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危惧

 

 あらら。

 つぶらで真っ直ぐな瞳と、涙に濡れる幼い瞳。



 いや、こんなの断れねーじゃん。ズルい。ズルいわ~。



──ふん。だが超越者たる私をもってすれば、道理を覆すなど、たやすい事。

 

 読者よ、恐れるがいい。これが人心すら超越した、大いなる者の行いだ!



「──へっ! う、うるせえ! タイガーの姐御! こ、こいつらまとめてヤッちまいましょう!」

「サイコパスか龍士郎」

 ハリセンチックに尻尾でバシッと一発、いいヤツ頂きました。ありがとうございます。

 




「──泣くなチビッコ。このタイガー“お姉ちゃん”をもってすれば、なんでも解決だ」

 

 しばらく成り行きを静観していたタイガーが空を手でなぎ払い、何やら勇ましい。悪の首領みたいだ。

──ちっ。猫グチで悪そうなドヤ顔キメやがって。“お姉ちゃん”と呼ばれたことが気に入ってるっぽいな。

 

 コクコクと、涙を拭いながら頷くマウファーを、タイガーはゆっくりと抱っこ。傍らでモチが「ありがとう、ありがとう」と感謝の言葉を連ねていた。……まあ、微笑ましい。

 

 メガミは……ただ、じっと、そんな光景を見てるだけで……。



「──じゃ、龍士郎。ドウにかしてみせろ」

「やっぱ丸投げかよ」

 幼女を抱っこであやしつつ言うタイガーに、俺は固まった。



「──ふぅ。ん~……まあ、まず話し合いをしてみようよ、その領主さんと」

 

 ヤレヤレと──俺は嫌がるモチをもみもみと揉みながら、そんな提案をしてみたワケだ。



「事は差別が絡む、根深い問題よ。話し合いで解決するかしら? というより、話し合いに持ち込めるかしら? マウファー達への要求の度合いから、そんなテーブルに着くような、まともな人間とは思えないわ」


 そうだな、大魔導お嬢様。俺もそう思う。


「……けど、まず、やってみよう。やってみないと判らないだろ?」

 ふくれっ面のモチからペシペシ背中を叩かれながら、少しばかり微笑み、俺はメガミに言った。




(……そしてやむを得ず、力を行使する。という展開を私が危惧しているのは……解ってくれているのよね?)



(……ああ)


 

 マジカル通信での互いの声は、冷えていて……。




 メガミもある種の最終力、『認識兵器』、『神兵器』なんかを行使する事に、抵抗感、危機感を持っている。

 メガミ"も"、ってのは……まあ、今までの俺の言動なんかからも解るとは思うが……俺もそんな感じ、でして……。

 

──色々な。これから解っていく事だよ読者さん。今はその事だけ知っておいてくれ。


 あ、俺、猫化したろ? 実はアレ、メガミの『神兵器』によるモノじゃないから。

 俺が、自分自身の粒子を、自分で変化させただけなんだ。メガミをちょいと気遣った、傭兵達に対する芝居だったんだよ。

 あの時彼女は赤い光とかで、周囲を脅してただけです。ハッタリ。コケオドシ。


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