27
三
時間が止まった。
いや俺の思考だけが現実から切り離され、永遠とも思える瞬間の中に閉じ込められてしまったかのようだった。
目の前に父さんがいる。
死んだはずの父さんが。
王都のあの血塗られた広場で俺に「父親殺し」の罪を背負わせないために、自らの胸に聖剣を突き立て命を絶ったはずの父さんが。
今俺の目の前で聖剣アスカロンを握りしめ立っている。
幻覚か?
死ぬ間際に見るという走馬灯の一部か?
だが頬を伝う涙の温かさが、これが現実なのだと俺に告げていた。
魔王の巨体が完全に塵となって消え失せる。
後に残されたのは圧倒的な静寂と、そして俺とレシア、そして父さん三人だけだった。
「……父さん……!」
俺は叫んだ。
腹の痛みも体の疲労も全てどこかへ吹き飛んでいた。
俺はよろめきながら立ち上がり父さんの元へと駆け寄った。
そしてそのたくましい胸に飛び込もうと両腕を広げる。
会いたかった。
ずっと会いたかった。
謝りたかった。
ありがとうと伝えたかった。
愛してると言いたかった。
溢れ出す感情がぐちゃぐちゃになって俺の中で渦巻いていた。
父さんの匂い。
汗と鉄とそして太陽の匂い。
俺はその胸に顔を埋め、子供のように泣きじゃくろうとした。
その寸前だった。
「ウオ!!! 逃げて!!!」
背後からレシアの絶叫が響き渡った。
その声はただの悲鳴ではなかった。
俺が今まで一度も聞いたことのない恐怖と絶望に満ちた、魂からの叫びだった。
「そいつは貴方のお父さんじゃない!!!」
俺の動きが止まる。
何を言っているんだレシア。
父さんが父さんじゃないなんて。
そんな馬鹿なことがあるはずないだろう。
俺はゆっくりと顔を上げた。
そして俺を見下ろしている父さんの顔を見た。
その顔に浮かんでいたのは俺の知っている、不器用で優しい笑顔ではなかった。
何の感情も宿っていない。
まるで精巧に作られた人形のような、空っぽの無表情。
そしてその瞳。
そこには光も闇もなかった。
ただどこまでも深い虚無が広がっているだけだった。
その瞬間俺の脳裏にレシアの言葉と一つの単語が、雷鳴のように結びついた。
この都市国家の名前はキミシダイ帝国。
キミシダイ。
この小さな都市国家という箱庭の中では、独裁者次第でどんな解釈も曲げられる。
そうだ。
俺達はまだフィボナッチの術中にいるのだ。
目の前のこいつは父さんじゃない。
フィボナッチが作り出した父さんの姿をした何か。
俺の最も愛し最も尊敬する人間の姿をした、罠。
俺の全身から血の気が引いていくのが分かった。
「……え?」
俺の口から間抜けな声が漏れた。
もうすでに時は遅かった。
俺が抱きつこうとしていたその腕。
父の姿をしたその化け物は俺を抱きしめ返そうとはしなかった。
その手に握られていた聖剣アスカロンが閃光を放つ。
俺の胸の中心に焼けるような激痛。
ザシュッ。
という生々しい水音。
俺の視界がぐらりと揺れた。
何が起きたのかすぐには理解できなかった。
ゆっくりと視線を下げる。
俺の胸には大きな穴が空いていた。
その穴から見慣れた聖剣の切っ先が突き出ている。
父さんがいつも手入れをしていた聖剣アスカロン。
その剣が今俺の心臓を貫いていた。
「……あ……」
俺の口から血の泡と共に空気が漏れた。
信じられないという感情すら湧いてこない。
ただ空白。
俺の頭の中は真っ白だった。
抱きしめてくれるはずだった。
助けてくれるはずだった。
父さんの腕の中で。
