第十話 夏祭り
木陰で雨をしのいでいると、雨が地上をばたばたと叩きつける音と、木の葉がざわざわと擦れ合う音に紛れるように、カエルの大合唱が聞こえてくる。トノサマ蛙の甲高い声はソプラノ、ガマ蛙のしゃがれた声はテノール、ウシ蛙の低い声はバス、と言った具合に。それらすべての音が一体となって、ぼくの耳に不思議な交響曲を奏でてくれていた。
桜ヶ浜を離れてから、すでに二週間余りが過ぎていた。ここずっと曇り空こそあったけれど、雨が降ってくるのは久々だった。遠雷が鳴り響いたかと思うと、突然大粒の雨がぼくたちの真上から降ってきた。ぼくたちは、幸い水田地帯を歩いていて、道を少し入った場所に、樹齢数百年と思われる大きな木があった。その下へ潜り込めば、天然の屋根は風雨を抑えてくれる。
木陰に飛び込んで、しばらくすると、お姉ちゃんが突然
「食べ物を調達してくるから、拓海はここで待っててね。絶対動いちゃダメだよ」
と、言って、雨の中を駆け出していった。すぐに雨に紛れて、お姉ちゃんの後姿は見えなくなった。ぼくはお姉ちゃんが帰ってくるまで、木の幹に背中を預けたまま、ひと眠りすることにした。
あれから、ぼくたちは、海岸沿いを真っ直ぐ西へ向かった。叔父さんの家は西にある、と言うことと、街の名前が「矢和」ということくらいしか分からない。
ぼくたちは、目的地も見えない道を、ただひたすら歩いた。子どもの足で、一日に歩ける距離なんてたかが知れている。だから、夜になると駅や公園など、寝床として使えそうな場所を探した。大人たちは、ぼくたちにとても無関心で、たとえ駅のホームで眠っていても、声をかけられたりしなかった。勿論、なるべく無人の駅を探してはいたのだけど。
後どのくらいで、志郎叔父さんの家へたどり着くのか全く分からなかった。足が痛くて、もう歩けないと言って、お姉ちゃんを困らせたりもした。大抵は、お姉ちゃんが怒ってそっぽを向いてしまう。すると、急に独りぼっちになったような気がして、ぼくが「ごめんなさい」をするのだ。
雨の中、ぼくはお姉ちゃんに言われたとおり、お姉ちゃんが帰ってくるまで、木陰で待っていた。お姉ちゃんはぼくが一眠りして、30分もすると、雨の中戻ってきた。黒い大人用の雨傘をさして。
「その傘、どうしたの?」
びっくりしたぼくは、お姉ちゃんに尋ねた。お姉ちゃんは笑って、傘を閉じると、それをぼくに見せた。骨はさび付いて、泥がついて、穴が開いてる。
「捨ててあったの。まだ使えるみたいだから、ゴミ捨て場からくすねてきちゃった」
そういうと、お姉ちゃんはぼくの隣に座った。少し汗のにおいがする。
「今日は農家の小父さんに、分けてもらったの」
そう言うと、ビニール袋からトマトやきゅうりといった野菜をお姉ちゃんは取り出した。ぼくは野菜が大嫌いだったけど、わがままは言えない。空腹に苦しむより、青臭いのを我慢する方がマシだ。
ぼくたちは、旅の路銀をすべて失ってしまったから、食べ物を集めるのは大変だった。こんな時は、人間は食事しなければ死んでしまうのが、ひどく恨めしい。
普段食べ物は、優しい人から分けてもらった。正直に事情を話したり、嘘をついたりしても、大抵の人がぼくたちに少しだけ食べ物を分けてくれた。勿論、相手にしてくれない人や、ぼくたちを警察に通報して保護してもらおうとする人もいて、食べ物が手に入らないことのほうが多かった。そんな時は、畑から食べ物を失敬した。天国にいるお父さんが聞いたら、顔を真っ赤にして叱るか、大泣きするかもしれない。「そんな風に育てた覚えはない」って。それでも、背に腹は代えられない、というのが現状だった。
ほんの少し前まで、お金さえ払えば、何だって食べられた。空腹に苦しまなくても、冷蔵庫を開ければ、何かしら食べ物が入っていた。そのことが、今は遠い昔のことようだった。
お姉ちゃんは、トマトを上着の裾でこすってから、がぶりと噛り付いた。
「美味しいよ。拓海もたべな」
そう言って、お姉ちゃんは、ぼくにトマトを手渡してくれた。赤く熟したトマトは、噛り付くと、ほのかに甘かった。
雨足は夕方になって、弱まり、雲の切れ間から夕陽が差し込んだ。夏の熱気を帯びていたはずの空気は、雨に洗われて、すっかり涼しくなっていた。ぼくとお姉ちゃんは木陰から出ると、田園を歩き始めた。
