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からふるシーカーズ  作者: 白月らび
乙女の悪夢はトラブルの元

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女神発進

 近くなった四角形の群れに、各自攻撃をしながら様子を見ていると、突如そのうちの1つが突如一角を伸ばし、回転しながら急接近してきた。


「テリア、マホウぼうぎょ! ほかはブツリぼうぎょをそなえろ!」

「はいよ!【防魔陣(シールドレンジ)】!」


 ピアーニャの指令に従い、ネフテリアは即座に魔法を発動。シーカー達はその場であらゆる攻撃に備えて別の防御魔法や技を準備した。

 ソルジャーギア達の方にもファナリアのシーカーが数名駆け寄り、ネフテリア達の真似をして防御を担当している。

 回転する四角形はそのまま防御膜にぶつかり、回転したまま拮抗を続けている……かのように見えたが、四角形の方が徐々に削れていった。魔力だけを完全に防ぐ防御魔法は伊達ではない。


「2本目来ます」

「うえっ。防げるけど怖い!」


 イディアゼッターの言葉通り、別の方向から2本目の攻撃が突き刺さった。難なく食い止める事は出来ているが、高速回転して自分達の方に押し寄せる巨大な尖った物体に囲まれるのは、戦い慣れているシーカー達でも流石に恐怖である。


「次の【防魔陣(シールドレンジ)】用意しておいて! 疲れたら交代したい!」

「はいっ!」


 防御は万全なので、今のうちに可能な限り破壊を続けていく必要がある。それが今出来る最善。


「慌てて構築しただけあって、攻撃が単調ですね。これならば、問題無く全て駆逐できるでしょう」


 このリージョンの神はエルツァーレマイアに対する恐怖で我を失っていた。そんな状態で作った兵器だったので、複雑な行動パターンは一切仕込まれていない。これまでの四角形の行動とエーテルのパターンから、イディアゼッターはその事実を突き止めていた。


「まぁそれでも、バカみたいにでかいし、コウゲキのキボはとんでもないけどな。ショウメンからぶつかったら、かてるキはしないなぁ」

「勝負する気はないですよ」


 いざとなったら、イディアゼッターが直接手助けするつもりでいたが、簡単に対策が打てていたので、このまま静観する事にした。ただ1つの懸念を除いて。


「で、その子は何をしようとしているのでしょうか?」


 調子に乗って遠距離攻撃を続けるパフィの後ろで、アリエッタは翼のパーツを広げて準備運動をしていた。

 ちなみにミューゼは、うっかり生み出してしまった樹海を消し、大人しくしている。今はいつもの魔法でどんな植物が飛び出てくるか分からないのだ。


「さぁ? え? なぁに?」

「あたし、ぱひー、いっしょ。ぐるぐる」

「ふんふん。パフィを縛れってことかな?」

「なんでなのよ?」


 そこだけほのぼのとした空気になっているが、イディアゼッターは気が気でない。どの行動からどんなトンデモ現象が起こるのか、全く予想がつかないのだ。


(絵の能力とはどういうモノなのか。出来るだけ見守っておく必要があるでしょうか)


 この次元では芸術的な概念はあまり発展していない。それは神々が全体的にその方面に弱かったせいもあるのだろう。そんな神に創られた人々も、絵に対する意識は子供止まりで自然消滅している。

 イディアゼッターも例外ではなく、『絵』というものについて理解するのに苦労していた。


(正しく育っていただければ、今までに無い力を司る女神になるでしょうね)


 だからこそ、アリエッタの存在を放っておくことは出来なくなっていた。たとえ野菜女として恐れるエルツァーレマイアの娘であろうとも。


「これでいいの?」

「ありがとなのっ!」(うーん、おんぶ紐で背負われた赤ちゃんの気分)

「これじゃフォーク振るえないのよ……」


 アリエッタはパフィにおぶさり、ミューゼの蔦で絶対に解けないように縛られていた。


「ぱひー、ないふ。ないふ」

「こっちでいいのよ? うぉう!?」

「なにこれでっか!」


 フォークを置いてナイフを構えると、巨大な光の刃が発現した。


「みゅーぜ、て、ないふ、ぐるぐる」

「ええっと、落とさないように縛れって事かな?」

「……なんかイヤーな予感がするのよ。でも背中が幸せ過ぎてどうしようもないのよ」


 言われるままに、蔦でパフィの手とナイフを縛り付ける。何があっても落とさないというくらい念入りに。

 アリエッタと密着しているパフィは、なすがままである。


「これで大丈夫?」

「だいじょうぶ!」

「ジシンマンマンだな……」

「だんだん怖くなってきました」


 アリエッタの元気の良い声が響く程、ピアーニャとイディアゼッターは不安に駆られていく。

 パフィはミューゼやネフテリア達と離れ、1人大幅に前に出た。


「ゼッちゃん! なんかコワいんだが! アイツらなにするきだ!?」

「儂が聞きたいですよ! ちょっとミューゼさん!」

「あ、はい。あたしにも分かりません」

「やっぱヤメだ! なんかしらんが、とんでもないコトになりそうなきがする!」


 結局不安に負け、アリエッタを止めようとした。しかし時すでに遅し。

 アリエッタが背中につけたウィングパーツが光り、何かを溜めているようなエフェクトを発し始めた。別にエーテルを吸収しているとか、そういう事はしていない。アリエッタがウィングで想(・)造(・)した見た目の効果である。


