幼女の決断
モチの女心に一肌脱いだ、ってなトコで。
タイガーとモチのちょっとした昔語りも終わり──
俺はとりあえず、嫌がるモチをモミモミと揉みながらメガミとマウファーに訊いてみた。
「さて、そういった事情のようでして。……聖剣、どうすっかね?」
「とりあえずモチを揉むのをヤメなさい」
メガミの穏やかなお叱りによって解放されたモチはプンプンと、食べ頃のふくれっ面で俺の肩をぺしぺし叩く。叩くな叩くな。俺にもっと優しくしてあげてください。
「……わ、わたしは、あきらめます」
あら幼女。
幼くも真摯な表情でマウファーは答える。
今回の出来事──。幼女にはちょっと、謎が多すぎただろうな。
俺らとタイガーの関係性もそうだし、『マガファエル』を守るモチの事情もよく解らない。遥かなる時間を生きているというタイガーにも、そのアニマルゴージャスなルックスも含め、色々な衝撃をうけたであろう。
──でもそれ以上に、ちゃんと、温かいモノを感じ取ってくれたんだよ。
流石だ幼女。『神兵器』を扱えるだけの事はある──なんて、な。それは置いておこう。
つぶらな瞳でモチは、幼女を見つめ……
やがてフワフワと、幼女に接近していく。
「……ありがとう」
そうして笹カマボコみたいな白い両手で、マウファーのちっちゃい両手を取りながら、モチは感謝の言葉をつぶやいた。
「……ふふ。なんだか可愛らしい画ね」
小さなオバケとちっこい幼女が紡ぐメルヘン・タイム。見守る様に、メガミはその光景へ微笑みを。
そして──
「……ぼ、ぼくは、あきらめない」
なんて『マガファエル』を大根みたいに引っこ抜こうと頑張る俺の頭を、タイガー女王様からハリセンチックに尻尾でばしばしツッコんでいただきました。超メルヘン。見守る様に、メガミはその光景へ微笑みを──イヤ見守るんじゃないよ。




