キョウの再来
ですよね。...まあ仕方がない。また頑張ればいいし。そうして俺がギルドを出ようとすると...
「ああ?まだお前居んのか?懲りねえなぁ」
狙い合わせたかのようなタイミング。
出やがった。キョウだ。
「これだから阿保は。いくら言っても聞きやしねえ。お前、俺に殺されたのを忘れたわけじゃねえよな?」
若干の怒気を孕みながら発されたセリフに周りのNPCが(特に後ろにいる受付のお姉さん)何事かとこちらを凝視してくる。
またキョウが口を開く。
「ステータスも低い、スキルも魔法もてんでダメ、おまけにユニークスキルも使えないときた。そんな奴が"ゴブリン討伐すら失敗しました~"だろ?見てて腹が立つ。」
好き放題言いやがってからに。ちょっとは黙れ、お前。
いい加減癪なので反論しようとすると、
「キョウ、やめとけ。」
誰か出てきた。
「さすがにクラスメートは仲良くすべきだろう?違うか?」
...思い出した。こいつうちのクラスの委員長のノムラだ。メガネ外すとずいぶん印象変わるもんだな。
ちなみに俺は装備アイテムの[黒いメガネ]を購入し使用している。反転のたびにメガネを変えるのは正直面倒くさいがしょうがない。
「はいはい。場所変えりゃいいんだろ?わかりましたよ委員長さん。」
「ちがっ―
「おら、来いよ。」
委員長のことばを遮り、キョウが俺に外に出るよう促す。
仕方がない。行くとするか。このまま逃げてもいいがその後が怖い。あいつが何をしでかすか...
「ヨシヒロ君、ちょっと。」
キョウに続こうとした俺を委員長が呼び止める。
「これを。」
そう言って委員長は《アイテムボックス》、いわゆるストレージを開いてアイテムを取り出した。
「これは...」
「テレポートキーです。これを使えば隣の王国まで逃げられるので、危なくなったら使うといいでしょう。」
「!それはどうも。ありがとうございます。」
今度お礼に料理でもしよう。
そして俺はギルドの外に出た。
「お。やっと来たか。それじゃあ今度こそ徹底的に殺すから―
キョウはニヤリとしてこう言った。
「せいぜいあがいてみろや。」