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からふるシーカーズ  作者: 白月らび
ランページドリーマー
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変な人達が話し合います

「出たな変態ども」

「変態が来たのよ」

「貴女達ねぇ、まぁ否定はしないけど」

「なんで嫌そうな顔してるんですか! お三方もですよ!」


 5人の変質者が顔を合わせたせいで、唯一のツッコミ役になってしまったオスルェンシスにとっては地獄の始まりなのかもしれない。


「流石だ、水着を被るとは」

「なんで感心してるんですか」

「なるほど、脱ぎたてを被ってもらう、そういうのもあ──」

「ないです!」


 ネフテリア達の頭の水着を奪い、ケイン達を部屋に招いた。子供達に見せたくはない人物達につき、アリエッタとニオは別室で待たせている。


(ニオ、大丈夫でしょうか……)


 勿論大丈夫ではない。小刻みに震えながら今すぐ死にそうな顔になりながら、アリエッタに刺繍を教えてもらっている。

 今回ケイン達がやってきた……というより、ケインにヨークスフィルンに呼ばれたのは、頼みたい事があったからである。

 先日エルトフェリアの手伝いで侵入者の撃退を手伝った時に、これ幸いと自分達の頼みも聞いてもらおうと思ったのだ。ネフテリアの実力や人柄に関しては、これまでの事件によって完全に信用している。


「本題よりも新作水着の方が気になるのだが」

「気にしないでください」

「あの、ボディスーツを頭に被ってもらうにはどうしたら」

「なんでそんな変な事しようとしてるんですか!」

「シスうるさいよ」

「誰のせいだと思ってるんですか!」

『?』

「全員で分からないって顔するなぁぁぁ!!」


 ニオよりもオスルェンシスの方が大丈夫ではなさそうだ。話が始まる前から息切れしている。


「仕方ない、本題にいかせてもらうか」

「名残惜しそうにしないでください」

「実はヨークスフィルンにも不審者が現れてな」


 不審者は貴方達だというツッコミをなんとか飲み込んで、オスルェンシス達は話を聞く事にした。


「その者達はどうやらファナリアから来ているようでな、転移してきては人々に高圧的に当たり散らかし、『魔法も使えぬ下等種族が』とか言い捨てて帰っていくそうだ」

「うわメンドクサイ連中だ」

「どこの国のヤツらかしら」


 これだけ聞けば、どんな問題が起こっているのか完全に把握できるネフテリア。エルトフェリアにやってきた侵入者と同じかどうかは分からないが、ファナリア人としては他人事ではない。


「よし引き受けた」

「はやっ」

「いいのか?」

「いいよ。わたくしも気になるし」

「助かる」


 当然のように即了承。とはいっても、ネフテリアは長期間エルトフェリアから離れる事が出来ない。そうなると、シーカーであるミューゼとパフィが主体となるのだが、2人が手伝うには問題がある。それはアリエッタの事。

