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男の娘 第十一部 第六章

「は? 」


 その時の皇太子殿下の驚いたような、あっけにとられた顔は多分、生涯忘れられないだろう。


 そして、皇太子殿下はそのあっけにとられたままで振り返って俺を見た。


 俺は、真面目に前世と今世を合わせて一番動揺していた。


 いくら何でも、この展開は考えていなかった。


 女神エーオストレイルは俺の身体を女性化させて、俺の魂は気持ちに合わせて別の肉体にとかいろいろと対処するからという話だった。


 だから、俺としては、そのままで任せとくかと考えて放置していた部分も大きい。


 だから、まさかのグリュンクルドが西園寺翠(さいおんじすい)の姿で現れて、俺に告白とか想像の斜め上な状態になると思わなかったし、ぶっちゃけ転生して二度目の人生だとある意味自分じゃ無い役柄をしているような感覚もあって、まあ代わりの肉体を責任を持って準備するなど何とかするからとか言われたし、役としてやり通すべきと思っている部分があったのは確かだ。


 だから、この役の男の娘である俺は、皇太子殿下に愛されているんだなと思いつつ、心の中に変な感情が出ているけど、それはエーオストレイル様からの由来かもしれないしで、あまり深くは考えないで淡々とやっていた部分もあった。


 とにかく、前世でやったように親友の親を自分の親の事業の関係で自殺させたりとか言うのを、何も出来ずに亡くなった前世の繰り返しだけは避けたかった。


 だけど、困った事になった。


 父である皇帝には見捨てられたと思い、母親を亡くして、死を覚悟して戦って終わるつもりが、母が必死に生きる為に見つけた婚約者の俺に救われたと言う状態なのだ。


 つまり、恩人であるとともに、本人にしたら裏切らずに助けてくれた唯一のポジションと言う事になる。


 それが婚約者なのに男だと言う。


 これはさすがにショックが大きいと思われた。


「あ、あの……女神エーオストレイル様は最初は男神で最後は邪神達を討ち果たして女神になりましたよね。そういう古い神話の同じ出来事を辿るという意味がありまして……」


 しどろもどろになって御付の武官のアレクシスさんが必死に皇太子殿下に説明した。


 彼も事情を知っていて、俺がまだ男である事を知っているようだ。


「……つまり、今はまだ男性だと言いたいのか? 」


 皇太子殿下の声が震えている。


 でも、じっと握った俺の手は離さなかった。


 酷い話だが、陛下の男の娘発言がきっかけなのが良くわかるのだが、皇帝陛下自ら御自分の帝座の影に隠れていた。


 誰のせいか丸わかりだ。


「いや、だから、それは神話の勘違いだと言っている。さっきも説明した通り、エーオストレイルは男神だったわけでなくて、番になるために女神になっただけだと説明しただろ? 」


「だから、私は女性になるんだ! 一度なっているからなれるんだ! 」


 グリュンクルドが皮肉たっぷりに言うから、俺の中の女神エーオストレイル様がいきなり俺を使って叫んだ。


「何を馬鹿な事を」


「間違っていない! 」


「いいかい。別に君は彼の双子の姉に移ればいいじゃないか。もともと姉は女性なんだ。別に問題はないだろう。君の能力を類推する限り、それはできるはずだ。そうして彼を譲ってくれたら僕は君の味方をするよ。これからはずっとだ。今後の邪神との戦いが有利になるぞ? 」


「邪神が味方するって……」


「いや、僕は邪神じゃないから。精霊の血を引いているって言ってるだろ? 精霊神に近いんだ。だから、はっきり言うと善神に近いんだよ。殺すとか言っても適当に食べるんじゃなくて、精気を奪うだけだし、ぶっちゃけ殺さないようにだってできるんだ」


 神殿の元女官だけあって、さすがにグリュンクルドが味方になるというのは信じられなくて、アメリアがそれを突っ込んだら、逆に傷ついたような顔でグリュンクルドが言い返した。


「しかし……」


「僕は言われるような邪神みたいな事はしてないんだよ。だから、エーオストレイルも僕を追っかけて殺したりしないで放置してたろ? 僕は有名だったから邪神とか言われてるけど、そういうのとは違うから。神殿の伝承から言ってるんだろうけど、そちらでも、あまり悪く言われてないはずだけどね」 


「いや、まあ、それは確かに……」


「そうなんですか? 」


 アレクシスさんが驚いてアメリアに聞いた。


「確かに、気まぐれって言われていて、人間を助けたりもしているし、初代皇帝とエーオストレイル様のピンチに助けたこともあるんですよね」


「ほら、エーオストレイル! そうだろう? 思い出してくれよ! 君は僕に借りがあるはずだ! 」


「いゃ、それは……」


 いきなり、俺の身体で声を張り上げていたエーオストレイル様の声が小さくなる。


「君が彼に執着しているのも分かる。彼は特別だからな」


 そうグリュンクルドが断言した。


 だが、それは俺にとって初耳だったが。


 そうしたら、ずっと震えながらも俺が男と知っても、ぐっと俺の手を握ったままの皇太子殿下の握る力が強くなった。


 そして、何かを決めたように顔を上げた。


 そして、一歩前に皇太子殿下が前に出る。


「彼……彼女は私にとっても特別だ! 女神エーオストレイル様がどうだの関係ない。彼女は私のものだ。誰にも渡さない」


 と皇太子殿下が言うと何故か俺の頬が赤くなる。


 心臓はドキドキいっている

 

 これが女神エーオストレイル様のものなのか段々分からなくなってきた。


「ふひぃぃぃぃぃ、尊いっ! 」


 などと異様な声を上げて姉が昇天して黒騎士の格好のまま気絶して倒れた。


 あーあーあー、そりゃあ、こんなの妃にするのは嫌だろうな。


 そうして、俺は帝座を見たら皇帝が何とも言えない笑顔でこちらを見て凄い興奮をしているのを見てしまった。


 本当に趣味なんだな。


 男の娘。


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