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INT+5

 


──さてさて。


 気を取り直して、クリュー山脈方面へのゲートをノコノコとくぐる俺達。

 町を囲う石造りの壁に備え付けられた巨大な鉄扉は大きく開かれている。

 そこを突っきる、レンガで舗装された道に……他に通行人はいない。今はクエスト参加者くらいしかこの方面には出向かないみたいだ。


 

「ありゃ。今回は"大魔導"も参加かい。──しかしこりゃまた、おかしな格好したパーティーじゃな。ほっほ」


 門番らしき、優しそうな笑顔の老兵が声を掛けてきた。

 猫耳の"大魔導"は「こんにちは」と、上品なご挨拶で微笑みを返す。顔見知りなのかな? 

 マウファーはやっぱりちょっと恥ずかしそうに、オタマとお鍋のフタを携えたまま老兵にペコリ、頭を下げる。おしゃマウファー。


「なんだか随分出遅れたなオマエさん達。他の挑戦者達はトックに行っちまったぞ?」

 老兵はシワくちゃの笑顔を崩さないまま俺らに言う。


「うん。でも早く辿り着いたとしても、邪神だか何だかってのがまず簡単に倒せる相手じゃないみたいだし。俺達はライバルの妨害になるべく巻き込まれない様に、ゆっくり行くよ」

 鍋を被った俺も微笑んで答えておいた。


「なるほど、潰し合いを極力回避するか。それもアリじゃの。色々と策を練って挑むがええ。ただオマエさん達、無理だと思ったらすぐ引き返せよ? いくら"大魔導"が一緒だとはいえ、そんなおかしな装備じゃとてもじゃないが邪神には敵わんぞ? ウワサではどんな名刀をもってしても、太刀打ち出来る相手じゃないらしいぞい」


 老兵が少し真面目に忠告をくれるも──俺はすかさず自らを抱きしめ、反抗した。

「心配無用だ老人! 例えばこの大魔導お嬢様の猫耳カチューシャは、装備すれば知力が5もアップする伝説級の一品であるぞ! もはや邪神など、恐るるに足らず!」

「何、5って。しかも周りからは知性が低く見られそうな気がするんだけど」


 冷静なお嬢様から、そんな不安の声が。


……うむ。コーディネイト次第だな。


 例えばメイドさんが猫耳で「ご主人様」なんて出迎えてくれた日には最強だとは思うが……。

 じゃあ、例えば、ちょっと道を尋ねようと入った交番で、巡査長らしき中年男性が猫耳で「どうされました?」と、一般市民を出迎えてくる。


──お前がどうしたんだよって事だな。

 通報決定。交番内なのに通報しちゃう。頭おかしいとしか思えない。"大魔導"はこれに通ずるんじゃないのか? という事を言いたいワケだ。



「──バカヤロウ!! 超カワイイだろうが!! 白魔導士に謝れ!!」

「え意味解らないけど……カワイイっていうのはアリガトウ」


 解らない人には解らない俺の怒りに、白いローブの猫耳メガミは衝撃で固まった。

 

 そんなやりとりを老兵は「ほっほ、若さじゃのう」なんて言いながら、ニコニコと眺めつつ──。

 マウファーの長い耳を意に介さず、孫に接するみたいにその頭を撫でていた。



 マウファーはまだ、少し恥ずかしそうに……。

 


──けれど俺は、いい笑顔だと思った。




…………下に"勝手にランキング"ってあるけどね。

……なんか……手触りがソフトなんだよな……。なんだろ。


こう、手触りが……子猫みたいな感触? 

なんか……ほっとけない感じなんだよな……。なんだろ。

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