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10.信じたい気持ち

「……ある。でも、嫌いにならないで」

レンからのメッセージを何度も読み返しては、胸の奥がじわりと痛んだ。

嫌いになるなんて、考えられない。

むしろ、こんな言葉を俺に向けてくる彼女の方が苦しいはずなのに。

――それでも、怖がっている。

彼女が抱えている“何か”を知ったら、俺は変わってしまうかもしれない。

それが彼女の恐れであり、俺の恐れでもあった。


次の日、授業なんて頭に入らなかった。

ノートは真っ白。ページの隅に、無意識に書きなぐった「レン」の文字だけが並んでいた。


昼休み、隣の席のやつがふと声をかけてくる。

「おい翔汰、弁当食わねえの?」

「あ、ああ……今はいい」

誤魔化すようにスマホを開く。

レンからの新しい通知はなかった。


放課後の帰り道、ふと立ち止まって、空を仰ぐ。

沈みかけた夕日が赤く世界を染めて、やけに寂しさを煽った。

「俺、どうすればいいんだろ。」

彼女を追い詰めたくはない。

けど、距離を置くなんて考えられない。

俺は彼女を求めているのに。


「レン、もし話したくなったらでいい。俺は待つ」

これが、今の俺にできる唯一のことだと思った。

「ありがとう」

たったそれだけの文字で、モヤが少し晴れた。

彼女が俺を信じて「ありがとう」をくれたように、俺も彼女を信じ続けたい。


布団の中、ぼんやり天井を見つめながら思う。

俺はずっと「一人」だと思ってきた。

誰にも必要とされない存在だと思ってきた。

今は、少なくともレンが俺を必要としてくれている。

なら、俺が彼女を信じなくてどうする。


「大丈夫だ。俺は、待つ。」

そう呟いた声は、思ったよりも静かで、けれど確かに自分を支えてくれていた。

俺はもう逃げない。

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