記録5 自殺
女子生徒（本名 中津 純（なかつじゅん））
石川県立鶴来高等学校 2年4組 スポーツ科
部活 陸上部（長距離）
身長159㎝ 体重52㎏
よくいじめを受けていてリストカットをよくしていた。
両親は数年前事故でどちらも他界、現在寮生活。
暴力事件を一度起こして留年している
勇輝達は中央階段があるラウンジに来た。所々に血のあとがある。
先頭に勇輝がバットを構えていて、後ろは空手の有段者である遥が警戒している。その真ん中に七奈美がいるような陣形をとっていた。
「本当に音楽室に生存者いるんですか？」勇輝が聞く。
「大丈夫。立て籠るところ見たから。」遥が言う。
音楽室手前のちょっと広いホールに出る。
そこには、死体を喰らっているゾンビが2体いた。
服装はどちらも女子の制服だった。
「大原先輩、右お願いします。」勇輝が言う。
「え？本気……？」遥が「え？」という顔をしている。
「本気ですよ。」勇輝が言う。
勇輝はすかさず左にいるゾンビにバットをスイングした。
ゴキッ
ゾンビの首がおれる。そして、倒れる。
遥も意を決してゾンビに立ち向かった。
ゾンビに近づくと回し蹴りを頭に食らわせる。
ゴキッ
こちらも同じくゾンビの首がおれる。ゾンビはその場に倒れる。
（回し蹴り初めて見た！）勇輝が思う。
七奈美は喰われた死体を見た。
「気持ち悪………」七奈美は吐き捨てるように言う。
音楽室はもう見えている。
音楽室の扉の前まで来る。
音楽室の扉は防音使用で普通の扉より分厚くて頑丈である。
「キャァァァ！」
小さいが微かに音楽室から悲鳴が聞こえた。
「！」
勇輝は素早く扉にタックルする。
ドン
しかし、扉は少し揺れるぐらいでびくともしない。
「大原先輩、手伝ってください。」勇輝が言う。
遥は蹴り、勇輝はタックルに決まる。
掛け声は七奈美が担当する。
「せーの！」七奈美が掛け声を出す。
勇輝はタックル、遥は蹴りをして扉を開ける。
バゴン
音楽室の扉が外れて倒れる。
すぐさま音楽室に駆け込む。
すると、音楽室の後ろで、女子生徒が襲ってきたゾンビと格闘していた。
ゾンビは必死に喉に噛みつこうとしている。
女子生徒は噛まれないように抵抗をしている。
「不味い！」勇輝は走る。
しかし、一歩遅く、ゾンビは女子生徒の首に噛みつく。
ガブッ
「ギャァァァァ！！」女子生徒は叫ぶ。
勇輝は女子生徒に注意しながらもゾンビをバットで殴る。
グシャ
頭が陥没する。
ゾンビは喉に噛みついていたが力なく倒れる。
「大丈夫か？」勇輝が聞く。
女子生徒は噛まれた首もとを押さえて言う。
「い………痛い。」
遥や七奈美も近寄る。
女子生徒の首は噛まれはしたが、そこまで深くは噛まれていなかった。
女子生徒はフラフラ立ち上がると音楽室の窓の向こうにある、ベランダに向かう。
「何する気？」七奈美が聞く。
しかし、女子生徒は答えることなくベランダの手すりに手をかける。
「まさか、自殺する気じゃないだろうな。」勇輝が聞く。
女子生徒は手すりに座る。一歩間違えれば、4階の高さからコンクリートの地面に叩きつけられることになる。
「そのまさか。」女子生徒は答える。
「やめなさい！」遥が言う。
「嫌よ！噛まれたら映画見たいにゾンビになって人を襲うようになるんでしょ！」女子生徒は言う。
「………。」勇輝達は確信が持てないのでどちらとも言えない。
「まぁ、良いわ。どうせこの状況だもん。救急車も来ないし、どうせ死ぬんなら自分の意思でしたいし。」女子生徒は諦めている。
「自殺なんて下らないことやめなさいよ！」七奈美が説得する。
「そうだ。そんなことやめろよ。」勇輝が一歩近づいたとき女子生徒はポケットからカッターナイフを取り出した。
「それ以上近づくと怪我するかもしれないからやめといた方がいいよ。……ちょうど良かったんだよね。この世界に嫌気が差して自殺しようか迷っていたから。」女子生徒は言う。
そして、手すりに器用に女子生徒は勇輝達に背を向けて立つ。
そして、カッターナイフを勇輝達の所へ投げた。
「それ、使いたいなら使っていいよ。」
ジャンプした。
女子生徒の姿が消える。
「！！」勇輝はすぐにベランダに向かい下を見る。
したには先程の女子生徒が倒れていた。
頭からは血が流れ出ていた。ピクリとも動かない。
「嘘だろ………」勇輝はその場に腰を下ろす。
七奈美もその場に座る。
遥は近くのパイプ椅子に座る。
3人はしばらく呆然としていた。
遠くからはパトカーや、消防車、救急車のサイレンが聞こえる。
遠くの野々市市、金沢市方面からは黒煙がいくつも上がっている。
その沈黙を破ったのは勇輝の携帯の着信音だった。
女子生徒は本名はあったけど、勇輝達に教えてないから女子生徒で表記されました。
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