラつかせながら俺の耳元で悪魔のように囁くタイガーに、俺とメガミは衝撃に声を漏らして固まった。モチと幼女は目が点で置いてきぼり。そりゃそうだよね。
「──さて、冗談はおいといて……。私に一つ、策がある」
ドスを懐に再度忍ばせながら、悪そうな笑みでタイガーは皆を見回す。この後彼女は間違いなく違法な事を言い出すであろう。誰か警察呼んでください。
「や、薬物だね……? なんらかの薬物を使用する気なんだね……?」
「待ちなさいモチ。ハニー・トラップって聞いた事ある?」
「ばかやろう!! ウチのタイガー姐さんがハニーとか薬物とかそんなまどろっこしいマネするかよ!! 大質量を敵陣に投下で早期解決を目指してるにキマってんだろーが!!」
「よし、とりあえずお前らを近くの畑に埋めてやる。話はそれからだ」