 戦力として全く申し分ない人材なのだが、子供故に危ない事はさせられない。特にアリエッタは時々制御不能になってしまう。


「大丈夫なのよ。アリエッタの事は私がちゃんと見ておくのよ」

「パフィさんはアリエッタちゃんと一緒になって暴れまわるでしょうが!」

「サイロバクラムで一緒に飛び回ってたもんね」

「……地上でってお願いするのよ」

「暴れるの前提!? 止めてくださいよ!」


 パフィも制御出来なさそうだ。


「助っ人を追加するのはどうでしょうか」

「それしかないか。あまりこの事は解決するまで広めたくないし、身近な人材がいいわね。ピアーニャは今いないし……」

「人材は2種類いればいいだろうな」


 ケインの提案で、ファナリア人とそれ以外の2グループを用意する事になった。

 実際に話をして事情聴取や交渉をするのがファナリア人のみのグループ。対して敵対心を煽り実害を調査するのがそれ以外のグループとなる。

 他に良い案も無いので、その案を採用。あとは人を決めるのだが……。


「あたしまだヒヨッコなんですけど?」

「そうなのよねぇ……」


 魔法が頼りになるとはいえ、ミューゼはまだ新人の域を出ないシーカーである。国家間レベルの交渉に出すには経験が圧倒的に足りないのだ。


「頼めるとしたらベテランのシーカーか……あ、そうか」

「誰かいました?」

「うん、適任がいたわ。ちょっとリスクあるけど……」


 歯切れが悪いネフテリア。誰かは聞いても答えてくれなかったので、もう片方のファナリア人以外のグループについて話す事にした。


「こっちはケインやエンディアでもいいし、もっと詳細に調査するならシスやパルミラとか出せるわね」

「命令とあらば」

「王族直属の人材だから頼りになりすぎますね」

「えっ、そんな凄い人達がやるんですか?」

「いや王女呼んでおいて今更……」

「あっ」


 エンディア達の故郷サイロバクラムには娯楽として創作の小説(ノベル)が存在するので、空想ではあるが王政についても少しは理解している。目の前にいるのが本物の王女だという事を思い出して、急に床に座りだした。


「も、申し訳ございません。死刑だけは……」

「しないけど!?」


 エンディアは混乱している。

 ともあれ、やるべき事は決まった。まずは想定している人材の確保からしなければいけない。

 もう夜につき、宿の外に出る事はできない。出たら即氷漬けである。そのため、ケインとエンディアも同じ宿に泊まる事になるのだが……。


「ケインおじさん!」

「ごふっ」


 ケインの心に大ダメージが入った。オスルェンシスが、話が終わった事をニオ達に伝えに行った瞬間、常に恐怖に晒されていたニオが、全力でネフテリアに助けを求めようとしたが、ちょうどそこにケインがいたので反射的に名を呼んだのだ。そのまま足にしがみつく。


「あ、ケイン!」


 ニオを追ってきたアリエッタも、ケインの足にしがみついた。


「な、なんで俺様はこんなにモテてるんだ?」


 ダメージが残ったままのケインは、現状を理解出来ずに困惑。


「ほら、ちっちゃい子ってさ、強そうな大きい人に憧れるというか……」

「あー確かにそういう傾向はあるわね」


 ここにいるちっちゃい子2人に限っては憧れとは違うのだが、それはさておきアリエッタに怯えるニオは、必死になってケインによじ登ろうとする。


「なぁ、俺様どうしたらいい?」

「危ないからそのまま置物になっててくれると助かるかな」

「剥がしてはくれんのか……」


 あとはのんびりと過ごすしかやる事が無いので、ケインは置物になった。背中にくっついたニオと、足にくっついたままのアリエッタのどちらかが諦めるまで、動く事が出来ない。


「なるほど、動けないケイン様……アリですね」

「こらそこ! 子供の前で変な事しようとすんな!」

「ああっ! せめてひと口!」

「やめい!」


 いかがわしい事をしようとするエンディアは引きはがし、ネフテリアは最近の暮らしについて聞く事にした。元々サイロバクラムで反リージョン開放の運動をしていたレジスタンスのリーダーが、他のリージョンにきてどう思っているのか純粋に気になったのだ。


「毎日が楽しいです。逞しい方々に囲まれて、辛抱たまりません。いっそ全員……」

「こらこら……」


 色々な意味で風紀的に良くないエンディア。この変態を野に放っていたら…と思ったら、ケインに引き取ってもらったのは、結果的に良かったのかもしれないと考えるネフテリア達であった。


「そういえば帰れないけど、部屋は?」

「ご安心を。1部屋取ってあります」

「……1部屋なんだ」

「なんでもいいけど、アリエッタとニオは置いて行くのよ」


 この後しばらく、アリエッタはニオがやっている事が楽しそうに思え、頑張ってケインの体をよじ登った。ニオは追いかけられている気がして、必死にケインの体を這いずり回った。


「楽しそうなのよ」

「そうね~」

「いやこれ結構キツいんだが? おをぅ! ちょっとお嬢ちゃんそこは良くない手を放そうかいやいや引っ張るな待て待てうごおおおおお……」

「ケイン様のケイン様が!?」

「取ったら丁度良くなったりして」

「丁度良いってなんですか!?」


 ヨークスフィルンでの夜は、時々絶叫(ツッコミ)が飛びながらも、のんびりと過ぎていった。

めずらしいポケモンって、子供へのお年玉代わりになりそうですよね(厳選中)

ちょっとポケセンいってきますか。

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