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男の娘 第十三部 第五章

「とりあえず、地下神殿の城からの入り口を聞かないと」


 俺が父のシェーンブルグ伯爵に話す。


 まずは入り口からだ。


 それで父のシェーンブルグ伯爵がすぐに走って陛下に聞きに行った。


「皇太子妃はどうするんだ? 何か考えが? 」


「いや、洞窟で戦うと弓とか使いづらいから……引きずり出す」


 ヨハンの言葉に俺が簡単に答える。


「引きずり出す? どうやって? 」


 ヨハンが驚いた。


「いや、難しいのでは?  まさか、自分がおとりになってとか言うのでは? 」


 ゲオルクも呻いた。


「いやいや、普通にやるけど。あの……女神エーオストレイル様、別に神殿を破壊しなければ何をしても良いですよね? 」


「いや、それは構わないが……」


 俺の質問に俺の身体を使って俺の中の女神エーオストレイル様が答えた。


「弓を大量に用意してくれ。それと大量のまだ青い木とともに良く燃える木もいる。それと油も大量に欲しい。それ以外には胡椒とか唐辛子とかあれば嬉しいのだが」


 胡椒と唐辛子とかはシェーンブルグ伯爵家がかって転生者に似たような物を探させて作らせたもので、この世界でも同じく肉とかの臭み消しに使われているヒット商品であった


 これなどを売っているのでシェーンブルグ伯爵家はザンクト皇国で裕福な貴族になっているのだ。


 ただ、初代皇帝が何かを見越して利権をシェーンブルグ伯爵家に回していたのは、ちょっと俺にとって衝撃の話だが……それで復活とかだと俺が贄とか呼ばれているのだから本当に複雑だ。


「なるほど、燻すのか? 」


「そうだ。鍾乳洞の中を通っているなら燻せば出てくるはず。息もしずらくなるしな。奴らが地上に出た所で木と油で取り囲んで焼いて弓でそこに射かける」


「蛇に弓は当たらないのでは? 」


「毒蛇だし、あまり近づかない方が良いのならそれで追いやった方が良い。松明で煽っても良いし。後、飛びつかれて巻き付かれるのに気を付けて欲しい。毒蛇よりも蛇の一番ヤバい攻撃は蛇の身体でいきなり巻き付かれて、それで相手を絞め殺すとこだから」


 俺がそう説明した。


 蛇は全身が筋肉で出来ているのでそう言うのが出来る。


「わかった。皆に伝えるし、とにかく言われたものを集めてくる」


 そうヨハンが慌てて部屋から飛び出していった。


「なんか、悪知恵が働きますよね」


 ニーナが呆れたように俺に言う。


「いや、穴にいる奴を仕留めるのなら、普通にすると思うけど」


 俺がそう反論した。


 狩りとかでも良くやるやり方だし。


「問題はあれだな。その脱出路の出入口を教えてくれるのかな? 」


 などとゲオルクが心配したように呟いた。


「ああ、やっぱり、そうだよな。もしもの時の皇帝の城からの逃げ道だもんな」


 俺もそれは思っていた。


 ここで教えたら逃げ道がばれちゃうからな。


 逆に堅城として知られている帝城が、その逃げ道がばれたせいで攻め込みやすくなってしまうし。


 どちらしろ、最終的には穴を塞いでしまうしかなくなるだろう。


 最悪、燻し切って蛇達を外に追い出せなかったらこちらの入り口を塞ぐつもりだけど……。


「しかし、ここで撃退しないと城になだれ込んで来ますよ? 」


「ここは餌の山ですし」


 アメリアとニーナが突っ込んだ。


 そうしたら、姉が横で黒騎士の格好のまま、もじもじしていた。


 黒騎士の格好でやられると困るのだけど。


「困ったな。ちょっと蛇は苦手なんで……」


 などと姉が呟く。


「え? あ、そう言えば? 」


 黒騎士の時の強さを知るだけに意外だが、姉は蛇がちょっと苦手であった。


 子供の時に毒蛇では無いけど、蛇を不用意に掴んで腕に巻き付かれて悲鳴を上げた事があるからだ。


 女神エーオストレイル様以外で一番の戦力がこれだとちょっと困る。


「いや、そんなの解消しましたよね」


 ゲオルクがそう笑った。


「いや、1匹なら別だけど、一杯と言うのは……」


「いやいや、そんなの一匹が大丈夫なら大丈夫でしょ? 」


「昔、元の世界に蛇責めってあってね。書物で読んだんだけど……穴と言う穴に潜り込んでって話を知っていて、それがあるから一杯いるのはちょっと」


「え? 」


 豊臣秀次の話だろうか。


 家族が蛇責めで殺されている。


 当時は厳罰としてあって前田家もとかやっていたが、やると人間の穴と言う穴に蛇が逃げる為に突っ込んで、その不快感でやられた人は死ぬとか。


 蛇は蛇で逃げようとしてそうなって死ぬから、どちらも悲惨な処罰なんだが。


「わざわざ、そんなの思い出さなくても……」


「蛇が沢山いるってので思い出しちゃったのよっ! 」


 姉がそう騒いだ。


 困ったな、一緒に戦ってもらう最大戦力がこれだと……。


 そして、ヨハンは手配を済ませて戻ってきた。


 流石はそう言う手配もお手の物だけはある。


 元々何でもできるので、父のシェーンブルグ伯爵が重宝して使っていたのだ。


 まだ暗くて開いている店も無いのに良くもそれらを集めてこれるものだと感心した。


「で、どこへ持っていくんだ? 城の非常用の脱出する為のトンネルの入口はどこだ? 」


 などとヨハンが叫ぶ。


 だが、父のシェーンブルグ伯爵が帰ってこない。


 父は皇帝陛下のお気に入りでもあるから、会うのはすぐに会えるはずなのだが……。


「教えてくれないんだろうな」


「やっぱりか」


 城で皇帝にとっては生き延びるための重要な脱出路だもんな。


 裏を返せばそこが知られたら、外から城の中に攻め込まれるし。


 それでじりじりとして俺達は父のシェーンブルグ伯爵が戻ってくるのを待っていた。 

 

  

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