『アリエッタ、いっきまーす!』


 どこかのアニメで聞いたようなセリフを前世の言葉で叫ぶと、ウィングからバーニアのように力が噴出された。しかもかなり大きい鳥の羽のように。


「へっ?」


 いきなりの大放出に、ネフテリアが変な声を出した。その瞬間、アリエッタとパフィは、空高く舞い上がった。


「ひょああああああああああああああああああああああああ!!」


 高速飛行が苦手なパフィの悲鳴が、辺りに木霊した。


「とんだな……」

「飛びましたねぇ……」


 なんだか色々諦めたような顔で、ピアーニャとイディアゼッターが呟いた。その後ろでは、ムームーとクォンがあんぐりと口を開けて驚いている。他のシーカーやソルジャーギアも同じような反応をしている。


「ちょっとミューゼ! あれ何!? どーなってるの!?」

「うふふ、アリエッタったらお茶目で可愛いですよね」


 ミューゼは現実逃避に走っていた。




(よーし、フィールドジェネレーターもしっかり作動して風の影響は無しっと。ロボットアニメ見ておいてよかったー)


 ちゃっかり風や気圧や慣性の事も考えて、身を守るパーツの機能も想造していたアリエッタ。流石に急発進した時は色々とはみ出す感覚に襲われたようだが、すぐに落ち着いた様子。離れた上空から四角形の群れを見て楽しそうに笑っている。

 その下には涙を流しながらヒーヒー言っているお姉さんがいるが、自分達の身体の周囲に展開している風の音がうるさくて聞こえていない。


(ぱひーも一緒だし、安心安心。もう大好きっ)


 ノリに乗ったアリエッタは何も気づいていない。


(それじゃあ、そろそろ敵をやっつけるぞ!)

 ゴオオオオーーーッ

「や、待っ、ありえったああああああああ!?」


 アリエッタは何も気づいていない!


「うおおおおおお!」

 ゴオオオオーーーッ

「いやあああああああああああ!!」


 アリエッタは全然、一切、これっぽっちも気づく気配が無い!


 ザンッ

(まず1つ!)


 パフィの腕からナイフまでしっかり蔦で固定されていて、刃のある方ですれ違うだけで巨大な四角形を両断した。そして粒子となって消えていく。

 それを確認したアリエッタは、この調子でいけると確信し、近くに見えた四角形へと飛び立った。


「たああああすうううううけええええぇぇぇぇぇ~~~~~……」


 保護者の悲鳴だけを残して。


(あまり長く飛んでると、縛られてるパフィの負担になるかもしれないし、急いで終わらせよう)


 負担の理由は貴女の行動である。

 四角形は突如進行方向を変え、アリエッタに向かって飛来した。


「どういう事?」

「あ……」


 その理由には、イディアゼッターだけが気付いていた。


(元々アレの狙いはエルツァーレマイアですからねぇ。標的が動けばそちらに向かうのは必然でした)

「………………」


 そんな表情を見て、ピアーニャも察していた。


「ま、まぁ、いざとなったら儂が助けます」

「……たのむ」(そんなコトには、ならないきがするが)


 寄ってきた四角形が多方向から迫ってきたので、アリエッタは元々狙っていた方から潰す事にした。迷っていたら潰される気がしたのだ。


「とあーーーーっ」


 可愛い声で叫びながらパフィの刃で切り裂く。そのままのスピードで方向転換するが、刃を向ける事なくすれ違う。

 しかし、ウィングから伸びる光によって、四角形は切り裂かれた。


「それでも攻撃できるんかーい!」

「一応バーニアの噴射口でも攻撃は可能ですね。熱いだけであんまり意味は無いし、怖いですけど」


 まさかの翼を刃にした攻撃にツッコミを入れたネフテリアに、クォンがおどおどと説明した。サイロバクラムのバーニアの場合、安全に飛ぶ事を重視しているので、攻撃に使おうという考えは誰もしない。

 アーマメントの開発に関わりのあるソルジャーギアが、参考になるなぁ言いながらメモを取りながら映像を記録していた。

 そんな調子で飛び回りながらスパスパ斬っていくと、みるみるうちに四角形の数が減少していくのだった。

 四角形も尖って攻撃してきたりはするが、小回りの利くアリエッタには当たらない。それどころか、回転している所に刃を当てられ、逆に高速で削られている始末である。


「ひゃーー♪」(たーのしー!)

「ひゃーー!!」(もう嫌なのよ誰か助けてなのよおおおおお!!)


 大空に2人の似たような叫び声が響き渡った。


(ぱひーも一緒に楽しんでくれてるみたい! もっと頑張るぞ!)


 パフィにとって、ここからが本当の地獄のようだ。

一瞬「創造」かと思ったけど、思った事を絵や色にしてその効果を発現させているから「想造」であってるかなと。ややこしいなこの能力!誰やこんなん考えたの。←


GP03とかV2の擬人化みたいになってるなぁ。

アリエッタの保護者への信頼が厚すぎて盲目がヒドイ。もうやめて、武器のライフはもう0よ!

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