しばらく、アスファルトの水溜りを避けながら進んでいると、ヒグラシの声の隙間から、何処から不思議な音色が聞こえてくる。それは、太鼓と笛の音。それは、この先の林の方から聞こえてくる祭囃子だと気がついた。
「夏祭りみたいだね」
お姉ちゃんに言うと、お姉ちゃんは頷いた。楽しげな囃子と、人の声。雨上がりの涼しい風。薄く帳の引かれた空。わがままと知りながら、ぼくはお姉ちゃんに、「祭りへ行ってみたい」といってみた。
林の奥に建つ朱塗りの神社。古い鳥居から続く参道に赤いちょうちんがぶら下がり、その下にはたくさんの出店があった。浴衣を着た人、家族連れの人、たくさんの人で賑わいを見せる祭りに紛れ込むと、少しだけ楽しい気持ちになった。
去年の夏、お父さんと街の夏祭りに行った事を思い出した。お姉ちゃんは、丁度夏風邪を引いて、家でお留守番していて、ぼくとお父さんの二人で出かけたのだ。ぼくたちの住んでいた街には神社なんてなくて、地元の商店街が夜店を開くだけの、小規模なものだった。毎年夏祭りの時期はお父さんの仕事が忙しい。お父さんが顧問をしている部活の県大会があるのだ。だから、子どもたちだけで行かせるのは危ないと言われて、ぼくが夏祭りに行ったのはそれが始めてだった。
「坊主、金魚すくいをやってみないか」
金魚すくい屋さんの小父さんが、髭の生えた顔でぼくにそう言った。お父さんの顔を見上げると、お父さんは「難しいぞ」と笑って、小父さんにお金を払った。ルールは簡単で、和紙の張られた網で金魚をすくう。和紙が破れたら、ゲームオーバー。でも、実際やってみると難しい。金魚を一匹もすくうことが出来なかった。
「どれ、父さんがやってみよう」
今度はお父さんがチャレンジした。ひょいっと、赤い小さな金魚が、網の上に乗りそのまま、手元の皿へ入る。
「大将、上手いねぇ。昔取った杵柄ってやつかい?」
「まあ、そんなところですかね。たまには、息子にかっこいいところを見せたいですし」
目を丸くする金魚すくい屋の小父さんに、お父さんは笑顔で答えた。結局金魚は五匹取れた。
「親父さんに感謝しな、ほれ」
小父さんは、ビニールの袋に金魚を移すと、それをぼくにくれた。ぼくは、妙に嬉しくて何度も、お父さんに「ありがとう」と言った。
その金魚は、お父さんが死んじゃう、ほんの三週間前まで、小さな金魚鉢のなかで泳いでいた。
人ごみをお姉ちゃんに手を引かれて歩きながら、ぼくはそんなことを思い出していた。
「拓海、ぼーっとしすぎて、私の手を離したら迷子になっちゃうよ。迷子になったら置いていくからねっ」
お姉ちゃんは、人ごみを必死にかき分けながら、ぼくに言った。置いていかれたくない、と思うと、握る手に力が入る。
「ねぇ、お姉ちゃん」
お姉ちゃんの背中に呼びかけると、お姉ちゃんは振り返らずに「なぁに?」と言った。
「お姉ちゃんは、夏祭りに行った事あるの?」
「あるよ、勿論。まだ拓海が赤ちゃんだった時、志郎叔父さんと若葉叔母さんに連れて行ってもらったことがあるよ」
「ふうん。楽しかった?」
と、尋ねたぼくの言葉の裏側に、志郎叔父さんのことを尋ねているということを、知ってか知らずかお姉ちゃんは。
「叔父さんも叔母さんも優しくて、楽しかったよ。もうあんまり覚えてないけどね」
と言いながら、笑った。
参道をお社の方へ進む度に、人ごみは深くなり、あたりを大人という林立する壁に囲まれているみたいになってしまった。お姉ちゃんの手をしっかり握っていようと、力を込めたけど、人ごみに押されてしまい、ぼくは思わずその手を離してしまった。
するりと解けたお姉ちゃんの手は、人と人の間に吸い込まれるように、消えてしまい、お姉ちゃんの姿は何処にも見えなくなってしまった。
「お姉ちゃん、お姉ちゃんっ」
人ごみに押されながら、ぼくはお姉ちゃんを呼んでみた。だけど、お姉ちゃんの声は聞こえない。耳に届くのは、楽しそうに笑う人たちの話し声と、祭囃子だけだった。
「何処にいるの? お姉ちゃんっ」
焦りを覚えたぼくは、必死でお姉ちゃんを呼び、人ごみをかき分けようとしたけれど、なかなか前へ進めなかった。気がつくと、ぼくは人ごみから弾きだされていた。
