第3章
僕は最近、知恵がよく回るようになった気がした。以前は分からなかった事が分かるようになった気がした。なんていうか周りの世界観が違って見えるようになったのだ。
マイナス面は周りの人達が自分の事を分かってくれない、みんな嘘をついてるような気がしだした。
僕はそれまでガラケーだったが、なんだか無性にスマホが欲しくなってきだした。スマホは僕には操作が難しく、使えこなせなかったのだ。それが今は使えそうな気がした。
「ねえ、スマホが欲しいんだけと」と僕はお母さんに頼んだ。
「エエ~、あんたが?使えこなせるの?」
「なんか使えそうな気がするんだ」
「じゃあ今度見に行ってみようか」
「うん」
僕とお母さんは週末、家電量販店へと向かった。多種多様なスマホが置いてあった。iPhoneかアンドロイドかどっちにする?とお母さんから選択肢を求められ、店の従業員の話も聞き、初心者ということでアンドロイドを買う事になった。
僕はスマホを持った瞬間、ウキウキしてきだし、すぐに操作を覚えた。グーグル検索をしたり、SNS等のアプリをダウンロードしたり、音楽配信サービスを利用して音楽を聴いたり、動画も見るようになった。
スマホを始めて作業所に持って行った時、「すごーい、峰君スマホ買ったの!」とか、「スマホが扱えるなんて凄いじゃん!」と言われたりした。
僕は三木さんという女性利用者に「写真撮ってやろうか」といったら「だめよ、写真は、プライバシーに関わるからね」と小林さんに釘を刺された。
そういえば富田君もよくスマホでゲームしてたっけな、と内心そう思った。