記録3 現状
新たな登場人物なし。
勇輝達は必死に鶴来駅から逃げていた。
鶴来駅前交差点に勇輝達は出ていた。
パトカーが鶴来駅に向かっており、誰かが通報したのだろう。4台ほどのパトカーが鶴来駅に向かっていた。
目の前には白山市役所支部があった。市役所の前には早くも20人は軽くいるだろうか、それぐらいの人達が市役所に詰めかけている。
「とにかく高校に戻ろう。」勇輝が言う。
さらに、進む。
鶴来中学校が見えた。正面には子供を心配して迎えに来たであろう乗用車がたくさん止まっていた。
鶴来駅から乾いた音がした。
周りの人達は小さく悲鳴をあげ、すぐに自分の家に戻る。
「銃声?」七奈美が聞く。
七奈美は普段の強気の性格がおとなしくなっている。
「急ぐぞ。」清太が言う。
3人は少しスピードを上げて走る。
次は鶴来署が見える。
「ここでちょっと休まねぇか?」勇輝は息を切らしている。
「男がだらしないね。」七奈美がさらっと酷いことを言う。
「くそ。運動部入ってれば良かった。」勇輝が後悔している。
鶴来署には人が殺到していた。
中には噛まれた人もいた。
しかし、田舎の警察署は人数も足りていない。
殺到していた人々をさばききれずにいた。
勇輝達はとにかく高校に急ぐぞ事にした。
高校についた。しかし、ここも中学校と同じで迎えの車がたくさん来ていた。
勇輝達は自分の親が来ていないか探す。しかし、いない。すると、清太が突然嬉しそうに言う。
「母さんだ!」清太は指を指している。
指を指している方向には白色の軽トラックが止まっていた。軽トラックには、「花屋まえだ」と書いてある。
勇輝達はその車に駆け寄る。
車のパワーウィンドウが開き中から声がする。
「清太!早く乗って!」中からは清太の母親が言う。
すると、勇輝と七奈美に気がつき聞く。
「お友達?」
勇輝と七奈美は軽く頭を下げる。
「友達だ。この二人乗せられない?」清太は母親に聞く。
しかし、帰ってきた答えは予想どおりだった。
「さすがにそれは無理ね。」清太の母親は申し訳なさそうに言う。
「良いんです。私たちは大丈夫ですから。」七奈美が言う。
清太は徐っ席に乗り込む。
「生きてまた会おうぜ。」清太は開いたパワーウィンドウから拳をつき出す。
「当たり前だ。」勇輝はそれに拳を軽く当てる。
軽トラックはいってしまった。
「早く行きましょ。」七奈美が言う。
「あぁ。」勇輝はそう言って校舎に向かう。
正面には親を待っているのか生徒がたくさんいた。
それに構わず校舎に入る。
ロッカーからサンダルを出して履き替える。
そして、職員室に向かうことにした。
すると、七奈美のカバンから携帯のバイブレーションの音がする。
すぐに七奈美は電話に出た。
親かららしい。
「うん………うん………こっちは大丈夫だから安心して………うん、わかった。」電話を切る。
「何の電話だ?」勇輝が聞く。
「親がたまたま二人とも県外にいて、ニュースを見て帰って来ようとしたんだけど石川県に入る。高速道路、一般道は全部自衛隊や警察に封鎖されて入れないんだって。だから、頑張ってだって。それと、信頼できる人も見つけなさいだって。」七奈美が言う。
「信頼できる人って俺か?」勇輝が聞く。
「嫌よ。」七奈美は即答だった。
「そうか。それじゃあここからは別行動だな。」勇輝は冷たく言う。
「………。」七奈美が黙りこむ。
「嫌……」七奈美はボソッと呟く。
それを勇輝は聞き逃さなかった。
「それじゃあ、俺が信頼できる人で良いな。」勇輝が聞く。
七奈美は頷く。
「職員室に行くぞ。」勇輝が言う。
職員室には先生方いたが、もはや逃げ出す準備をしていた。
「………。」勇輝と七奈美はそれを見て唖然だった。
もはや、もう赤の他人のような素振りで職員室から出ていき、早い先生では、車にのって逃げている。
生徒がいたが、どうしていいのか分かっていない。
「自力で帰るしかないな。」勇輝が言う。
「そうね。それしかなさそうね。」勇輝と七奈美は職員室を後にした。
勇輝と七奈美は玄関に向かう。
すると、玄関の方から悲鳴が聞こえた。
「!」勇輝は走り出した。
七奈美もあとを追う。
玄関に来たところで、数人の生徒が校舎に引き返している。
「どうしたの?」七奈美が聞くが無視された。
仕方なく、サンダルをいつも履いている普通の靴に変えた。
玄関を出る。
二人は驚く。
人が人を襲っている。そして、人を喰らっている。
勇輝は口に手を当てる。
(エグい………)
七奈美はその場で吐いてしまった。
勇輝は七奈美の背中をさする。
勇輝は周りを警戒する。
あいにく、死体を喰らっている奴はこちらに気がつく。
「おい、小鳥遊、立てるか?」勇輝が聞く。
「なんとか………」七奈美は立ち上がるが、ふらついている。
死体を喰らっている奴がこちらに迫ってくる。
とにかく勇輝は武器になるようなものを探す。
すると、誰かの忘れ物か何かのコンビニに売っているようなビニール傘が置いてある。
それを勇輝は拾うと、七奈美を後ろに下がらせた。
ビニール傘を勇輝はそいつに向かって向ける。
「それ以上近づくなら容赦しないぞ!」勇輝はビニール傘を構えながら言う。
そいつは作業服を着ている中年男性だった。
それでも、近づいてくる。
「これが最後だぞ!これ以上近づくな!」勇輝が言う。
しかし、近づいてくる。
「しょうがない!」勇輝はビニール傘をスイングした。
そいつの横腹にヒットする。そして、倒れる。
「やったの?」七奈美が恐る恐る聞く。
大抵の人なら痛くて起き上がれないだろ。勇輝はそう思っていたが、そいつは立ち上がる。
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