あとがき
この度は、雪宮鉄馬の拙作「Belong」を最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。ごく平凡な物語だったとは思いますが、いかがでしたでしょうか?
ずばり、この小説でやりたかったのは、現代版「母をたずねて三千里」です。ですが、「母をたずねて〜」を読んだことがありません。さらに言うと、かの有名なアニメも見たことがありません。そこは、知らないからこそ作れる、オリジナル小説だと割り切って、「母をたずねて〜」は未見のまま、執筆に取り掛かりました。
この物語には二つのコンセプトがあります。
まず一つ目のコンセプトは「ロードムービー的な旅小説」です。ロードムービーは昔から好きで、自分でも書いてみたい、などと思っていました。今から十年以上前、一度だけ執筆したことがあります。まぁ、いまさら誰にも見せられないくらいヒドイ作品なので、永久に封印しますが、その反省を含めた意味で、今だから書ける物語を作りたいと考えたのが、この「Belong」です。
二つ目のコンセプトは「優しい大人たちと、主人公の成長」です。前者は、自身の好きな漫画の影響で、後者は執筆前に読んだ小説の影響です。勿論、それだけではなく、世知辛い世の中と大人らしくない大人の多い世の中に対する、ある意味の反感だったり、主人公が旅の果てに何も変わらない、何も感じないのは、物語としてではなく、人として変ではないか、と考えたためです。
母親探しの顛末は、冒頭の書き出しで既に決定付けられていました。むしろ、途中までそこへ向かっていくための物語でした。救いのない結末、「ぼくたちはどうすればいいのだろう?」の一文で物語が終わる予定だったのですが、それではあんまりだ、と思いました。そもそも「Belong」というタイトルは、英語で「何々についていく」という意味です。どちらかと言えば気丈な姉と一緒に母親を探し回る物語という意味で、題名をつけました。
しかし、私としては、どんな形にせよ、ハッピーエンドで終わらせたい。そう思い始めたのは、夏祭りの下りを書いた後くらいからです。少しずつ拓海の台詞を増やしたりしながら、何とかラストシーンにまで漕ぎ着けました。
こうして完成後に見てみると、色々と初期から変わった部分があります。カホちゃんや千鳥さんは初期にはいなかった人物です。一方で、クロさんと知り合いの中島先生ですが、初期はクロさんと知り合いでもなければ、若い研修医の役でした。エピソードとしても、拓海がとうとう疲労で倒れたところを助けてくれるという役どころだったのですが、その下り自体がなくなったため、急遽別役で名前だけ一緒の中島先生が登場したりと、中々に初期イメージとは大きく変わりました。
最後に、ご意見・ご感想などありましたら、今後もずっと受け付けていますので、気軽にお寄せいただけたら嬉しく思いますし、今後の執筆の意欲や勉強にもなると思っていますので、よろしくお願いいたします。
また、次回作ですが、一応思案しています。また、皆様に読んでいただけるような物語を書きたいと思ってますので、そちらもよろしくお願いします。
では、またっ!!
雪宮鉄馬




