記録2 遭遇
小鳥遊 七奈美(たかなし ななみ)
石川県立鶴来高等学校 1年2組 普通科
部活 女子テニス部
身長161㎝ 体重53㎏
体力はそれなりにある。
性格は強気。
成績は学年トップレベル。
テニスでは県3位に実力を持つ。
貧乳と言われるとかなり怒る。
隠しているが寂しがり屋。
ガラッ
教室のドアを開ける。
勇輝は教室の窓際の後ろの席。
清太は教室の教卓の前。
すぐに清太は教科書を机の上に置いて、勇輝の元へ駆け寄る。
「宿題見せて。」清太が言う。
「いや。」勇輝はきっぱりと断る。
「……。」清太は無言になる。
「お前は俺が留年しても良いと?」清太が聴いてくる。
「うん。」勇輝は頷く。
「………自力で頑張りますよ。」清太は教卓の前の自分の席に向かい、数学の宿題を始めた。
(トイレ行きたいな。)勇輝はそう思い、トイレに向かう。
教室を出ようとしたとき
ドンッ
誰かとぶつかってしまった。
「あ、わりぃ。」勇輝が言う。
「気を付けてよ!」キツイ感じでいってきたのは七奈美だった。
「………。」勇輝はそのまま去る七奈美を見ていた。
(ムカつく。)
勇輝はトイレに向かう。
トイレを済ませて教室に戻るとちょうどチャイムがなる。
朝のホームルームが始まる。
3限を終えて休み時間になる。
清太が駆け寄る。
「今の解の公式どう解くんだ?」清太は成績は悪いが今は頑張っている。
「ここはこうだよ。」勇輝が教える。
すると、担任の男性教員が走ってくる。
教室に入り言う。
「おい。早く座れ。」
「まだ、チャイム鳴ってませんよ。」男子生徒が言う。
「良いから、緊急だ。」みんなは、ただ事では無いことを察し、席に座る。
他のクラスの人も自分の教室に戻る。
「今、金沢でも猟奇殺人事件が起きた。さらに、何件もだ。だから、今回は学校は終わりだ。早く帰れ。部活も無しだ。」
男性教員が言うと
「やったー。」
「遊べる!」
「ゲーセン行こうぜ!」
ハイタッチをしているものまでいる。
「良いか。早く帰れよ。会長。」
「きりーつ、気をつけ、礼。」クラスの会長が言う。
皆は帰りだした。
「帰ろうぜ。」清太が言う。
「あぁ。今日は鶴来駅から帰るよ。」勇輝が言う。
「何で?」清太が聞く。
「定期が今日で切れるんだよ。」勇輝が言う。
「それなら良いぞ。」清太が言う。
勇輝はエナメルバックを担ぐ。
学校を出る。
皆はウキウキだ。
「今日何するんだよ?」清太が聞く。
「特に何も。」勇輝が言う。
勇輝はスマートフォンを取り出し、ニュースを見た。
「おい……これ………」勇輝は信じられない顔をした。
「どうした?」清太が除きこむ。
「石川県輪島市、七尾市、珠洲市、中能登町、金沢市などで暴動 現在石川県では、暴動と見られる事が起きており、自衛隊まで出動しています。石川県内に住む住民の方は戸締まりをきっちりして下さい。」
「ワンセグつけてみろ。」清太が言う。
勇輝はスマートフォンのワンセグ機能を着けた。以外と音が大きかった。
しかし、いつもは韓国ドラマをやっているはずが、特別ニュースになっていた。
『……現在ヘリは輪島市上空を飛んでいます!見えますでしょうか、市内至るところから黒煙が上がっています。そして、道には事故車両などがあります。なお、スタッフもヘリに乗る際に暴徒と見られる人に噛まれました。軽傷ですが苦しそうにしています。………ちょっと大丈夫?……え?……キャァ!や……やめて!噛まないで!ちょ……ギャァァァァァァ!!』
スタジオに切り替わる。
『佐藤さん?どうしました?……何かあったようです。ここからはスタジオからお送りします。』
ワンセグの音を聞いていた生徒達が早歩きになる。
「俺たちも帰ろう。」勇輝は携帯をしまった。
鶴来駅までは勇輝達は無言だった。
鶴来駅はそれなりに人がいた。
駅の宿舎では、心配そうな顔をした人達がいた。
「……電車はいつだ?」勇輝は時刻表を見る。
電車は10分後だった。
「これは、ただ事では無いな。」清太が言う。
「あぁ。」勇輝が言う。
周りを見ると、七奈美までいた。
七奈美はいつもつるんでいる女子と話していた。
(あいつ、電車通学か。)勇輝がそう思っていると電車の音が聞こえてきた。
「金沢からか。」清太が言う。
ホームに勇輝は出てみる。
何人かもホームに出てきていた。
しかし、電車は駅に近づいているのにスピードを落とさない。
むしろ、スピードが上がっていた。
「あれって………」勇輝が呟く。
すると駅員が笛を鳴らす。
ピーーーーー
「宿舎に皆さん入って!」
皆は宿舎に入る。
駅員はホームで電車に向かって大きく手を降っている。
しかし、電車はスピードを落とすことなく、終点の鶴来駅に突っ込む。
鶴来駅は元々終点ではなかった。まだ先に駅はあったが、かなり前に鶴来より奥は廃線になって砂利が引いてある道があるだけである。
そこに電車は突っ込む。
ガシャン
電車は線路が無くなっている先も進む。
砂利が音を鳴らす。
20mほど進んで電車は止まった。数人の駅員が走って電車に駆け寄る。
ドアを手動で駅員が開けた。すると
ガブッ
駅員はドアを開けたとたんに中から出てきた人はに噛まれる。
「ウギャァァァァァ!」駅員は必死に引き剥がそうとする。
しかし、
ブシャ
駅員の喉元から血が吹き出る。
近くにいた他の駅員が逃げる。
「キャァァァ!」誰かの悲鳴と共に駅にいた人達が逃げ出す。
悲鳴が辺りを包む。
「おい……俺たちも逃げるぞ!」清太が言う。
「あ……あぁ。」勇輝も賛成だった。
「学校にひとまず逃げよう!」
勇輝達が逃げようとしたとき声がする。
「待って!」それは七奈美だった。
勇輝は立ち止まる。
「おい、早く行くぞ!」清太が言う。
「お願い、スカートが木に引っ掛かってとれないの、お願い!助けて!」七奈美は必死に訴える。
七奈美のスカートが木製の壁から突き出た木に引っ掛かって取れないようだ。
見た感じ、つるんでいる女子は七奈美を放っておいて逃げたようだ。
「なんだよ……散々人に酷いこと言ってそれかよ。」勇輝は冷たく言う。
清太は無言で見ている。
「お願い……助けて……」七奈美は涙目になっている。
後ろから悲鳴が聞こえた。
「ギャァァァァァァ!!」
七奈美は体をビクッと震わせる。
「スカートに穴空いても良いな!どうせ短パン履いてるだろ!」勇輝は聞く。
七奈美は顔をたてに降る。
勇輝は素早くスカートの生地を掴み、引っ張る。
ビッ
スカートが取れる。
穴は小さく空いたが、短パンを履いているので気にならない。
「ありがと……」七奈美は小さい声で礼を言った。
「礼は後にしろ!後ろから来てる!」清太が言う。
後ろからは駅のホームにまで、“あいつら”が来ていた。
勇輝達3人は鶴来駅から逃げるように出た。
ようやくゾンビ出てきたけど、ゾンビとはまだ言ってない。
感想よろしくお願いいたします。