青春で体感ストーリー
約五年後....
俺は十五になり、この国“コモス”の王が定めた法律により、俺達のような少年少女達を国の発展と進化等を目的に魔法を中心とした教育をしてくれる、魔術学園“アルテミア”に入学することになっている。第二の青春をもう一度、体感出来る俺にとっては最高の展開だ。
そして今日はその入学する日だ。俺は玄関で靴紐を結びながらどんな学園生活を過ごそうかと頭ん中が一杯だった。
「デリー、鞄はちゃんと持った?ハンカチは?筆記用具は?ノートは?お弁当持った?学園に行く道は分かる?」
「もう母さんは心配性だなぁ。大丈夫だよ、部屋出る前にちゃんと確認したから。地図もちゃんと持ってるし。」
母さんはまだ俺の事を子供扱いしている。しかし、親にとっては子供はいつまで経っても子供に見えるんだよな。
「よし、靴紐結び終わり!それじゃ母さん、父さん、行ってくるよ!」
「ああ...デリー、学園であまりはしゃぎすぎるなよ。黒歴史になり得ないからな。」
「どんな忠告だよ...」
「デリー、クラスのお友達とは仲良くするのよ?喧嘩しては駄目よ?いいわね?」
「分かってるって母さん、友達とは仲良くするよ。」
俺に心配してくれる両親の言葉を聞き、俺は応え、そしてドアノブに手を出した。
「母さん!父さん!行ってきます!」
「「行ってらっしゃい、デリー。」」
ガチャ!
俺はドアを開け、地図を見ながら学園に向かった。行く途中で後ろを振り向き、家が見えなくなるまで二人に手を振ってきた。家から学園までそんなに遠くはなく、歩いて十五分位で着く所だ。俺は道中、再び学園生活で前世では出来なかった事を妄想していた。屋上か教室で友達と昼食、イベントなどでの汗水垂らす展開、そして運良くは好きな女子と...
(ぐへへっ、いいなぁ青春、いいなぁ学園、まさか学校に行くのがこんなにも楽しみになるとは前世では思わなかった。果たして、学園にはどんな可愛い女子や美しい女性がいるのか!待っててくれよ俺のアオハルストーリー!)
俺は興奮気味で走って学園まで向かった。
そして俺は本来、十五分で着く道のりを九分で着いてしまった。そこにあったのは、学校というよりかはほぼ城に近い存在で、ヨーロッパにありそうな感じだった。校門から学園入口に続く道に恐らく俺と同じで入学する白い制服を着た生徒が歩いていた。
(うひょーー!!可愛い子ちゃん達も沢山居られる!これは尚更、青春を味わうしかないよなぁ!)
「さて、ではあれを使う時だ。長年の末に身につけた、俺と風のコラボ技...!」
俺は周りに警戒しながら学園前に生えている多くの木の物陰に隠れた。そこで俺は長年鍛えて育て上げ、積もり積もった努力の結晶作品を今、披露することにした。
「風属性を発動、風力は和風、範囲は大きく...!」
俺は緑色の魔方陣を両手で小さく展開し、小さな竜巻を形成していた。この魔法は風を魔方陣で固めて約十秒後に開放させる、言わば時限爆弾よのうなものだが、正直俺が使える属性魔法はこれ一つだけだ。風力は調整出来るから、危険は無い。
「さぁ行きな、これは言わば俺の青春への夢に刻む第一歩!“純白舞風”!」