一人目の主人公
この作品は前にあげていた作品を大幅に変更、補足したものです。
大体の筋書きは今のところ同じなので続けて読んでくださっている方も根気強く見てくださったらありがたいです。
「この世界には、裏の面が存在する。」
これは、10年ほど前に起きたとある実験施設の崩落事故の末に導き出された結論だそうだ。なんでも時間軸の研究を行っていた研究所が実験の最中に崩落したって話だ。歴史の授業で習った気がするけど詳しくは覚えていない。
目が覚める。俺はだんだん度が強くなってきた銀縁の眼鏡...おじいちゃんからもらったもので、大切にしている。...をかけ、暫くのあいだ思考を整理する。
...15年間毎日顔を突き合わす天井が今日も変わりなくそこにあった。
「さてと。」
ベットから這いだして着替える。ふとテレビに目を向けるとあるニュースが目に入った。
「"裏"世界発見から20年...か。」
俺が1人呟く。
"裏"世界と呼ばれる亜次元空間を利用した国際ネットワークシステム〈バース〉が始まってから今年で20年。
20年たった今といえど、生活はあまり変化していない...強いて言えば、AIは5倍くらいの正確さを誇る判断が可能になったらしい。
それ以外は...環境問題が解決し、犯罪率が低下した...凶悪犯罪は割合としては増えているけど。
この前歴史の授業でちょこっとやった部分なのでぼんやり覚えている。
まあ、何はともあれ久しぶりの休日だ。ゆっくりしようじゃないか。
もしかしたら〈バース〉システム関連の記念アイテムの配布があるかもしれないな...楽しみだ。
そして俺はブレスレット型コンピュータ―〈シルトシステム〉を起動しつぶやく。
「反転。」