記録10 追い出される
新たな登場人物なし。
「人殺しは出ていけ!」
感染していくように、ドンドン罵声は広がる。
「出ていけ!出ていけ!」
もはやアンコールのようになっている。
「くそ!何だよ!」勇輝が言う。
しかし、避難住民達は出ていけとしか言わない。
「聞く耳は持たないようね。」七奈美が言う。
「とにかく出ましょう。」遥が言う。
「でも、取り囲まれてるぞ。」勇輝が言う。
勇輝達3人は体育館の隅っこに追いやられて取り囲まれている。
避難住民の中にはバット、鉄パイプを持っている人までいる。
「無理に出ようとすると殺されかねないわね。」遥が言う。
ここで、七奈美が動く。
「あんた達、何なのよ!こっちは死ぬ想いだったのよ!それと、全部正当防衛なんだから!それとも、あんた達は誰も殺してないと!?」七奈美が声を荒げた。
避難住民達は静かになる。
「図星か。」勇輝が言う。
すると、この事の発単となったスーツ姿の男性が再び言う。
「う……うるさい!お前らは人殺しだ!」
再び「出ていけ」と言う名のアンコールが始まる。
「こいつらに何言っても無駄だ!」勇輝が言う。
次第に取り囲んでいる人が勇輝達に近づいてくる。
「この人達近づいてない?」七奈美が言う。
遥が耳を傾ける。
「出ていけ」がある言葉に変わっていた。
「殺せ!人殺しは殺せ!」
「不味いわよ!この人達私達を殺す気よ!」遥が言う。
「そんなことは分かってる!」勇輝が言う。
次第に取り囲んでいる円が小さくなる。
「どうするのよ!」七奈美が言う。
「黙ってろ!今考えてるんだ!」勇輝が言う。
勇輝は腰に刺していたものに気がつく。
それに勇輝は手を伸ばす。
パン
「きゃぁ!」七奈美が小さな悲鳴をあげる。
遥も小さく体がビクッと反応する。
取り囲んでいた避難住民達も小さな悲鳴をあげる。
「うぉっ!」
「ひゃっ!」
勇輝は避難住民達に拳銃を向けていた。
「いいか!撃たれたく無かったら大人しく逃がしてくれ!」勇輝が言う。
勇輝は先程天井に向かってS&W M37を撃った。
避難住民達は静かになり、大人しく体育館の入り口まで道を開けた。
「いいか?大人しくしてろよ!」勇輝は警戒しながら進む。
その後に遥、七奈美がついてきている。
無事に体育館を出る。
ガシャン
大きな音と共に体育館の扉が閉められる。
「ここはもう駄目ね。」遥が言う。
「そうだな。さっさと車に乗ろう。」勇輝が言う。
明光小学校前のワゴン車に乗る。
「避難所は全部こんな感じかな……?」勇輝が運転席のハンドルにうなだれる。
「最悪の場合……」七奈美が言う。
「とにかく車を動かして。後ろにゾンビが見えるわ。」遥が言う。
勇輝はバックミラーを見るとすぐそこにまでゾンビが迫った来た。
「行くぞ。」勇輝は車をゆっくり発信させた。
勇輝達は道を真っ直ぐ進む。
途中で広陽小学校が見てきた。
この小学校は周りを田んぼに囲まれて、さらに勇輝が運転するワゴン車が走る道とは一本ずれている。
勇輝達は寄ろうかと思ったが、寄ることは出来なかった。
小学校は炎に包まれていた。
消防車が一台止まって消化活動を行っていたが、全く意味が無い。
「酷い………」七奈美が言う。
車は荒屋交差点に来る。
荒屋交差点付近は20軒ほどの小さな住宅街がある。
すると、直進、左折出来ないようにパトカーが道を封鎖している。
警官が右に行けと合図を送っている。
「何?」遥が聞く。
「さぁ?とにかく従おう。」勇輝は荒屋交差点を右折する。
すると、すぐ先にパトカーが道を封鎖している。
今度は左の裏路地に誘導される。
「どうゆう事なんだろうな?」勇輝は左折して、住宅街に入る。
すると、目の前にある施設が見えた。
「変電所………」七奈美が言う。
勇輝達は南金沢変電所に車を入れる。
そこには何人もの人が見えた。
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