第1話 始まり
世の中に呪われし140個の武器有り!
その一つ一つに能力宿りし!
また、その武器、主のみ、能力を操れるなり。
火、風、雷、すら操る武器はこう呼ばれし。
「魔器」
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世界で第4位の面積を持つ、ナエード大陸。
その中にある13個の独立国。
そして、さらにその中の13個のうちのひとつ、サイオウド王国では、ある王によって厳しい支配を受けていた。鞭を撃たれ、泣き叫ぶ女性と子供、王国が勝手に始めた戦争に巻き込まれる男性。それらのたくさんの人々は少しの人たちのために死ぬ物狂いで働かなければならなかった。
「おい、おい、容赦なしだな。」
と、ある男が言った。ボロボロの手提げと、あまり豪華とは言えない服装、そして、腰に一本の刀。この刀だけが唯一、きれいに光っていて、異様な空気を醸し出していた。
「で、この国で間違いないんだろうな?依頼は・・・。」
と男が聞くと、その付き添いの男性は
「はい、この国に依頼が入っています、キル様。」
と答えた。
「まぁ、この様子からみて、間違いないだろうな。よし、行くぞ、フォー。」
と行った時には、すでにキルは歩き出していて、この酷い現状に見とれていた、フォーはすぐに後を追って走った。
「で、今からどうするんですか?」
「まずは、しっかりと確実に情報を集めなければいけないだろ。ただ闇雲に王のもとへ突っ込んだって死ぬだけだ。まぁ、俺は大丈夫だろうが、お前は死ぬだろ。」
フォーはすかさずメモを取った。と、そこにある集団が近づいてきた。勿論、キルなども例外なく働けということなのだろう。外から来た者まで働かせるとはどういう国だよ!と突っ込みたくなったが辞めた。
「おい、お前達、どこから来たか知らないが、この国の掟だ。部外者は、金貨5枚分働いてもらうことになっている。道具はここにあるぜ。」
と言って差し出してきたのは、スコップだ。
「そんな・・・。金貨5枚分なんて。」
とフォーが突っ込むと男はスコップを振り上げた。
「掟も守れねえようなやつは死ね!」
フォーは目を閉じた。あぁ、人生短かったな。と悔みながら。
5秒くらいしても痛みは全く襲ってこず、聞こえたのは男とキルの声だけだった。目を開けた。
「分かったよ、分かったから。」
と言ったのはキル。どうやら自分は生きていたのだとフォーは思った。
「よし、じゃ、任せたぞ。」
と男がキルにスコップを渡すと、スコップを渡されたロイはそのスコップで男を思いっきり殴った。ゴンと鈍い音が響いて、男が倒れる。
他の男は絶句した。
「で、王はどこにいるの?」
とロイが素っ気なく聞くと、男たちはようやく我に返った。すぐさま、
「貴様などに教えるかあ!」
とスコップを捨て、剣を抜きだして襲ってくる。キルはスコップでそれを受け止めた。ガツンという音が空に響き渡る。
「ああ、俺とやるなんて、なんて不幸な男よ!」
とキルは言いながらスコップで軽く敵の攻撃をすべて止めて見せた。
「くっ、こいつただもんじゃねえ。」
と男が言う。キルはまぁね~と、手を振ってほほ笑んだ。
男が先ほどから怒涛の攻撃をしているにも関わらず、一つもキルにダメージを与えていないのだ。
「さっ、王に会わせろ、いい加減、諦めて。」
と、その時勢力が逆転した。報告を受けた王はキルを殺すべく、援軍を送ったのだ。
「あちゃー。」
とキルはさほど残念でもなさそうに、わざとらしく言って見せる。そして、そのあと
「まぁ、やるしかねぇか・・・。」
と刀を手にした。援軍による弓矢が一斉に空を覆い尽くした。が、その弓矢はキルにとってあまりにも無力だった。その弓矢は一斉に灰になったのだ。援軍もこれには驚きの様子を隠せなかった。
「こいつ、もしかして魔士か!?」
魔士とは、魔器を使うものを指す。一般に言えば、人にはない力を引き出せるのである。
「あぁ、だからなんだ?早く、王に会わせろって。」
「だったら、なおさら危険だ。王に会わせるわけにはいかないな。」
「そうか・・・。じゃあ、用なしだ!死ぬがいい!」
「炎の魔器発動!炎の騎士、フレイムナイト!!」
キルの肩ぐらいから発生し、渦となって空に伸びる。そして、キルはそれを相手に振りかざした。一瞬で軍隊は壊滅状態、つまり灰と化した。
「あれだけの敵相手に・・・勝った・・・。」
とフォーが信じられないような声をあげた。
「よし、じゃ、王に会いに行くぞ!」
「分かりました!」
と2人は王のもとを目指すのだった。