そこは、出店の裏側。提灯の明かりがほんの少しだけ届く、薄暗い林の入り口だった。どうしよう、と思っていると、手に汗がにじむ。何とかして、人ごみに戻るのが正解か、それとも、この林沿いを歩いて、出店を迂回し、お社へ行ってお姉ちゃんを待つのが正解か。ぼくの頭で考え出せた選択肢はその二つだった。
「お姉ちゃん……」
背後の林の奥から今にも黒い手が伸びてきて、ぼくを連れ去ってしまうような気がして、ぼくは不安と焦燥を感じた。その時だった、かすかに林のほうから、泣き声のようなものが聞こえてきた。
怪談話で良くあるような泣き声で、ぼくは背筋に冷たいものを感じる。でも、その泣き声は空耳なんかじゃなくて、たしかに林のほうから聞こえるのだ。ぼくは、恐る恐る林に近付いた。
「だれかいるの?」
震える声でそう言うと、茂みがかすかにザワザワと音を立てる。ひっ、と息を呑むと、茂みの中から女の子がわんわん泣きながら出てきた。
金魚の絵柄をした白い浴衣を着た、女の子はぼくより少し年下、3、4歳くらいだった。
「どうしたの?」
ぼくが尋ねると、女の子は一際大きな声で泣いて、しゃくりあげると。
「パパとママがどこか行っちゃったぁ」
といって、わああんと耳が痛くなるような、金切り声で泣く。
「どうしよう、どうしよう。小夜、悪い子だから、パパもママもきらいになっちゃったんだぁ」
泣き叫ぶ小夜ちゃんを、どうなだめたものかと、困ってしまう。
「ぼくが、小夜ちゃんのパパとママを捜してあげる。一緒に行こう」
と、ぼくが言うと小夜ちゃんは鼻をすすって、「うん」とだけ言った。そして、涙で濡れた小さな手を伸ばしてぼくの手を掴んだ。
ぼくと小夜ちゃんは、人ごみへ戻ると、小夜ちゃんのお父さんとお母さんを探した。
「小夜ちゃんのお父さんとお母さんって、どんな人かな?」
「パパは背が高いの。ママはメガネかけてるよ」
すんすんと泣きながら、小夜ちゃんが教えてくれる。ぼくはそれらしき人を必死で探した。参道をお社のほうへ向かって。だけど、やはりお社の方へ行こうとすると、人が多くなって、油断するとまた人ごみから弾き出されそうになる。
これ以上無理したら、小夜ちゃんともはぐれてしまう、と思ったぼくは、出店の裏を迂回して、お社へ行って、そこで小夜ちゃんの両親を待つ方がいいと考えた。一路、出店の裏に抜けると、ぼくは小夜ちゃんの手を引っ張って、お社へ向かった。暗い林を左に、出店の裏を右に、しばらく進むと、お社の赤い柱が見えてくる。ぼくは、お社の石段の傍にある石垣に座った。
「ここで、お父さんたちが来るのを待とう」
と言うと、小夜ちゃんはコクリと頷いてぼくの隣に座った。ぼくは、参拝に石段を登ってくる大人をひとり一人見て、小夜ちゃんに確認をとった。
でも、なかなかそれらしき人は現れない。
「お兄ちゃんも、パパとママがいなくなったの?」
小夜ちゃんが、参拝客を見ながらぼくに言った。少し落ち着いたのか、小夜ちゃんはもう泣いてはいなかった。
「うん。でも、ぼくはお姉ちゃんとはぐれちゃったんだ」
「お兄ちゃんも悪い子なの?」
「悪い子?」
「うん。パパやママの言うことを聞かない子は悪い子で、そういう子からは、神様がパパとママを盗っちゃうの。幼稚園の先生が言ってたよ」
「悪い子かぁ」
ぼくは溜息を漏らした。ぼくは、どうなんだろう。悪い子? 良い子? 多分悪い子だ。わがままばかり言うし、算数嫌いだし、お姉ちゃんを困らせてばかりだし、泣き虫だし、弱虫だし。だから、神様がぼくから、お父さんとお姉ちゃんを奪ってしまったのだろうか? だったら、もうお姉ちゃんと会えないんだろうか。
「小夜、良い子にするよ。嫌いなニンジンちゃんと食べるよ。お片づけちゃんとするよ。パパとママ帰ってこないかなぁ」
小夜ちゃんは瞳を閉じて両手を合わせると、朱塗りのお社に向かって祈った。すると、突然参拝する人たちを掻き分けて、「小夜っ」と叫びながら、背の高い小父さんとメガネの叔母さんが現れた。
「パパ、ママっ」
小夜ちゃんの顔に満面の笑顔が浮かび、小夜ちゃんは石垣から立ち上がると、一目散にお父さんとお母さんのところへ駆け寄った。小父さんは小夜ちゃんを抱き上げると、目頭に涙を浮かべて。
