記録35 交渉
新たな登場人物なし。
「ぐっ………」直也は遥に首を絞められた状態で宙に持ち上げられて苦しそうに足をバタつかせる。
「いい加減にしてください!俺も人を撃ちたくは無いんです!」勇輝は遥にコルトパイソン6インチの銃口を向ける。
それでも遥は首を絞め続けている。
勇輝はパイソン6インチの撃鉄を起こしてもう一度言う。
「最後に言います。やめてください。」勇輝が言う。
直也のバタつている脚が、徐々に静かになっていく。
「くそ!」勇輝が引き金を引こうとした時、
ドサ
突然、遥が直也を離す。
「ゲホッゲホッ」直也は咳き込む。
しかし、遥は直立不動のままだ。
「はぁ~~。」勇輝がその場に座る。
遥が急にキョロキョロと周りを見回し始めた。
「え………これ………私がやったの……?」遥が聞く。
「え!?覚えてないんですか?」勇輝が言う。
「やっぱり私がやったの?」遥が聞く。
「そうですけど、今はとにかくみんなの手当てをしましょう。手伝ってください。」勇輝が言う。
遥が首を横に振る。
「私はね。たまにこんなことになるの……。だから、一緒にはいられない。」遥が言う。
「なにいってるんですか!ちゃんと説明すればみんなも理解しますって!」勇輝が言う。
「また同じことをしちゃうかも知れないからここでお別れだね。」遥が言う。
そして、走って勇輝の部屋から出ていく。
「あ!待てよ!」勇輝が言う。
しかし、遥は出ていってしまう。
「追ってください!俺もあとから追います!」直也が横で首を押さえて言う。
「わかった!」勇輝も部屋を飛び出した。
遥はエレベーターで一階まで向かってしまった。
「エレベーター待ってるんじゃ、時間がかかるな……」勇輝は横の階段を降り始めた。
そして、二階まで来ると、下の階で自動ドアが開く音がした。
(一か八かだ!)勇輝は二階から飛び降りた。
グキッ
「いってー!」勇輝は二階から飛び降りたが想像以上に衝撃が強かった。
しかし、遥は振り向きもせずに、走っており、どんどん遠ざかっていく。
「くそっ!」勇輝は痛む足を気にせずに、遥を追った。
遥は走る。
勇輝も走る。
二人はゾンビの間を縫うように走る。
「どこいくんだよ!」勇輝が言うが遥は反応をしない。
二人は勇輝のマンション近くの鉄塔横のコンビニまで来た。
勇輝はかなり息が上がっている。
遥は突然、古びたマンションに向かった。
勇輝はそのあとを追う。
遥はマンションの螺旋状(らせんじょう)の非常階段を上る。
勇輝はある事を考えていた。
(まさかとは思うが………自殺とかしないよな。)
勇輝の考えは当たってしまった。
遥は非常階段を上り、マンションの屋上まで来てしまった。
屋上には貯水タンクぐらいしかなく、殺風景だった。
遥は屋上の端に立つ。
「バカなことはやめてくださいよ………」勇輝が言う。
「バカなことじゃない!」遥が言う。
「……私と一緒にいるとみんなに迷惑をかけるかもしれないから。」遥が言う。
「そんなのはどうでもいいんです!」勇輝が言う。
「な!?どうでもいい!?」遥が言う。
「そうですよ!どうでもいいですよ!俺は、目の前で仲間が死ぬのは見たくないんですよ!」勇輝が言う。
「…………。」遥が黙り混む。
「だから………やめましょう……」勇輝が言う。
しかし、遥は首を横に振る。
「でもやっぱり無理。今度は誰かが死んじゃうかも知れない……。」遥が言う。
「その時は俺が止めます!」勇輝が言う。
「………。」二人は黙り混む。
「本当?」遥が聞く。
「本当です!」勇輝が言う。
「そこまで言うなら………。」遥がそう言って屋上の端から離れようとした時、
ゴォォォ
「!」
突然、突風が吹いた。
遥がバランスを崩して屋上から落ちそうになる。
「わわわわ!」遥は必死に落ちないように粘っている。
勇輝はすぐに遥に駆け寄る。
しかし、遥は屋上から落ちる。
「大原さん!」勇輝が手を伸ばす。
ガシッ
なんとか勇輝は右手で遥の左手をつかんだ。
「ふ~~」勇輝が息を吐く。
しかし、遥は宙に浮いたままだ。
「引き上げますよ。」勇輝が言う。
すると遥が突然言う。
「後ろ!」
勇輝が首をひねって後ろを見ると、ゾンビが一体いた。
おや………この展開は………ゲフンゲフン……何でも無いよ。
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