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フラれてふられてまたふられ
「俺と結婚してください!」
静かな見晴らしの良い展望台、満天の星の下で三十代らしき男が女に結婚を申し込んでいる。紅潮した男は指輪を差し出してひざまづく。女は少し困った風な顔をした。
「あの、アレクセイさん、ごめんなさい。わ……」
女が言いかけた所でアレクセイは制止する。
「謝らないで下さい。引き留めてしまって申し訳ありませんでした。さようなら」
「ちょ、えアレ……っ!!」
女が引き留めようと手を伸ばしたが、そこにアレクセイの姿はもうなかった。