記録23 路面凍結
新たな登場人物なし。
勇輝達は車に乗り込む。
「もうちょっとつめて下さい。」智美が言う。
「これが限界。」夏海が言う。
勇輝達が乗るワゴン車には、普通は5人しか乗れないはずなのにそこに、7人も乗っているので、後部座席は身動きひとつ取れない状況であった。
直也は荷物と一緒にトランクに乗っている。
「良いか?」勇輝が聞く。
「良いけど………狭い!」七奈美が言う。
車は走り出した。
車は横転しているワンボックスカーの横を通って、叫ぶゾンビの横を通過して勇輝の家に向かう。
「まさか、銃が手にはいるなんて……」徐っ席で幸子がUZIを持ちながら言う。
「まぁ、これで今回の原因が分かったな。」勇輝は運転しながら言う。
「分からないわよ。もしかしたら、他の企業って事もあるかもよ。」遥が言う。
「そうでしたね。」勇輝が言う。
辺りはすでに暗くなっており、街灯が着き始めている。他には所々、民家やアパート、マンションの電気がついているだけだった。
「ゾンビしか歩いてない。」夏海が言う。
「映画どうりならヘリで脱出して、ミサイルの爆風を喰らって墜落ですけどね。」直也が笑いながら言う。
勇輝は急ブレーキをかける。
「いた!」直也が言う。
「………もう言いませんよ。」直也が言う。
車は住吉中交差点に差し掛かろうとしていた。
勇輝が車のスピードを落とそうとブレーキを踏む。
スーーー
車が滑っていく。
「滑ってる!滑ってる!」幸子が慌てる。
「分かってる!」勇輝が言う。
車は無事になんとか、住吉中交差点を曲がることが出来た。
「ヤベェな…路面凍結してる。」勇輝が言う。
「でも、歩いては行けないでしょ。」七奈美が言う。
「そうだな。暗いし危険だ。」勇輝は道の真ん中を歩いているゾンビを撥ね飛ばす。
ドン
車体が少しへこむ。
「みんなどこいったのかな?」夏海が言う。
「籠城でもしてるんじゃない?」幸子が言う。
すると、目の前に、黒い影がたくさん蠢いているのが見えた。
「何だろあれ?」七奈美が聞く。
「さぁな?」勇輝がライトをハイビームにすると、ゾンビの大群が見えた。
「げ!」勇輝が言う。
「突っ込めー!」夏海が言う。
「おう!」勇輝はアクセルを踏む。
エンジンが唸りをあげる。
ドガガガ
車は大量のゾンビを撥ね飛ばす。
右のヘッドライトが割れる。
「きゃっ!」智美が小さく悲鳴をあげる。
車はゾンビの大群を抜ける。
「無事に抜けたみたいね。」七奈美が言う。
「結構長かったわね。」遥が言う。
「それより、車は大丈夫?」幸子が聞く。
「何とかな。」勇輝が言う。
車は市立図書館、公民館付近のヤングドライ(クリーニング屋)がある交差点に来ていた。
「後は真っ直ぐだな。」勇輝が言う。
勇輝は交差点を右折する。
「家って、工大前駅ってのは知ってるけど、そこから徒歩何分?」七奈美が聞く。
「30秒位かな。」勇輝が言う。
「近っ。」七奈美が言う。
「………親はお前らに悪いけど任せるぞ。」勇輝が真剣に言う。
全員は無言のままうなづく。
車は工大前駅周辺まで来ていた。
勇輝が住むマンションも見えていた。
「家か………」勇輝がそう呟く。
「前!前!」幸子が突然叫ぶ。
勇輝が前を見ると、踏切にちょうど電車が止まっていた。
「くそ!」勇輝は急ブレーキをかける。
運悪く車は横滑りをしている。
「ぶつかる!?」七奈美が言う。
「ダメだ!全員衝撃に備えろ!」勇輝が言う。
電車に車が横滑りをしながら近づいていく。
ガシャァン
車は踏切のバーを折り、電車に激突した。
前回作の「キール」でも出てきた場所が多数あります。
そこもふまえて見ると面白いかもしれない………はず………。
感想もそうですが、評価もお願いします!