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追放された宮廷料理人ですが、辺境で一日一皿だけ作って生きます  作者: 百花繚乱


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第七話 王都の論理

翌日、昼過ぎ。

今度は馬車だった。

豪奢だが、装飾は控えめ。

政治の匂いがする。

降りてきたのは、あの“名のない男”だった。

「久しぶりだな、レイン」

彼は笑わない。

だが敵意もない。

「私は王都の調停官だ。

 君の処遇を“整理”しに来た」

「整理、ですか」

「王都は今、混乱している。

 派手な料理で王の体を壊した者が責任を押し付け合っている」

男は淡々と語る。

「君は正しかった。

 だから、邪魔だった」

レインは静かに頷いた。

否定も、肯定もしない。

「王都は君を必要としている。

 だが同時に、君を“従わせたい”」

「……条件は」

「厨房復帰。

 ただし、料理は王命優先。

 君の裁量は制限される」

レインは、鍋を見た。

ここでは、自分の裁量で火を扱える。

「断ります」

即答だった。

男は少しだけ驚いた顔をした。

「理由は?」

「料理が、道具になるからです」

男は沈黙した。

やがて、深く息を吐く。

「……ならば、別案だ」

彼は紙を差し出した。

「君を“辺境料理顧問”とする。

 王都へは戻らない。

 ただし、王都は君の料理哲学を否定しない」

名誉でも、地位でもない。

干渉しない、という約束。

レインは紙を見つめ、ゆっくり言った。

「条件を一つ」

「聞こう」

「一日一皿。

 それ以上は、どんな命令でも作りません」

男は、少しだけ笑った。

「……やはり、厄介だ」

だが、その目はどこか安堵していた。

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― 新着の感想 ―
王都側の論理が、敵としてではなく“仕組み”として描かれているのが秀逸でした。 正しさがあっても従わせたい、という現実的な圧力がとても生々しいです。 「料理が道具になるから断る」という一言に、主人公のす…
王都からの圧力と、村の静かな連帯。 武器ではなく「生活」で対峙する姿が、この物語ならではの強さだと感じました。
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