剣を貫かれたまま俺の体は前のめりに倒れ込む。
そして父の姿をした化け物の胸にもたれかかった。
父の冷たい鎧の感触。
血の鉄臭い匂い。
俺は薄れゆく意識の中でその顔を見上げた。
その瞳は相変わらず空っぽの虚無だった。
息子を貫いたというのにその表情には何の変化もない。
そして俺の視界の端でレシアが信じられないといった顔で、その場に崩れ落ちるのが見えた。
ああ、そうか。
これが試練。
これが母リリアが用意した本当の試練。
俺の愛した記憶。
俺の愛した父の姿。
その最も神聖な思い出の手によって、俺の心を完全に破壊するための最も残酷で最も悪質な儀式。
意識が闇に沈んでいく。
その最後の瞬間に俺の耳の奥で知らないはずの声が響いた。
――よくやった、我が駒よ。
――これでようやく本当のお前が目覚める。
その声が誰のものだったのか。
それを確認する前に。
俺の世界は完全に終わった。
第四部 キミシダイ帝国編
第四章:君が為の鎮魂歌
一
私の世界が終わった。
目の前でウオの胸を聖剣アスカロンが貫いた。
彼がずっと追いかけてきた英雄の姿をした偽物が。
彼の最も神聖な思い出の手によって。
時間が凍り付いた。
音も色も匂いも全てが意味を失い、私の意識はただ目の前でゆっくりと崩れ落ちていくウオの姿に釘付けになっていた。
「……あ……」
喉から漏れたのは声にもならない空気の塊だった。
信じられないという感情すら湧いてこない。ただ空白。私の頭の中は真っ白だった。
ウオの体が前のめりに倒れ込む。
そして父の姿をした化け物の冷たい鎧にもたれかかった。
血が流れる。
ウオの温かい血が。
石畳に黒い染みを作っていく。
その光景を私はただ見ていることしかできなかった。
足が地面に縫い付けられたように動かない。
悲鳴を上げることもできない。
私の魂が肉体から完全に切り離されてしまったかのようだった。
ああそうか。
これが絶望。
父と母を失った時も村が焼かれた時も感じたことのない、本当の絶対的な絶望。
私の光が今目の前で消えようとしている。
意識が闇に沈んでいくウオ。
その最後の瞬間に彼の耳の奥で響いたという声。
『――これでようやく本当のお前が目覚める』
その不吉な宣告は現実のものとなった。
ウオの体がびくりと痙攣した。
そして彼の胸を貫いていた聖剣アスカロンが、まるで異物を拒絶するかのようにゆっくりと押し返されていく。
傷口から金色の治癒の光ではない、どす黒い禍々しいオーラが溢れ出した。
その闇の力は見る間に彼の致命傷であるはずの傷を塞いでいく。裂かれた皮膚、肉、骨が冒涜的な生命力によって強制的に繋ぎ合わされていく。
そしてウオがゆっくりと顔を上げた。
「……っ!」
私は息を呑んだ。
違う。
あれはウオじゃない。
彼の瞳。
優しくて時折深い悲しみを湛えていた、あの金茶色の瞳はどこにもなかった。
代わりにそこにあったのはこの世の全ての感情を見下すかのような、冷たくそしてどこまでも深い真紅の瞳。
その瞳に私の姿が映った。
だがその視線は私を見てはいなかった。まるで道端の石ころでも見るかのように、私の存在をただの情報として処理しているだけ。
彼の立ち姿が変わる。
猫背気味だったその背筋が傲岸不遜な王のようにまっすぐに伸びる。
その全身から放たれるオーラが変わる。
不器用な優しさも危うげな少年性も全てが消え失せ、代わりにこの世界の理そのものを支配するかのごとき絶対的な存在感が溢れ出していた。
