16.小さな灯り
次の日の放課後、俺は昨日のやり取りを引きずったまま、スマホを手にしていた。
レンに強い言葉をぶつけてしまったことを、まだ少し後悔している。
「知りたい」と言った俺の気持ちは嘘じゃない。
けれど、レンにとっては負担になったんじゃないか――そんな不安が残っていた。
一件の通知が届く。名前には「レン」の文字。
思わず息を止めて開いた。
「昨日のこと、考えてた。私ね、カケルに本音を言ったの、はじめてかもしれない」
無意識に握りしめた手のひらが、じんわり汗ばんだ。
続けて、レンからさらにメッセージが届く。
「怖かったんだ。嫌われるんじゃないかって。
でも……聞いてくれて、少し楽になったよ」
スマホを見つめながら、目の奥が熱くなる。
俺なんかが、少しでも彼女の支えになれているのか。
その事実が、嬉しくてたまらなかった。
「嫌うわけないだろ。
むしろ……本音を聞けてよかった。ありがとう」
そう返すと、すぐに「ふふっ」という短い文字が送られてきた。
それだけのやり取りなのに、不思議な気持ちになった。
レンが心を開いてくれるたびに、俺の中で「彼女を守りたい」という想いが強くなる。
レンは辛いと言いながらも、ちゃんと一歩踏み出している。
俺ができるのは、その歩幅に寄り添い続けることだ。
――ゆっくりでいい。
無理に変わる必要なんてない。
でも、レンが笑ったとき、その笑顔が本物だと信じられるように。
俺はきっと、何度でも手を伸ばす。
たとえ届かない夜が続いても。