「何処へ行っていたんだ。心配したんだぞ」と言った。
「ごめんね。小夜を一人にして。心細かったでしょう」
小母さんが、傍らから手を伸ばして小夜ちゃんの紙を撫でながら言った。
「ううん、独りじゃなかったよ。あのお兄ちゃんが、パパとママを捜してくれたの」
と、小夜ちゃんが言って、小父さんと小母さんは初めてぼくに気がついたみたいだった。
小父さんと小母さんは、ぼくに何度も何度もお礼を言った。誰かにこんなに感謝されるのは初めてのことで、ぼくはうれしいやら恥ずかしいやら。
小夜ちゃんはお父さんとお母さんに手を引かれて、帰っていった。後には、ぼく独り取り残されて、ぼくは小夜ちゃんたちの背中を見送ると、ぼんやりと夜空を見上げた。
月のない夜だった。星の輝きはいつもより鮮やかだ。ふと、桜ヶ浜で流れ星を見ながらお姉ちゃんが言ったのを思い出す。
「もし、願い事が出来たら、何をお願いするつもりだったの?」
いま、もしお願いが出来るなら、良い子になるから、お姉ちゃんに逢いたい。胸の奥で、お姉ちゃんに置いていかれたのかも知れない、という焦りが呼び戻されてくる。不安が、心に黒いシミを作って、じわじわとそれが広がり始める。
祭りが終わり、お客さんも出店の人たちもいなくなり、提灯の明かりが消えていく。あたりが真っ暗になって、怖いというよりも、もう二度とお姉ちゃんに会えないのではないか、という不安が、一番怖かった。
ぼく独りじゃ何も出来ない。ここまでこれたのも、お姉ちゃんがいたから。ヒッチハイクなんて出来ないし、上手い嘘もつけない、お金の計算だって出来ないし、お母さんの居場所だって聞いて周れない。なんてちっぽけなんだろう。
ぼくは膝を抱えて蹲った。
「拓海?」
不意に、何処かから声が聞こえた。顔を上げて、目を凝らして石垣の方を見ると、闇の中に誰かが立っていた。
「お姉ちゃん?」
ぼくは、恐る恐る立ち上がると、その人影に近付いた。はっきりと顔が見えて、お姉ちゃんに間違いないと分かると、ぼくはかけよってお姉ちゃんに抱きついた。
「お姉ちゃん、お姉ちゃんっ」
「もお、心配したんだよ。迷子預かり所に行ってもいないし」
そんなところがあるなんて知らなかった。
「ずいぶん探したんだよ」
「ごめんなさい。ごめんなさい。ぼくね、ぼくね、良い子になるよ。ちゃんとお姉ちゃんの言うこと聞くよ、算数頑張るよ。だから、だから何処にも行かないで」
ぼくは泣きながら、必死でお姉ちゃんに言った。お姉ちゃんはびっくりしながら「どうしたの?」とぼくに尋ねた。
「お姉ちゃんは、ぼくが悪い子だからいなくなってたんでしょ? だから、ぼく良い子になる。だから、ぼくを独りぼっちにしないでっ」
「拓海が」お姉ちゃんがぼくの頭をやさしく撫でた。「拓海がもしも悪い子でも、私はいなくなったりしないよ」
「だって、お姉ちゃん、ぼくを置いていくって言った」
「ごめん。でも、ホントだよ。拓海がどんなに悪い子でも、私にとっては、たった一人の家族だよ。他の誰でもなくて、拓海は私の大切な弟だもん、絶対いなくなったりしない。だから、泣くなっ」
お姉ちゃんはぼくの頭をこつんと軽く叩いた。
「そうだ」
お姉ちゃんはスカートのポケットを探って何かを取り出した。それは真っ赤なりんご飴だった。
「これ、どうしたの?」
「拓海を探してたとき、りんご飴屋のおじさんが、売れ残りを二つくれたの」
そう言うと、お姉ちゃんはもうひとつりんご飴を取り出した。
「泣き止んだら、これあげる」
ぼくは、上着の袖で涙を拭き取った。お姉ちゃんはうんうんと、頷いてりんご飴を一つぼくに手渡してくれた。
「拓海が、いい子になるって言うなら、泣くな。それだけで、私満足だから」
「うん」
ぼくとお姉ちゃんは、石垣に座ると、りんご飴を食べた。甘いお菓子を食べるのは久々だったけど、それにもまして、りんご飴は美味しかった。
「あのね、りんご飴屋のおじさんに聞いたんだけど、矢和っていう街、もう少しなんだって。もうちょっとで、志郎叔父さんの所へいけるよ。だから、頑張ろうね」
お姉ちゃんがりんご飴をなめながら言った。
ぼくは返事をして心の奥で思った。明日は今日よりいい日でありますように、と。
ご意見・ご感想などありましたら、お寄せくださいませ。