ウオの人格は消えたのだ。
今そこに立っているのはウオの肉体という器を乗っ取った別の何か。
母リリアが渇望し父エミールが恐れた存在。
大魔王ダイマ・オウ。
その覚醒を私は目の当たりにしていた。
大魔王はゆっくりとその身を起こした。
そして自分を貫いた偽物の父に一瞥をくれると、興味を失ったかのように視線を逸らした。
偽物の父は役目を終えた操り人形のように、その場に立ち尽くしたままぴくりとも動かない。
大魔王は誰に語りかけるでもなく静かに、しかしこの場の全てを支配する声で言った。
「見事であったぞ『独裁』のフィボナッチ。我が覚醒のための最後の儀式。その舞台を整え役者を動かし、この矮小な魂を絶望の淵に叩き落としたその手腕。褒めて遣わす」
フィボナッチ。
このキミシダイ帝国の王。
やはりこの悪夢のような光景は全てそいつが仕組んだことだったのだ。
どこからか声が響いた。
それは男の声だった。
城の奥深くから魔法か何かで拡声されているのだろう。
声は歓喜と畏怖に打ち震えていた。
『もったいなきお言葉! このフィボナッチ、我が身我が魂その全てを捧げ、貴方様の御帰還をお待ちしておりました!』
「うむ。その忠誠心、確かに受け取った。だがフィボナッチよ。お前は少し用意周到が過ぎるな。未だその虚構の城の中から一歩も出てこようとはせんか」
大魔王は面白そうに言った。
『はっ! 申し訳ございません! 貴方様の御力の余波に触れることすら恐ろしく……!』
「良い。それで良い。用心深いことは美徳よ。俺は王都のあの魔王のように愚かではない。駒は駒として最大限有効に使う。お前はこれからもその玉座から俺の手足となって働けばよい」
『ははーっ! ありがたき幸せ!』
フィボナッチの声が消える。
後に残されたのは圧倒的な静寂と、そして絶対的な支配者として君臨する大魔王の存在だけだった。
私は震えていた。
恐怖にではない。
絶望にだ。
終わった。
何もかも終わってしまった。
ウオはもういない。
私の愛した少年はあの真紅の瞳の奥深く、光の届かない魂の牢獄に閉じ込められてしまったのだ。
そして今彼の体を支配しているのは世界を滅ぼす災厄。
私はどうすればいい?
この絶望的な状況で私に何ができる?
戦う?
誰が?
この私が?
私は自分の手を見下ろした。
そこには村の親方が作ってくれた護身用の短剣が握られている。
だがそれは今の私にはあまりにも無力な玩具にしか見えなかった。
私はウオのように強くない。
ライアのように特別な力も持っていない。
私はただの村娘だ。
支援魔法と回復魔法を少しだけ使えるだけの非力な人間。
そんな私がどうやってあんな化け物に立ち向かえというのか。
涙が溢れてきた。
自分の弱さが憎かった。
悔しかった。
ウオが魔王と戦っている時も、ライアがリリアと対峙した時も、私はいつも誰かの背中に隠れて祈ることしかできなかった。
そして今もまた。
ウオが彼自身の内なる敵に喰われているというのに、私はただ震えていることしかできない。
どうすればウオを助けられる?
思考が高速で回転する。
恐怖に支配されかけた理性を必死に繋ぎとめる。
このままここにいても殺されるだけだ。
大魔王は今覚醒したばかり。フィボナッチとの会話から察するにまだ私達に意識を向けてはいない。
だがそれも時間の問題だろう。
逃げる?
でもどこへ?
そして逃げてどうする?
ウオを見捨てて私一人生き延びて何の意味がある?
