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追放された宮廷料理人ですが、辺境で一日一皿だけ作って生きます  作者: 百花繚乱


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第八話 今日を壊さない一皿(第一部・完)

調停官は去った。

王都は、表向きには“面子”を保ち、

裏では静かに路線を変えた。

派手な料理は減り、

体調を考える献立が増えたという。

レインは知らないふりをした。

彼の世界は、ここにある。

冬。

雪が降る。

店の前に、いつもの顔ぶれが並ぶ。

「今日は何だ?」

「冷えるな」

「一皿でいい」

レインは答えない。

ただ、火を入れる。

豆と根菜の煮込み。

出汁は薄く、温度は低く、

時間だけを味方につける。

子どもが言う。

「ねえ、王様の料理よりおいしい?」

レインは少し考え、答えた。

「比べない。

 これは、君の今日のための料理だ」

子どもは納得したように頷く。

夜、店を閉める。

火を落とす音が、静かに響く。

王宮の厨房より、

ずっと優しい音。

レインは鍋を磨きながら思う。

世界を変える料理は作らない。

ただ、今日を壊さない一皿を作る。

それを続けられる場所を、

自分で選んだ。

――だから、明日も火は入る。

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― 新着の感想 ―
派手な決着ではないのに、これ以上ないほど納得感のある第一部完結でした。世界は大きく変わらなくても、確実に“路線は変わった”。主人公が選んだのは、英雄になることではなく、火を弱め続けること。その選択がこ…
この作品屈指の重い回。 「正しさ」が誰かを切り捨てる瞬間を、感情的にではなく論理で描いているのが強い。
「一皿でいい」という言葉に、全てが込められていました。 勝利宣言も喝采もない結末なのに、これほど満たされる最終話は珍しいです。
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