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家の前で酔い潰れてたダウナーやさぐれメイドを助けたらなぜか同棲が始まった  作者: 雨谷夏木
二章 駄メイドと送る同棲生活

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口癖が『あらやだ笑』だったためばばぁだと思われていたが、後半でじじぃだとわかる叙述トリックのある推理小説

 約束通り、居酒屋の代金は(さかき)さんが払ってくれた。


 店を出ると、少し肌寒い夜が僕たちを迎えた。


「ありがとうございます。ごちそうさまでした」

「いーって。あと、これ」

 榊さんが、僕の手にお(さつ)を握らせてきた。


「ここ数日泊めてくれた分とか、初日に公太郎ン()の食材使わせてもらった分とか、色々と世話になった分」

「別に、こんなのいいのに」

 お金を突き返そうとすると、榊さんは目を閉じて静かにかぶりを振った。


「給料入ったら払うって言っただろ? あたしがすっきりしたいだけだから、もらっといてくれ。別に、その金は募金してくれても、あたしに驕ってくれても、貯金しても、好きに使ってくれていいから」

「……わかりました」


 大人しく、僕はそのお金を財布の中にしまう。

 普段はかなりだらしないのに、こういうところはしっかりしているんだよな。


「じゃー、次の店いくか」

 颯爽と肩で風を切る榊さんの歩き姿は、普段と全く変わらない。


「結構飲んだのに、全然酔ってなさそうですね」

「まー、あんくらいじゃな」

 十杯以上飲んでおいて、あのくらいなんだ?


「次の店、どっかいきたいところあるか?」

「任せます。榊さんがいくところなら、どこでもついていきますよ?」

「ふぅん。地獄でもか? ──なーんて寒いこと言ってもいいか?」

「いいですし、全然いきますよ」

「公太郎は狂信的なあたしの信者だなぁ」


 どこにでもついていこう。

 榊さんがいく場所なら。

 天国でも地獄でも。


「あ、今脳内でポエムってる顔してたな」

「なんでバレた」

 言ったあと、僕はツッコミを重ねた。

「いや、ポエムってるってなんだよ」


   〇


 二件目は、海鮮系の料理が有名なチェーン店の居酒屋だった。

 そこでも榊さんは飲み放題を注文していた。二軒連続飲み放題を選ぶことって、普通なんだろうか。絶対普通じゃないような気がする。


「僕、あんまり飲めないかもです。すみません」

 飲み放題を頼むには、そのテーブルの全員が飲み放題にする必要があるようだ。


「いいって。その分あたしが飲むし。というか、あたしが飲み放題にしたいだけだからさ」

 その店でも、僕らはしょうもない話ばかりしていた。




「神に脱色されて白くなった熊がもしいたら、なんかウケるよな」

「それ、北極辺りにもういますね。シロクマっていうんですけど」



「アルファベットを全員集めてトーナメント開いたら誰が一番強いんだろうな」

「不参加と思われていたQがあとからやってきて全てをめちゃくちゃにして、トーナメントが中断されそうですね」



「あたしがアニメ化したら、やっぱりパチンコも出るのかな」

「一般人はアニメ化されませんし、前にスロットのこと、金をドブに捨てるようなもんって言ってたのでオファーこないんじゃないですかね」



「一つだけ異能力が使えるなら、やっぱ骨折を治す能力だよなー」

「榊さんってスケルトンだったんですね」



「口癖が『あらやだ笑』だったためばばぁだと思われていたが、後半でじじぃだとわかる叙述トリックのある推理小説」

「現実でネタツイ言うのやめた方がいいですよ」




 酒が少し回ってきたのか、二軒目では榊さんはずっと変なことばかり言っていた。


 榊さんは、めちゃくちゃ楽しそうだった。自分で言った言葉にツボったり、僕のツッコミに爆笑したり。

 そしてこれは言うまでもないのだが。


 僕も、彼女と同じかそれ以上に楽しかった。


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榊さんのネタツイ回だ!
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