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15.すれ違う気持ち

放課後、部屋に戻ってスマホを開くと、レンからのメッセージが届いていた。

「ねぇ、カケル。今日ね、学校で友達に合わせて笑ってたんだ。でも、本当は全然楽しくなかった」

俺は眉をひそめた。

昨日「苦手だ」と言っていたばかりなのに、また無理をしているのか。

どうしてそこまでして、周りに合わせなきゃならないんだろう。


「無理して笑う必要なんてないよ」

そう返すと、すぐに既読がつき、長い文章が返ってきた。

「でも、笑ってないと置いていかれるんだよ。

 誰かのいい子でいないと、私は私じゃなくなるの。

 だから……カケルにはわからないよ」

最後の一文が、ちくりと痛んだ。

「わからない」――そう言われた。

俺だって、分かるつもりでいた。

けれど、レンが抱えるものの深さは、まだ届いていないのかもしれない。


俺は返す言葉が見つからない。

けれど、黙っているのも嫌で、気づけば強い口調で打ち込んでいた。

「分からないかもしれない。

 でも、俺は知りたいんだ。

 君がどう思ってるのか、どう感じてるのか。

 それを知りたいって思うのは、ダメなのか?」

受け止めたいと思う気持ちは本物なのに、それがちゃんと伝わるだろうか。


しばらく返事はなかった。

時間だけが過ぎていく。

時計の針が夜十時を回ったころ、ようやく短いメッセージが届いた。

「ごめん。私の方こそ、強く言いすぎた」

レンも、同じように戸惑っていたんだろう。

俺は深呼吸をして、慎重に言葉を選んだ。

「謝らなくていいよ。

 俺は、君の本当の気持ちを知れてよかったと思ってる」

既読がついたまま、今度は返信が来ない。

けれど、不思議と不安はなかった。

レンが自分の中の苦しさを吐き出してくれたから。

そして、何よりの前進だと感じたから。


布団に横になりながら、ふと考える。

俺とレンは、少しずつ心を近づけている。

でも、そのぶん衝突も避けられないんだろう。

――それでも構わない。

俺はきっと、これからも彼女の言葉に揺さぶられ続ける。

そのすべてを、受け止めてみせたい。

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