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鉄の王  作者: ぴよっち
第一部
2/61

窮地と助け

次話投稿って保存出来ないのかしら……

まさかそんな事はないと思うんですが


私の読解力の低さからかサイトの使い方が怪しいのです。

書いたのが消えるのが怖くてホームに戻れないようwww

「うわああぁああっ!」


力の入りきらない足を必死に動かし、転げるようにしてその場から逃げ出す。


足の裏から伝わるパキパキという感触に吐き気を覚えながら、それでも一刻も早くこの場から逃げ出したいという気持ちが男の足を無我夢中で動かしていた。




ーーーーどのくらい走っただろうか。

ぜえぜえと荒い息を吐きながらまだ何とか樹木の形を成している巨木に背を預け、そのままズルズルと男は腰を降ろす。


「はぁ……はぁ……

い、一体何だってんだ……こんな世界、趣味が悪すぎる……!

これでこの後モンスターに襲われるとかあったら、どんだけハードモードなんだよ……!」



軽口を叩きながらも男の目は血走り、辺りをくまなく見回していて

熱で周囲の炭が割れる音にもビクリと身体を震わせた。



そうしながらしばらく時間が経つと、過ごしばかり冷静さを取り戻した男は自分が何も着ていない事に気が付いた。


「あ……俺、裸だ。

そうか……服は燃えて無くなったって事だろうな。

助けを求めるにも人前に出られる格好じゃないじゃないか……」


何か身に纏う物はないかと辺りを見回すが、焼けた屍が広がるばかり。

そのどれもが真っ黒に炭化し、衣類など残っているはずもなかった。

もっとも、仮に残っていたとしてとても焼死体の服を着るより裸の方が100倍マシに思えたが。


服を探すのを諦めた男は

数分間息を整えて、ゆっくりと立ち上がる。

この身体はよく鍛えられているようで、少しの休息で再び走れるようになるまでに体力が回復していた。



「スゴいな、前の身体じゃ考えられない位体力があるぞ……って、あれは何だ?」



視線の先に大きく真っ黒な何かが……同じく真っ黒な人間であった物に覆い被さるように何かをしていた。

耳に神経をやるとパキパキと炭の割れる音と、クチャクチャと何かを咀嚼するような音が聞こえてくる。

これはつまり



「人を……喰ってる……!」


言い終わる前に、大きな黒い何かが顔を上げ

男と視線が交わった。

大きな黒い何かは、真っ黒な狼……

普通の狼よりも二回りは大きく、口から吐く息に混じって炎が漏れだしている。



「……っ!!!」


狼が男を餌と認識し体勢を整えるよりも早く……まさに脱兎のごとく背を向けて逃走を図る。

戦って勝てる相手ではない。仮に男が武器を持っていたとしても絶対に勝てない。

男にはそれがヒシヒシと感じられていた。



「ーー痛ッ!」

4歩。4歩踏み出したところで

右足に鋭い痛みを覚える。

見れば黒い狼が足に噛みつき、男を引きずり倒そうとしていた。


なんてこった、そこまで速さに差があるのか。

半ば絶望を感じながらもここで殺されるのだけは絶対に嫌だ!と、己を奮い立たせ必死の抵抗を試みる。


「うおぉおおお!!てめえーッ!ぶち殺してやる!!」


拳を握りしめ、体重をかけて狼の頭部へ振り下ろす。


ゴツっという感触にが拳から伝わってくるが、狼は全く意に介さず男の足を咥えたまま大きく身体をよじる。


「うわっ!?」


突然身体を襲う浮遊感。

数十kgはあろうかと思われる男の身体を、狼は一降りで遥か高くへと放り投げたのだ。


受け身をとることも出来ず男は地面へと叩きつけられる。

衝撃で肺から空気が押し出され、目の前がチカチカと明暗を繰り返す。

逃げなければという意思に反して身体は言うことを聞かず、起き上がる事が出来ない。


すぐに、鋭い痛みと共に浮遊感。


男は再び空中へと投げ出された。


(すぐには殺さないつもりなのか……!)


男の脳裏に昔見たシャチがアシカを空中へはね飛ばして弄ぶ映像が浮かんだ。

その時はまさか自分がアシカと同じ目にあうとは夢にも思っていなかったが。


地面に叩きつけられた時、ボキリと嫌な音が身体の中から聞こえる。

どうやらどこかの骨が折れたらしい

身体中に襲いかかる痛みと衝撃でどこが折れたかなど判断も出来ない。


(……まずい、これはもう死ぬ!無理!)


死の予感を全身で感じつつも、無意識の内に次にくるであろう痛みに備えてしまう。

気を失ってしまった方がよっぽど楽であるのに。


「…………?」


予想に反して、次の痛みはやってこなかった。

目をやれば黒い巨大な狼は既に自分を見ておらず、視線は自分の後方に向けられている。



「黒狼か……また厄介な場面に出くわしちまったもんだな。」


「お頭がこっちを抜けた方が早く着くって言うからでしょうが!」


「ちっ……そりゃあそうだがよ。」


「で、どうするんです?逃げますか?」


「……あと何人残ってる?」


「騎馬が12、歩兵が15ってとこですかね」


「ならやれるな?」


「はい!」


身体を上手く動かせないので確認は出来ないが、どうやら通りかかった人間の部隊のようで、このデカい狼から助けてくれるらしい。


(た、助かった……!)



「行くぞっ!戦闘準備!!」


「「おうッ!!」」



怒号と地響き、爆発音の中、男の意識は闇の中に溶けていった。







異世界で最終に会う人間が、おっさん(群れ)でも良いかなと思って

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