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記録61 仲間の最後

聞き慣れない単語が出るので解説入れときます。


EMP(電磁パルス)

EMPとは、電子機器を壊してしまういわば核ミサイル。

人体に影響は無いが、ペースメーカーをつけている人には致命的。

攻撃を喰らうと、一般家庭のテレビ、洗濯機、冷蔵庫はもちろん、車、警察車両、自衛隊車両(一部除く)、飛行機(一部除く)、発電所がダメになる。

懐中電灯などは大丈夫という。

勇輝の後ろで何かが光ったと思うと、周りの車のヘッドライトや、照明のライトが何個か消える。

周りの人たちは何が起こったかわからない様子だった。

しかし、勇輝にはすぐ分かった。

(EMPだと!?)勇輝が後ろを見ると、真ん中に光の球体がありその周りには波紋のように光が広がっていた。

勇輝は視線を落とし、幸子たちが乗るワンボックスカーを見ると、車のヘッドライトは消えていた。

勇輝はすぐに駆け出す。


ガシッ


「今は危ない!」鈴がそう言いながら勇輝の手を掴んでいた。

「何するんですか!?離せよ!」勇輝が言う。

「あれを見て!」鈴が勇輝の手を掴んで無い方で空を指差す。

すると、信じられないことが起きていた。

ヘリが墜落してきていた。

信じられないことはそれだけではなかった。

ヘリが墜落しそうな場所には幸子たちが乗るワンボックスカーが止まっている。

「ふざけんな!離せ!」勇輝が手を振りほどいてワンボックスカーに走る。

しかし、ヘリはどんどん高度を下げる。


ドォォォォォン


地面が衝撃で軽く揺れる。

ヘリはワンボックスカーのところに墜落した。

ワンボックスカーは後部が完全に潰されていた。

「う………嘘だろ………」勇輝はゆらゆらと歩いて近づく。

ワンボックスカーに着く。

ワンボックスカーの後部は完全に潰れて右手が見えた。

(幸子…………)勇輝はもう涙も出なくなっていた。

(百合さん………)運転席の百合はヘリの部品が運転席のシートを貫き、百合の体も貫いて腹からヘリの部品が飛び出していた。

百合は息をしていなかった。心臓も止まっていた。

勇輝はダメもとで七奈美のいた徐っ席に向かう。

すると、徐っ席は奇跡的に無事で、七奈美は生きていた。

「大丈夫か!?」勇輝が徐っ席のドアを開ける。

「勇輝………みんなが………みんなが……」七奈美の目には涙が滲んでいた。

「…………言うな。俺だって泣きてぇんだぞ。」勇輝が言う。

「うわぁぁぁぁん!」七奈美が勇輝に抱きつき泣く。

しばらくはそのままだった。

「ひっぐ…………ひっぐ……」七奈美が泣き止む。

「今はそれぐらいにしてヘリに生きている人がいるかも知れないから確認するぞ。」勇輝が言う。

「自衛隊は………?」七奈美はまだ鼻声だった。

「どうやらこっちには来たくないようだな。」勇輝が検問所の方を見ると、自衛隊員が並んでこちらを見ている。その後ろにはテレビ局のカメラもある。

「いくぞ。」勇輝と七奈美はヘリのハッチ部分に向かう。

ヘリのハッチは開いており、何人もの死体が見えた。

勇輝は死体を見てあることに気がつく。

「これ……墜落で死んだんじゃない!撃たれて死んでる!」勇輝が言う。

「どうして?」七奈美が聞く。

弾の痕は死体の頭部にある。

「多分だけど、逃げるときに一人だけ感染者が紛れ込んでいたんだ。感染者が完全にゾンビになると…………言わなくても良いな。」勇輝が言う。

七奈美は無言で頷く。

「とにかく生存者を探そう。」勇輝と七奈美は死体を掻き分けて生存者を探す。

すると、七奈美が一体の死体に目が止まる。

「これって………前田じゃない………?」七奈美が聞く。

勇輝は急いで確認する。

胸ポケットから鶴来高校の生徒手帳が出てきて生徒手帳には「前田 清太」と書いてある。

「清太…………お前…………」勇輝が言う。

「う………」

ヘリの中から声が聞こえた。

「どこだ!?」勇輝が声の主を探す。

「いた!」七奈美が見つける。

「智美ちゃん!?」七奈美が驚く。

智美は至るところを怪我をして血まみれだった。

「俺が担ぐ。」勇輝が智美をおんぶする。

勇輝が智美を担いで出ると、検問所から歓声が聞こえた。


勇輝と七奈美、智美は検問所に向かう。

「もうちょっと急ぐぞ。智美が怪我をしてるからな。」勇輝が言う。

「う~~~」七奈美が言う。

「?」七奈美の呻き声に勇輝と七奈美は足を止める。

「どうした?」勇輝が背中の智美に聞く。


ガブッ


「ぎっギャァァァ!?」勇輝が急に叫び、智美を落とす。

そして、智美から離れる。

「え!?」七奈美は理解できてない。

「七奈美!智美から離れろ!そいつはもう智美じゃねぇ!」勇輝が首もとを押さえて言う。

七奈美が智美を見ると、智美は目から血を流して両手を突きだし、「あ~~う~~」と言っている。

「智美………ちゃん…………」七奈美が言う。

智美は勇輝に向かっていく。

「くそっ!武器は……!」勇輝が周りを見るが、何も落ちていない。


タァァーン


智美が倒れる。

「え!?」勇輝は銃声のした方を見る。

すると、鈴が89式小銃を構えていた。

そして、鈴が走ってくる。

「………撃って悪かったわね。」鈴が言う。

「別に………」勇輝が言う。

勇輝は首もとを押さえている。

「噛まれたの?」七奈美が聞く。

「あぁ。だから、ここでお別れだな。」勇輝が言う。

「何でよ!どうして!?」七奈美が言う。

「仕方ないんだ!こればっかりは、世界のためだと思え!」勇輝が言う。

「何よ!世界の為に勇輝が死ぬの!?それなら一緒に死んだ方がマシよ!」七奈美が言う。


パァン


勇輝が七奈美の頬を叩く。

「死ぬとか簡単に言うな!生きたくても死んでいくやつだって沢山いるんだ!」勇輝が言う。

七奈美が勇輝を睨む。

「そんでさ………最後のお願いだ。」勇輝が言う。

「何?」七奈美が聞く。

「俺を殺してくれないか?」

いよいよ、最終回が見えてきました!

感想待ってます!

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