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2025~作品

ストレンジャー・オールアウトアタック

作者: 蒼月
掲載日:2025/11/02

やたらと強い敵が来た。

人型の、わかりやすく黒ずくめの敵だ。

今までのような調子でやってきたストレンジャーだが、いつものように集まっただけでは、とても太刀打ちできなかった。

黒ずくめの敵は、ストレンジャーたちを前に言った。

「我が名はブラック・キング!お前ら、やる気あんのかァッ!!」

何故か敵なのに喝を飛ばすブラックキング。

だが、彼らにやる気なんてあるわけがない。

ただでさえ、やる気がない彼らのことだ。

しかも、今日は雨。

ほぼ惰性で出動した奴らだけだった。

「そんなこと言われましても……」

「え?」

「僕ら、雇われだし……」

「今日、雨だし……」

「彼女にフラれたし……」

やる気のなさをまるで隠す気のないストレンジャーたち。

しかも、黒ずくめの敵を相手にしている今回に限って、全員黒スーツである。

「帰れ!」

「帰りまーす」

「本当に帰るやつがあるか!街とか襲うぞ!!」

脅しにかかるブラックキング。

「なんか給料に見合ってない気がする……」

「分かる……」

「分かります……」

「最近、キャベツとか高いし」

「肉も」

「魚も」

もはや、その辺の一般人である。

そんな彼らの様子を、一人遠隔で見ている者がいた。

組織のトップ、田中ヨシノブである。

「街に危害が及ぶと、訴えられるかもしれないしなぁ……」

この男も、まるで正義感のない男だった。

もうダメである。

「仕方ない。あれを使おう」

そう言って、ありがちな丸い赤ボタンを押した。

瞬間、全てのサービス登録者たちに通知が届く。

「総員!今すぐ現場に直行せよ!!報酬として、ボーナス十万を給付する!!」

その話を聞き、ストレンジャーたちは珍しくやる気を起こした。

司令からわずか数分で、公園が戦隊スーツの群れで埋まった。

本来なら圧巻の場面。

でも、彼らは猫背。

走り疲れて肩で息をしている。

だから、子供が見たら泣くぞ。

登録者のスマホから、一斉にヨシノブの声が響く。

「総員、突撃じゃー!」

投げやりである。

数でどうにか出来ると思っている。

やる気がない奴らなので、仕方がないといえばそうではあるが、彼らにはカッコ良さのカケラもなかった。

拳、蹴り、チョップ、野次と精神攻撃、頑張れしか言わない応援、バット、木の枝、ゴルフクラブ、銃器、レーザー、スリッパ!そしてハリセン!!

やっぱり、集団暴行である。

総攻撃ともなれば、アツいシーンなのにこのザマである。

でも、いつもよりやる気はある。

金の力で、やる気になっている。

つくづく、現金な奴らである。

「くっ。今回はここでさらばだ!」

ブラックキング、逃げた。

そりゃ、そうだ。

こんな奴らにやられたくないだろう。

彼のプライドが見えた瞬間であった。

一方、ストレンジャーたちはもみくちゃになっていた。

まだ、戦いが終わったことに気づいていない。

ヨシノブはため息をつく。

「こんな奴らに金払うのか……」

自分で蒔いた種である。

なんだかんだ、今回もストレンジャーたちは勝利したのだ。

それでは、いつものセリフ。


「正義のために、今日も彼らは悪と戦う。頑張れ!ストレンジャー!!!」


ナレーターの私も、給料上がらないかなぁ……

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