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その7 その武器は装備できません!

「それで、いつまでドブさらいなんか

してるつもりなんだ!」


ヨシケルが仲間に加わって一週間が経った。


道端で吠えだすヨシケルを見て、

顔を見合わせるリューナと俺。


「いつまでって……」

「あんま考えてなかったなー」

「なんでだよ!」


ヨシケルが頭を抱えて嘆く。

どうどう、落ち着いて。


「もうそろそろ金も十分貯まったはずだろ!?

僕達ギルドで『ドブさらい軍団』とか

呼ばれてるんだぞ!?

いい加減討伐依頼を受けようよ!」


「「えー」」


「なんで嫌そうなんだ!」


だって危ないし……


「よーく考えてみろバカ。

別にそんなコトしないでもメシ食えてるだろ」


リューナがやれやれと肩を竦める。


誰もがお前みたいに英雄願望があるワケじゃ

ないんだよ、ヨシケル。


ちなみにカネに関してはかなり貯まってきた。

計算が出来るのが俺だけだから

パーティの財産として俺が管理している。


収入がドブさらいで1人1日1000ソル

1日の生活にかかる経費が1人につき500ソル。

儲けで言うと、3人で1日1500ソル。

それが7日だから10500ソルだ。


装備を買うのに必要なのは7000ソルぐらいだから

実は2日前から討伐依頼は出来たのである。


「いいや、僕は『冒険者』になるために

村から出てきたんだ!

ドブさらいで満足なんて絶対にしたくない!

今日こそ装備を買いに行くぞ!」


ヨシケルにがっちり腕を掴まれる。


HA☆NA☆SE!!


だが筋力の才能値が違いすぎて

抵抗が意味をなさない。

俺とリューナは仲良く引きずられるのだった。




「こんにちはー!」


ヨシケルが勢いよく重そうな扉をこじ開ける。


「……らっしゃい」


刀キズで片目が潰れたドワーフがこちらを睨む。

こっわ。 絶対カタギじゃないよあの人。


アリーさんに教えてもらった武器店だけど、

やっぱり止めといた方が良かったかもしれない。


「おじさん! 僕達武器が欲しいんだけどさ!」


ヨシケルは臆せずにグイグイ話かけていく。


「アイツすげえな」


関心する俺にリューナが呆れたように吐き捨てた。


「何も考えてないだけじゃねーの」




5分後。


「ガハハハ!! ボウズ、お前面白いヤツだな!

気に入った!」


「ありがとう!」


意気投合してるよ。

信じらんねぇ。


「そっちの二人がお仲間か?」


じろり、と見てくるドワーフに挨拶を返す。


「キアンと申します。

よろしくお願い致します」

「……リューナだ」


頭を下げる俺と

ぶっきらぼうに言ったリューナに

ガハハと笑いかけるドワーフさん。


「おう、よろしくな。ワシはゴルドだ。

鍛冶の腕にはちょいと自信がある。

お前さん達は何が欲しい?」


「まずはこの子に合った短刀ナイフをお願いします」


リューナをずずいと前に出す。


「ほう、斥候スカウト当たりの職能ジョブか?」


「……一応、野伏レンジャーだけど」


不機嫌さを隠さないリューナに、

ゴルドさんはもさもさのヒゲを撫でる。


「そりゃあ重畳。

子供の体格で野伏レンジャーか……

あの当たりの軽いモンが合ってるだろうよ。

気になるのを素振りしてみるんじゃな」


ゴルドさんはぶっとい指で

ナイフが並んだ棚を指す。


「で、あんちゃんは……」


棚に駆け寄っていくリューナを尻目に

ゴルドさんはこちらに視線を向けた。


「んん……? なんの職能ジョブだ?

前衛の体格じゃないだろ、

武闘家や斥候スカウト系の手でもねぇし。

魔力も感じない、神官の装いでもない」


心底不思議ってカンジで眉をひそめるゴルドさん。

俺はおずおずと真実を伝える。


「……『職無し』です」

「お前さん、正気か?」


泣きそう。

質問が続く。


「剣は振れるか?」

「いいえ……」


「盾は?」

「触ったコトもありません……」


「弓は?」

「器用が5なので無理かと……」


「杖とかどうだ、魔法は?」

「魔力が0です……」


ゴルドさんは眉尻を下げていかつい顔を歪ませる。


「兄ちゃん、ウチで売れるモンはほぼねぇぞ」


「やっぱ、そう思いますぅ?」


ヨシケルが明るい声で割り入る。


「なぁおじさん、防具とか買った方が良いかな」

「その腰に挿してる剣、見せてみろ。

あー、キアンって言ったか、

ちょっと待っとれ、考えるわい」


後回しですね、わかります。




「で、オッサンはどうすんだよ?」


革の胸当て、ブーツ、一振りの短刀ナイフ

装備したリューナが腕を組む。


「キアンも盾とか持つのが良いんじゃないか?」


こっちは小盾と兜を新しく身に着けたヨシケル。


「いや、兄ちゃんの腕力じゃあ

盾に振り回されるのがオチじゃな」


すっげぇディスられてる。


「まぁ、防具はそっちのボウズと

同じモンで良いだろう」


ゴルドさんは革の胸当てに革の兜を

カウンターの上に乗せる。


「後は武器だが……

まぁ短刀ナイフ当たりが妥当じゃろ」


リューナが口を尖らせる。


「えー、オレと一緒のにすんなよな」


えぇいうるさいヤツよのぉ。

だがしかし、実際ナイフは駄目だ。


「えぇっと……思ったより防具の代金が

かさんでいまして……ナイフを買うお金が

ございません……」


「「えぇ……」」


「しかし素手、というワケにも行くまい」


そうなんですよね。

どうしよう。


「これなんかどうだ? 安くしとくぞい」


50センチぐらいの長さの棒を手渡される。

野球のバットを途中でちょん切ったみたいな形だ。


「コレは……?」


「棍棒じゃ」


ゴブリンか? 俺は?

ゴルドさんは説明を続ける。


「まぁ見た目は悪いが、武器としては

案外使い勝手が良いぞ。

殴ってよし、突いてよし、投げてよしじゃ。

オマケにそいつは北方大陸の木材を使っているから

すこぶる頑丈、お前さんが振り回しても

壊れるコトはなかろうて」


へぇ。


持ち上げてみると少し重い、だけど

ヨシケルに貸してもらった片手剣ショートソードよりはだいぶマシだ。


「ぐらついてんぞー、オッサン」

「まぁ、しばらくは常に身に着けておくんじゃな。

そのうち慣れるじゃろうて……」


くそぅ。


結局、棍棒を購入し武器屋を後にするのだった。

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