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ミサイアむかしばなし 第一話『虎とモチ』


「──まあ、相当昔の話になるが……。聖剣奪還のクエストみたいなモノが、その当時もあってな」


 ファイアリスと名乗る、普通なのが好きなモチがボチボチ落ち着いたところで……タイガーが少し背伸びをしながら、語り始めた。



「その時は……『聖剣にとりく邪霊をはらい、献上せよ』だったかな。リーガの王様の先祖が、この祭壇に刺さる『マガファエル』を手中に収めんと、そんな依頼を冒険者達に出していたんだ」


 今も地に刺さる『マガファエル』を囲む様に立ち、俺、メガミ、マウファーはその穏やかな語り口調に聴き入る。……モチは剣の柄にちょこんとお座りして、何やら瞑目。


「当時の私は特に目的の無い、孤独な聖女で……。なんか甘いモノ買うお金欲しさに、そのクエストに参加してみたワケだ」


 聖女でツッコミたかったが……俺は堪えた。言わせておこうじゃないか。



「以前このクエストに参加した者の話によると……祭壇に近づくにつれ、周囲に響き渡る恐ろしい声、舞い上がる岩石、立ち昇る竜巻が行く手を阻んでくるとの事だった。そして私の挑戦回も同様、多くの挑戦者達が次々と起こる怪奇現象に腰を抜かし、呪いを恐れ、脱兎のごとく来た道を引き返していった……」


「──あ、ボクの仕業だったんだけどね。いわゆる、『神兵器』です。そうやって、その時はボクがこの剣から人々を遠ざけていたんだ。……懐かしいなぁ……」





──あ、こっからモチの回想シーン入ります。モチのくせに回想。








「──ふう~。今日もキマッたぜ……。これでみんな帰ったよね……」

 

 剣目当ての冒険者をコケオドシの『神兵器』で追い返したボクは、剣の上で一息ついていたんだ。


「……でも、いつか誰かに、乗り越えられちゃうよね……。コケオドシだし。……どうしよう。ひどいケガなんかさせたくないし……。もう、どこか人の来ない場所に、引っ越すしかないのかな……」


 独り言を口に、ボクは透き通る様な青い空を眺めていた。

 


「白くて丸っこい姿のボクじゃ、誰も受け入れてくれないよね……。でも、もう世界に、ボクが現れてはいけないんだ……」


──真実など必要とされていない……この世界に……。



 なんて思いもしながら、ボクはガラにもなく……落ち込んじゃったりもして……。

 




──そして……。

 その悪夢は、やってきたんだ。




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