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男の娘 第五部 第四章

 この忙しい時に、何故か陛下に謁見する時に着るはずの衣装を着て、皇太子が近衛に守られて強行軍の中で休んでいるところに、わざわざその姿を見せに行く騒ぎになっていた。


 それをアメリアが強く強く推したからである。


「少しでも皇太子さまに自分(俺)をアピールする」


 これが女神エーオストレイル様の恋の縁結びの知恵なのだそうな。


「戦場に咲く一輪の花のイメージで行きたいと思います」


 アメリアの皇太子殿下にアピールを絶対するんだと言う凄まじい気迫が凄い。


「いや、こんな強行軍の真っ最中に、こんな事をしにいく婚約者って嫌じゃない? 」

 

 俺が真顔で突っ込んだ。


 まあ、中世ヨーロッパみたいなピラピラの服である。


 それをこんな強行軍の仮眠をして朝食をとってすぐ出ようとしている時に、時間が少しあるからと言って、ねえ見て見てとかやったらトンデモナイ馬鹿に見えるのでは無かろうか。


 朝から、出発まで少し時間があるので、謁見の時のドレスの衣装合わせをしましょうなどと言うから、まあ良いかと思ってやったらこれだ。


 まずは相手に印象付ける事から大事で、俺の皇太子のイメージが軍装して戦う戦乙女のようなイメージなので、それを払拭しないといけないとアメリアが父であるシェーンブルグ伯爵と姉に強く主張した。


「確かにな」


「あんたももう少し意思表示しないと」


 などとアメリアの意見に同調する始末である。


 いや、俺、男なんですけどと言いたいところである。


 と言うか実は自分でも自分の気持ちがよく分からなくなってる部分があるのが本音なのだ。


 俺はかっての親友を失った時みたいに後悔をしたく無くて動いたはずだ。


 だが、女神エーオストレイルが降りているせいか、戦いが終わって皇太子に優しく大事に抱きつかれてマジでドキドキしたし、赤面してしまった。


 恐ろしい事に前世で嫌われものの親父のせいで女性との縁は程遠かった。


 いや、恋愛感情とかそう言う感じで女性を見た事も無かった。


 母は常に他所で宜しくやっている親父を罵るし、前世から俺の女性へのイメージが最悪だった事が大きいのかも。


 考えてみれば女性に嫌悪感があったんだと思う。


 友達も親友だけだったし、あれ? 俺はひょっとして、そう言う性癖だったのかと不安が湧き起こる。


 そんなはずは、と思うが恐ろしい事に否定する材料も無い。

 

 そんな混乱をしている時にアメリアが俺の頭に叩き込むように、恋愛とはとか話してくる。


 待て待て、今の段階だと男と男なんですけど。


 姉は恐らく、それが見たくて動いてるのだろうが、父のシェーンブルグ伯爵はなんだろうか?


 男の娘だと?


 実は稚児さんとか日本は仏教系の方でそう言う歴史があったりする。


 俺的にはまず女犯は駄目だと言う仏教の宗教的事情、また戦場に女性を連れていけない武将の状況、さらには結婚相手の女性は敵の国から来る事も多く、そのせいで安心出来ない相手である事で、その結果小姓が相手をした事から来るとか本で読んで理解していた。


 そして、実は当時の武士が読み書きや礼儀を教えて貰うのが僧侶である事、その結果、武士は子供の時から寺で習うので、そう言う洗礼を僧侶から受ける事もある為に武士階級に広まったとか。


 その程度くらいしか知らないし、普通にその程度の理解だろうと思う。


 だが、父のシェーンブルグ伯爵は違った。


「寺の稚児さんは男では無いのだ。実は当時の記録にあるが、そう言う手ほどきを受けると急激に女性化が始まって、化粧をして女性の衣装を着て女性として振る舞うのだ。だから、男の娘とは急激に流行りだしたものでは無く、凄く歴史のあるものなのだよ。◯◯らさんとかエロ漫画家が書いて流行りだしたものでは無いんだ」


 などと俺が自ら女神エーオストレイルの怪物化に巻き込まれて、世界を滅茶苦茶にしないために自決して最後は死なないといけないかもしれない、そんなある意味悲劇的な未来の話をしていて、いくら皇太子との愛が実れば助かるかもしれないと言う、もう一つの未来の話のどれが正しいのか分からない緊迫した最中に、そんな馬鹿な話をしみじみと話出したもんだから、俺は唖然とするしか無かった。


 しかも、いちいち詳しいのだ。


 何でも尻の穴を使った後はワセリンだのゼリーが無かった時代なので、昔は白ネギを蒸して、それを穴に突っ込んで突っ込まれた結果の穴の傷の消毒とキズを癒すのに使っていたとか。


 だから、稚児さんの部屋には白ネギがいつも常備してあったとか……知らんがな。


 それを聞きながら、混乱した俺はひょっとして風邪の時に白ネギを肛門に突っ込む民間治療があるが、それは実は風邪の話じゃ無いんじゃねとか訳の分からない事を考えていた。

 

 だから、この意味不明の皇太子に対するドレスアピールを止める人は誰もいないのだ。


 男の娘が好きな父と腐女子の姉と女神エーオストレイルの奇跡を信じる巫女のアメリアの圧力を受けて、とぼとぼと操り人形のように、こんな強行軍の最中に皇太子の元に馬車で向かう。


 父のシェーンブルグ伯爵と姉の黒騎士の騎馬も並走していた。


「ここは勝負どころですよ」


 アメリアの目が怖い。


 本当に本当にこれで正しいのか本気で不安だ。

  

 カーテンをほんの少し開けて見つからないように外を見たら、皇太子の陣は慌ただしく騒ぎになっていた。


「? 何かあった? 」


 異様に殺気だったようにも見えて、俺がアメリアに聞いた。


「マグダレーネ様! ここは勝負どころです! ここは、女の戦さ場ですよ! 」


 やべぇ、話が通じないや。


 俺は少ししょんぼりとして俯いた。


 もし、何かあったのなら、俺は思いっきり空気の読めない女って事になるのでは……?


 やばい脂汗が出てきた。

 

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