もう一人の私
『Remnants of Utopia』を選択し、新たな世界に入る。すると、ひたすらに白い景色が広がり、2つのホログラムがあった。男型と女型である。
『アバターの型を選択して下さい』
迷わず女型を選ぶ。男の体になると言うVR特有の未知の体験に少し恐れていたからだ。
男型のホログラムは消え、多くの設定項目と共に女型が残る。
(設定項目多いなぁ……でも、見た目は大切だよね……)
ゲームの世界はたぶん美男美女の集まりだ。此処で頑張らなければ一人モブ顔として生きることになる。時間をかけてやることにした。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
———最後に赤と黒のローブを身につけてアバターは完成である。
ちなみに同時に職業を決めれたので先に戦闘ジョブを回復、攻撃をバランス良くこなせる魔法職メイジ、身だしなみに気を使いたかったので生産ジョブを裁縫師にした。
(完了……っと)
ピコンッという音と共に今度は『名前を入力して下さい』とあった。
「名前…何がいいかな…」
取り敢えずいつも使ってきた『クロハ』と入力し…少し考えてから消す。黒峰潤羽…私の実名から取った名前だが、この世界に何の為に来たのか思い出し、現実を断ち切ることにしたのだ。
暫く悩んだ末…
「『トウカ』…うん、これがいい」
自分の新たな名前に期待を寄せ、少し微笑む。
ここからは、自分であって自分で無い。
「……すぅぅぅ、はぁぁぁぁ」
大そうな覚悟なんて無い。
けど、
「…行こう」
ほんの少しの勇気があれば、きっと変われると信じて。
オリジナル用語、専門用語はおいおい(作者の認識で)説明します。