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結婚しておいてと姉が手紙を残して家出した  作者: みみぢあん


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14/14

14話 2度目の結婚式 END


「今度こそ、無効にしないで下さいね?」


 祭壇前に立った私たちに神官様がチクリと釘をさすと。苦笑を浮かべたクロード様は神官様に言い返す。


「僕も、こんな経験は二度もしたくはありませんから」


 私たちの結婚式に参列したのはクロード様のお父様と私の両親。ソールズ伯爵領の領民と二つの家に仕える使用人たち。

 マグノリアお姉様は予想通り欠席したけど。


 親しい友人や近い親戚だけを招待して、前回の結婚式よりもずっと質素で規模を小さくして行われた。


 女神様に二度目の宣誓をして、神官様に二度目の誓いのキスを促されると──



「前の時はベッタリと塗った口紅のせいで、出来なかったから……」


 ……とクロード様は先に言いわけをして、花嫁のベールも無く豪華さからは程遠いシンプルなドレスを着た私に、少し長めの誓いのキスをした。






◆  ◆  ◆  ◆


 2度目の初夜。


 クロード様の寝室で仲良く並んでベッドに転がり、無事に結婚までたどり着けたことを二人で喜び合った。


「ビオレータ…… 今だから言うけどね」

「んん?」


 他には誰もいないのに。なぜかクロード様は私の耳に唇をよせて、ヒソヒソと話しだす。


「前回の初夜で初めてキスをした時。本当は君だと気づいていた」


 苦笑いを浮かべたクロード様は、私の耳にキスをした。


「えっ⁉ クロード様……?」

(私が純潔を捧げた時のこと…… よね? んんん……? お姉様ではなく私だと知っていて、クロード様は受け入れたの?)


 ポポポポッ…… と顔が熱くなり、恥かしくて手のひらで頬をかくした。


「ごめん、ビオレータ。やっぱり怒っている?」

「い…… いえっ! 怒ってはいませんけど……」

「けど……?」

「どうして、そんなことをしたのですか?」


「うん。それはね……」


 クロード様は最初の結婚式の間じゅう、身代わりの私がずっとマグノリアお姉様()()()()()態度(礼儀正しい態度)だったから、入れ替わっていると薄々気づいていたけど。

 ……身代わり花嫁姿の私と初めて対面したのが、神殿の祭壇前だったから。その場で確かめることができずに、何も気づかないフリをしたのだそうだ。


「初夜の前にマグノリアと君が入れ替わっていることを明かして僕が騒げば、この結婚は…… デントン家とソールズ伯爵家の縁談は、完全に流れてしまうと思ったんだ」


 確かにそのこともあって、お母様は(あせ)って私を身代りに仕立て上げようとしたけど。


「でもそれだとデントン家の借金と土地の問題は、どうなるのでしょうか?」


 私がたずねると、クロード様は厳しい表情を浮かべる。


高潔(こうけつ)で誇り高い父上は許さなかったと思うよ。今の当主は僕だけど…… 家督を継いだばかりの若輩者では、まだまだ父上には逆らえないからね」


 伯爵家に(おん)(あだ)で返すようなことをしたのだから。

 下手をするとデントン家は多額の慰謝料を請求されたうえに破談となり、借金に大きな利子をつけて返さなければいけなくなっただろう。


「……っ」

(危なかった!)


 こうやって後から考えると、お母様の大胆な行動は間違ってはいなかったらしい。


「マグノリアに裏切られた後だから、父上が僕たちの結婚を許すかどうかも疑問だったし。だけど君の純潔を僕が奪ってしまえば、さすがに父上も反対はしないだろうと」


「僕たちの結婚? だから私の純潔を……?」

(クロード様は私が純潔を捧げる前に、私との結婚をすでに考えていたの?)


 隣に転がる私の頬をなでながら、クロード様がほほ笑んだ。


「君は完璧な花嫁だったから。マグノリアと入れ替わっていると気付いた時に、君を逃したくないと思ったんだ」


 クロード様と初めてのキスをした時──

『もう一度だ。もう一度キスしても良いか?』


 あの時の私は拒まず喜んで受け入れた。だからクロード様はそのまま最後まで初夜の儀式をやり通した。


 私は唖然とする。私が思うよりもクロード様は計算高かった。

 ……たぶん私がぼんやりしすぎなのだ。



「子供の頃から君は完璧な淑女だっただろう? 僕やマグノリアよりも年下なのに、君はいつも礼儀作法が素晴らしくて。だから小さな淑女を密かに尊敬していたんだ」


 クロード様は私との間に線を引いたのではなく。私を一人の淑女として扱おうと、紳士らしい態度で私に接していたのだ。


「知らなかった」

「……それでマグノリアには散々責められたけどね」


「私はクロード様に良く思われたくて、していただけで……」


 大胆で気が強いマグノリアお姉様の影のように。ぼんやりとしていて地味で平凡な私には、努力することしかできなかった。


 魅力的な紳士のクロード様に、年下だからと子供っぽい姿をさらしたくなかったから。私は精一杯の背伸びをしていた。


 その努力をクロード様は素晴らしいと認めてくれた。こんなに嬉しいことはない。


「僕のために? ……そうなのか…?」 

「ええ」


 クロード様が嬉しそうに笑った。



 今度こそ完璧な初夜をむかえ、私たちは結ばれた。



ー END ー


ここまで読んで下さりありがとうございました!




異世界恋愛ジャンルを書き始めたころの作品なので、修正部分が嵐のように多かったのですが。(元々ショートショートにするつもりだったので、設定が甘いどころかスカスカだった)

今回の書き直しで、足りない部分を上手く補えたのではないかと思われます。

2年後ぐらいに読み返したら、また修正したくなりそうですが(-_-;)


また、どこかでお会い出来れば幸いです(^^)/

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― 新着の感想 ―
なんか常に妹と比較される姉の気持ちも解らなくはないな。
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