いや違う。
違う。
思考の袋小路に一つの光が差し込んだ。
そうだ。
私一人では勝てない。
だが私でなくても勝てる人間がいるかもしれない。
この世界のどこかに。
『愛眼』に敵対する勢力。
あるいは父エミールのような本物の勇者。
もしかしたら大魔王の力を打ち破る古代の魔法や遺物が存在するのかもしれない。
それらを探すのだ。
そのためにはまず私が生き延びなければならない。
情報を集め仲間を探し力を蓄える。
そして必ずここへ戻ってくる。
ウオを助けるために。
それが今の私にできる唯一のそして最善の選択。
最適解。
私は自分の弱さを呪った。
今この場でウオを救い出せない自分の無力さを心の底から憎んだ。
だが今は涙を拭うしかない。
感傷に浸っている暇などないのだ。
私はゆっくりと後ずさった。
音を立てないように。
大魔王に気づかれないように。
一歩また一歩と城の出口へと向かう。
心臓が張り裂けそうだった。
ウオに背を向けるこの一歩一歩が、まるで彼の心臓を踏みつけているかのような罪悪感に苛まれる。
ごめんねウオ。
ごめんね。
今助けてあげられなくて。
見捨てていくみたいで。
でも必ず迎えに来るから。
だからそれまでどうか……。
そう心の中で祈りながら最後の一歩を踏み出し、踵を返したその瞬間だった。
背後から氷のように冷たい声が突き刺さった。
「どこへ行くつもりだ? 小娘」
二
心臓が凍り付いた。
振り返るとそこに大魔王が立っていた。
いつの間に私の背後に。
その真紅の瞳が私を射抜いている。
「……っ!」
体が動かない。
蛇に睨まれた蛙のように金縛りにあったように、その場から一歩も動けなかった。
「フィボナッチとの話が済むまで見逃してやったが、どうやら勘違いをしているようだな」
大魔王はゆっくりとこちらに歩み寄ってくる。
「俺の前から生きて帰れると本気で思ったか?」
その一歩一歩が私の命の終わりを告げるカウントダウンのようだった。
怖い。
心の底からそう思った。
死ぬ。
ここで私は殺される。
ウオを助けるという誓いも果たせないまま、こんな場所であっけなく。
その絶対的な恐怖が私の思考を麻痺させる。
だがその麻痺した思考の奥底で、一つの強い感情が燃え上がった。
『ウオを守る』
そうだ。
私は彼を守ると誓ったのだ。
こんなところで死んでたまるか。
私は最後の力を振り絞り短剣を握りしめた。
そして踵を返し全速力で走り出した。
生きるために。
そしてウオを救うために。
「愚かな」
背後から嘲笑が聞こえた。
次の瞬間私の背中に凄まじい殺気が突き刺さる。
振り返らなくても分かった。
大魔王が剣を振りかぶったのだ。
もう避けられない。
死ぬ。
そう覚悟したその時だった。
「――させるかァァァッ!!!!」
聞こえてきたのはウオの声だった。
いや大魔王の体から発せられたウオの魂の叫びだった。
大魔王の体が一瞬だけ硬直する。
振り上げられた腕がぴたりと止まった。
その真紅の瞳の中に一瞬だけ見慣れた金茶色の光が灯る。
「ぐ……おのれ……! この俺の中でまだ抵抗を……!」
大魔王が苦悶の声を上げる。
ウオの人格が最後の力を振り絞り、大魔王の体の支配権を奪い返そうとしているのだ。
黒いオーラと金色のオーラが彼の体の上で激しく火花を散らした。
その奇跡のような一瞬の隙。
それだけで私には十分だった。
私は泣きながら走った。
涙で前がよく見えない。
だが今はただひたすらに足を前に動かすことしか考えられなかった。
「レシア……!」
背後からウオの声が聞こえる。
それは大魔王の声ではない。
私の愛した少年の声だった。
「俺のことはもう良いんだ……! 君は幸せになってくれ……!」
そのあまりにも優しい言葉が私の心を引き裂いた。
足を止めてしまいそうになる。
振り返って彼の元へ駆け寄ってしまいそうになる。
だがダメだ。
ここで私が立ち止まったら、ウオのこの命懸けの抵抗が全て無駄になってしまう。
私は足を止めなかった。
そして彼に背を向けたまま走りながら叫んだ。
「嫌だ!」
それは私の魂からの拒絶だった。
「そんなの絶対に嫌だ!」
私は城の出口へとたどり着いていた。
だが私はそこで足を止めた。
そしてゆっくりと振り返る。
そこには自分自身の中で壮絶な戦いを繰り広げているウオの姿があった。
その痛々しい姿に私の胸は張り裂けそうだった。
私はもう逃げないと決めた。
彼に背を向けて生きることなどできないと。
私は泣きながら彼の元へと駆け寄った。
そして苦しむ彼の体を後ろから力一杯抱きしめた。
「……レシア……!? なぜ……!」
「馬鹿!」
私は彼の背中に顔を埋めて叫んだ。
「馬鹿、馬鹿、ウオの馬鹿! 私がそんな言葉で『はいそうですか』って諦めるような女だと思ってたの!?」
私は彼の体を自分の方へと無理やり向かせた。
そして涙でぐしゃぐしゃの顔のまま、彼の唇に自分の唇を重ねた。
それは初めてのキスだった。
鉄と血の味がした。
唇を離すとウオは驚きに目を見開いたまま固まっていた。
「ライアと約束したでしょ」
私は彼の瞳を真っ直ぐに見つめて言った。
「二人で幸せになるって。ライアとの約束を破るつもり?」
「……っ」
「それにね」
私は少しだけ悪戯っぽく微笑んでみせた。
「私……君を守ってみたいんだ。いつも守られてばっかりだったから。今度は私が君を守る番。……良いでしょ?」
私の言葉にウオの瞳から堰を切ったように涙が溢れ出した。
それは絶望の涙ではなかった。
私の覚悟を受け止めてくれた安堵と喜びの涙だった。
私は泣きじゃくるウオをもう一度強く強く抱きしめた。
「大丈夫」
私は彼の耳元で囁いた。
「私が必ず救い出すから。君のこと。絶対」
私の腕の中でウオの嗚咽が聞こえる。
やがて彼は泣きながらも顔を上げた。
そしてほんの少しだけ微笑んだ。
「レシア……」
彼の声が震えている。
「約束……したもんな。……だからあのさ。もし俺が俺として戻ってこれたら……いや、なんでもない」
彼は何かを言いかけてやめた。
その続きの言葉が何だったのか私には分かった。
だから私は彼の言葉を遮るように言ったのだ。
「良いの。私が絶対救け出すから」
私はとびっきりの笑顔で言った。
「そしたらさ、また夏祭り行こ? 今度は友達としてじゃなくて、恋人として!!」
その言葉にウオの瞳が大きく見開かれた。
そして彼はついに嗚咽を漏らしながら子供のように泣きじゃくった。
「ああ……必ず……っ! レシア……っ!!」
「約束だからね!! ウオ!!」
私は彼の体を突き放した。
「また絶対迎えに来るからね!!」
それが私達の最後の会話だった。
ウオの体から金色の光が消え、再び真紅の瞳が私を捉える。
大魔王が支配権を取り戻したのだ。
だが彼は私を追ってはこなかった。
ただ面白そうにその場で腕を組んで私を見ているだけだった。
ウオの最後の抵抗が彼に何らかの影響を与えたのかもしれない。
あるいは私のこの無謀な覚悟を面白がって見逃してくれているのか。
どちらでも良かった。
私はウオに背を向けた。
そして今度こそ迷いなく走り出した。
城を飛び出し街を駆け抜ける。
後ろは振り返らない。
私の心の中にはもう恐怖も絶望もなかった。
ただ一つの確かな誓いとそして彼との約束だけが、燃え盛る炎のように私の魂を照らしていた。
必ず救い出す。
そのために私は強くなる。
誰よりも。
愛するあなたを守るために。
キミシダイ帝国を脱出した私の体は疲労の限界を超えていた。
だが私の心はかつてないほど軽く、そして力強く未来を見据えていた。
私の本当の英雄譚は、今この瞬間から始まるのだ。




